2019.5.8 06:49/ Jun
研修やワークショップというものは、たいてい、初回の開催時は「カオス(混沌)」です。
インストラクショナルデザインやラーニングデザイン論を駆使して、しっかりと、かっちりと「準備」をしていたとしても、ひとの動きは、なかなか読めない。思わぬところで、時間がかかったり。想定外の「動線」を動いたり。なかなか思いどおりに、ひとが動き、ひとが学ぶことを支援できないのが「初回」だったりします。
しかし、同時に、こうも言えるのです。
研修やワークショップの初回は「カオス」だけど「楽しい」。
効率性は低いが、もっとも「記憶に残る」
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研修やワークショップは、たいていの場合、回を重ねるたびに、どんどんと「洗練」されていきます。
たいてい、研修講師やファシリテータとよばれる方々は、研修やワークショップを終了後に、「振り返り」や「PDCA」のサイクルを回します。そういたしますと、研修内容や実施のプロセスのうち、問題がある部分が、どんどんと「改善」されていくものです。
別の言葉でいうと、研修講師やファシリテータそのひとが「学んでいる」
もし複数人で研修やワークショップを実践なさっているのなら、こうした振り返りやPDCAのプロセスをとおして「組織学習」をしていることになります。さまざまなものが「ルーティン」に落とされ、自動化していきます。同時に、研修内容やプロセスが、より「洗練されたもの」になっていきます。
しかし、ここでまことに悩ましいのは、ここで同時に「失われている」ものがあることも、少なくない、ということです。
それは何とも言葉で形容しにくいのですが、
初回開催時には存在していた「野性」です。
初回開催時にあった「勢い」「パッション」「ノリ」「思い」
・・・たしかに、洗練されてはいないけれど、初回開催時にもともと備わっていた「野生」というものは、改善によって、次第に刈り取られていく場合が少なくありません。
すなわち、
野生の喪失は、改善によって獲得された「洗練さ」の代償
です。
もちろん、そうしたことは、研修講師やワークショップファシリテータは、重々承知しておりますので、「野生」と「洗練さ」をなんとか「同居」させようともくろむのですが、これはなかなか難しいものです。
研修内容を敢えて大幅に変更し、新たなことにチャレンジし、「野生」を維持しようとするのは、そのひとつでしょう。
野生さが失われた頃には、辞める、というのも、そのひとつです。
もちろん、効率を重視し、PDCAをまわしつづけ、利益を生み出し続けるというのも選択肢のひとつです。
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今日は研修やワークショップにまつわる「アポリア(難問)」をひとつお話しいたしました。
研修やワークショップというものは、たいてい、改善をほどこすごとに、学習が進み、効率はあがる。しかし、同時に、「野生」を喪失してしまいがちである。この問題をどのように考えるか、というお話です。
これは、研修やワークショップだけに言えることではないかもしれませんね。
イベントやライブだって、いかにマンネリ化を避けるか、という問題はついてまわるような気もいたします。
深い深い自戒をこめて申し上げます。
あなたの企画は、最近「野生」を失っていませんか?
そして人生はつづく
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