2019.3.26 07:00/ Jun
※3月27日は所用にてブログの更新を行いません。また明日お逢いしましょう!
「インターンとか、NPOでの活動、海外留学とかバンバン行っちゃう多動系の学生を見ると、うらやましいなと思うけど、自分は、そんな意識高い系には、なれないなと思っちゃう」
「会社のメンバーのひとりが、外部の勉強会や読書会に出かけていく、意識高いタイプなんですよね。すごいなと思うけど、自分には無理だなと思うんです」
・
・
・
僕は、仕事柄、ふだん「大学」と「ビジネス」の現場を往復しながら仕事をしています。そうすると、「大学で学生がふだん口にしていること」と「ビジネスパーソンがブツブツボヤいていること」が、さして「変わらない」ことに気づかされます。逆にいうと、あまり「成長していない」(笑)。
社会人は「最近の学生はなー」と言いたがるかもしれませんが、ある側面では「あんまり変わんないよ」と思わずツッコミを入れたくなるときもあります。
▼
たとえば、昨今ですとよく耳にするのは、会社や大学「以外」の外の世界での活動に関して、それに「ノレない層のボヤキ」は、上記のように恐ろしいほど似ています。それが冒頭の2つの発言です。
大学の場合だと、昨今の学生は、バ○ル世代の頃の学生(大学でまったく学ばなかった世代)とまったく違って、本当に忙しい。
授業、サークルなどの活動はあたりまえだとして、学生によっては、大学にはいってすぐにインターン、NPO、海外留学などに出かけていくひとも少なくありません。そして、そういう行動系(多動系)の学生に、非行動系の学生は負い目を感じていたりします。それが冒頭一番目の発言です。
「インターンとか、NPOでの活動、海外留学とかバンバン行っちゃう多動系の学生を見ると、うらやましいなと思うけど、自分は、そんな意識高い系には、なれないなと思っちゃう」
会社の場合だと、昨今は「自分のキャリアは自分でつくる」とか「学び直し」の機運も高まっており、様々なかたちで学ぼうとするひともいる。そういう外で活動するひと、越境して学ぼうとするひとに対して、「学びアンチ派」が思わず口にするのが下記の発言です。
「会社のメンバーのひとりが、外部の勉強会や読書会に出かけていく、意識高いタイプなんですよね。すごいなと思うけど、自分には無理だなと思うんです」
▼
僕は「越境教」の「教祖」ではございません。
外で活動するかどうか、外で学ぶかどうか、なんて「個人の自由意志」なのだから、好きになさいな、と思います。大の大人なのだから、好きになさればいい。他人が、あーせい、こーせい、あーするな、こーするな、と、とやかくいうことではない、というのが基本的スタンスです。
しかし、興味深いのは、これらの「非行動系の学生」も「学びアンチ派の社会人」は、「他人の自由意志の問題」に対する言及を、いつも行っている。あーせい、こーせい、あーするな、こーするな、と言っている(笑)。僕の見たところによると、いつも、先ほどのような「発言」を繰り返しているのです。
ということは「気になっている」。気になってしょーがないのだと思うのです。気にならないのであれば、他人のことなのだから、ほっておけばいいのに、ほっておけない。どこかで「うらやましいな」と思っており、「自分もそうなりたいな」と思っている。
そんな気持ちを持ちながらも、しかし、感情は、グニャリとねじまがる。
「うらやましいな」とか「自分もそうなりたいな」と思う反面で、
自分で自ら「外に出かけないこと」を「選択」している
のです。
ああ、アンビバレンツ(両面感情)!
そういう論理もクソもあったもんじゃないところが、実に人間臭くて、僕は好きです。
実に、愛おしい。
もう少し悩もう(笑)。
自信をつけたら、もう一度、どうするか、考えてみようね。
(ちなみに、よく行動派のひとに「意識高い系」とかいうラヴェルをはって批判する議論がありますよね。そういう議論に僕は与しません。というか与する必要がありません。そういう現象が「社会課題化」しているのなら学問として議論の余地がありますが、そうでないのなら、個人が好きに選択すればいいことです。だから、そういう議論の「問いの立て方」が、僕は興味がありません)
▼
今日は「外に出かけること」に関する大学生と社会人の典型的反応を書きました。この背景にあるのは「多動系」とか「意識高い系」とかいうラベルを打たれるひとに対する嫉妬みたいなものかな、と思うのですが、これが嫉妬ですむかぎりは、まぁ、かわいらしいなとも思います。ま、好きになさいな。
あなたは「外で活動する派」ですか、それとも「アンチ・外で活動する派」ですか?
後者の場合、本心では、何を思っていますか?
そして人生はつづく
ーーー
新刊「データから考える教師の働き方入門」(辻和洋・町支大介編著、中原淳監修)好評発売中です。1日の労働時間が約12時間におよぶ、先生方。その働き方を見直し、いかに持続可能な職場をつくりだすのか、を考えます。「サーベイフィードバック方の組織開発を応用した働き方改革」の事例として、教育機関以外の組織でも応用可能です。どうぞご笑覧くださいませ
ーーー
新刊「残業学」重版出来、5刷決定です!(心より感謝です)。AMAZONの各カテゴリーで1位を記録しました(会社経営、マネジメント・人材管理・労働問題)。長時間労働はなぜ起こるのか? 長時間労働をいかに抑制すればいいのか? 大規模調査から、長時間労働の実態や抑制策を明らかにします。大学・大学院の講義調で語りかけられるように書いてありますので、わかりやすいと思います。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
新刊「女性の視点で見直す人材育成」(中原淳・トーマツイノベーション著)が、AMAZONカテゴリー1位「企業革新」「女性と仕事」を記録しました。女性のキャリアや働くことを主題にしつつ、究極的には「誰もが働きやすい職場をつくること」を論じている書籍です。7000名を超える大規模調査からわかった、長くいきいきと働きやすい職場とは何でしょうか? 平易な表現をめざした一般書で、どなたでもお読みいただけます。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
新刊「組織開発の探究」発売中、重版4刷決定しました!AMAZONカテゴリー1位「マネジメント・人事管理」を獲得しています。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
【注目!:中原研究室のLINEを好評運用中です!】
中原研究室のLINEを運用しています。すでに約11000名の方々にご登録いただいております(もう少しで1万人!)。LINEでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記のボタンからご登録をお願いいたします!QRコードでも登録できます! LINEをご利用の方は、ぜひご活用くださいませ!
最新の記事
2024.11.22 08:33/ Jun
2024.11.9 09:03/ Jun
なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?
2024.10.31 08:30/ Jun
2024.10.23 18:07/ Jun
【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)