2019.4.4 10:19/ Jun
研修・ワークショップの「初心者」は、いったい「何」につまづくのか?
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先だって、人材開発を学ぶ「立教大学・中原ゼミナール」の学部生たちが、人事の方々向けのラーニングイベントを実施させていただき、ゼミで開発した5つのワークショップをご披露させていただきました。
【御礼】「帰ってきたラーニングバー!? : 20’s展」が終わりました!:中原ゼミの学生たちによる「20代×働く」の探究ワークショップ!?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/10083
参加者のみなさま、内田洋行の皆様のおかげで、イベント自体は、何とか無事終えることができましたが、
イベント終了が「イベントの終わり」ではありません。実践したら、振り返る。
イベントは「振り返り」が終わって、はじめて終わり
なのです。
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イベント終了後、中原ゼミナールの学生たちは、この半期やイベントを振り返って、来期に何をするかを「めっこりとリフレクション」しておりました(めっこりという表現が、小生は、ひそかに気に入っております・・・振り返りは、めっこりやるべきだと思います)。
ありがたいことに、教員の思惑通り、ゼミのLINEに寄せられる二十数名からの振り返りは、なかなか「めっこり」しているものが多く、非常に興味深く読むことができました。ふだんは
「タピオカ、飲みに行こうよー」
「いいね、いこ、いこ」
とおどけているゼミ生も、今回のイベントは、かなり印象深かったらしく、なかなか深く考えている記述が多くございました。ふりかえりを終え、無事、イベントを終了させたゼミ生には、お疲れ様、と申し上げたいです。
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今回のイベントで、様々な困難を経験した「ゼミ生のふりかえり」を、読んでいるうちに、脳裏に思い浮かんだ問いがあります。
それは、
研修・ワークショップの「初心者」は、いったい「何」につまづくのか?
という問いです。
これは、恥ずかしながら、僕があまりこれまで考えてこなかった問いでした。
一応、人材開発の世界に二十年弱おりますので、僕は、経験の浅い方の気持ちがあまりわからなくなっていたのかもしれません。
長く経験を積んだひとにはありがちな陥穽ですが、
(初心者の方が)わからないことが、(僕には)わからない
状況に陥っていたようにも思います。
考えてみれば、これまで行ってきた大学院生指導では、多くの大学院生は、何らかの人材開発の手法や考え方に、大学院進学前にすでに触れてきておりました。彼らは、すでに「入口」に立っていた。
しかし、学部ゼミ生は違います。彼らは、今回、はじめて人材開発の「じ」の字に触れました。そんな彼らが、どこで「つまづき」を感じたのかを考えさせられました。
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大きくわけると、人材開発の「ノービス」の感じる「つまづき」は、下記の4点に集約されるように感じました。以下、ゼミ生のふりかえりシートからの抜粋です(一部わかりやすいように、加筆・修正済み)。
【落とし穴1】ワークショップの「目的=ゴール」がおさえられず、ともすれば「技法」に走ってしまう
・ワークショップの目的を最初に立てるということを / 習ったはずなのに、ワークショップの面白さにこだわってしまい、目的が後付けになっていたのだ。これはわかっているはずなのに難しい。また、面白そうな案が出ると、「いいね、いいね!」とあまり根拠がないのに推し進めていたプロセスに問題があったねと振り返っていた。
・半年間のワークショップづくりを通して、まず、1)何を誰に伝えたいのか。ワークを通してどうなって欲しいのか、を決め、それを伝えるために、2)どんな伝え方をしたら相手が理解しやすいのかのロジックを考えるといった手順をしっかり踏むことが大切だと学びました。
・「相手の立場に立つということ」ワークショップを作る上で一番最初の障害となったのは、「相手が何を課題と感じているか」ということでした。(今回ワークショップをつくるときには)何かを作るたびに相手はどう思うか?ということを問いかけ続けました。
・(下級生にアドバイスをするのだとしたら)「宛先となる人達」のことをしっかり把握することを優先してください(ということです)
・あと、実際にワークショップに形作るときは、あまり凝りすぎずに、目的を押さえて出来るだけシンプルに作ることを心掛けるといいと思います。
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【落とし穴2】ワークショップのコンテンツ(プログラム)の流れと意味を想定できない
・(参加者からのフィードバックで最も印象的だったのは)「あなたのワークショップの、このコンテンツ、プロセスに意味はあるの?」という言葉でした。正直一つ一つの意味なんて考えてなかったです。「ワークショップで共同作業するんだから最初にアイブレするのなんて当たり前。」クイズ形式にしたのも「ただ読み上げて若者のナマゴエを共有するだけではなんかつまらないから」そんな感じでコンテンツ、プロセス1つ1つにしっかり意味を持たせて作らなかったから、コンテンツの全体的なつながりが見えてこなくてブツ切り状態になっていたし、このコンテンツやる意味あるの?ってなっていたなと思います。
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【落とし穴3】学びの場のデザインは「細部」に宿るという考え方ができない
・(フィードバックを受けて、一番考えさせられたのは、参加者の方からの)「コンテンツもそうだけど、立ち振る舞いから言葉の選び方まで全てに気を使って参加者に気持ちの良い物にしなければいけないよ」という言葉でした
・ケータリングにはそこまで深い意味を込めるんだな(本当にただ「空腹満たし」くらいにしか思ってなかったので)とか、動線をそこまで深く考えてるんだなとか、色々練られて「場」も作られているんだなあと感じました
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【落とし穴4】イベント開催中は、とにかく「観察」である
・あの日あの瞬間は、私の首には頭が7個くらい付いていたと思う。参加者のことを第一優先に考えながら、誰が動くべきか、何分削るべきか、どんな言葉で呼びかけるか、同時に何個も考えなければいけなかった。把握しきれない情報もたくさんあったし、本当に疲れた~。
・「絶対に手抜きしたらあかん」
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いかがでしょうか?
人材開発の「初心者」が陥りがちな「落とし穴」が見えてくるとは思いませんか?
皆さんの周囲には、人材開発の初心者が陥りやすい「4つの落とし穴」にどっぷりハマッている人はいらっしゃいませんか?
しかしながら、経験はひとを変えます。
今回、学生たちは、そんな「つまづき」の中から、多くを学び、自分の将来を考えたひともいたようです。印象深かったのは、下記のような発言でした。
(これまで)ある程度のことは、そつなくこなし、「出来なさそうなこと」は避けてきました。しかし、このままでは「悔しい」と思うようになってしまいました。きっと中原ゼミにいるせいです。
君は、自分で選んで、僕のゼミに来たんだよね。
変われて、よかったね。
どんどん「悔しいこと」にぶち当たってください。
最後になりますが、このようなイベントにご参加いただいた皆様、内田洋行の皆様に、ふたたび御礼を申し上げます。つたないワークショップでしたが、本当にありがとうございました。
本当に最後の最後に・・・印象深かったワンセンテンス
中原先生は、最近、ほんとうに「パパ」のようです、笑。
(イベント中も)「パパオーラ」、出てました、笑
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オレを「パパ」と呼ぶな(笑)
(まぁ、ゼミ生とは20以上も年齢差があるので、父親チックといわれれば、そうなんですが・・・)
そして人生はつづく
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