2019.3.19 06:42/ Jun
3月20日のブログ執筆はおやすみとさせていただきます!また明日お逢いしましょう!
「ゼミ」というコミュニティの経営を通して、学生に「生きた経営学」を学ばせることができるのではないか?
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ここ1年、僕は、このアイデアのもと、所属する大学で「中原ゼミ」を主宰しています。
ここで「中原ゼミ」というのは、中原が大学で教えなければならない「人材開発・組織開発(ひとづくり・組織づくり)」などに興味をもった1学年・20名程度の学生たちで、3年にわたって中原の研究指導を受ける集団をさします。1学年20人です。2学年で40人。3学年では60人。ははは、すげー。
また「生きた経営学」とは、「実体験を通して学ぶことのできる、ひとと組織に関する知識や、それを遂行する業務スキルのこと」をさします。
いわゆる「座学」で学ぶ「静的な知識」ではなく、「実体験を通して学ぶことのできる知識・スキル(≒経験学習された知識)」というところがポイントです。生きた「経営学」といっても、中原ゼミで経験学習できるのは「人づくり・組織づくりの知識」です。戦略やマーケティングの知識を学ぶことをねらっているわけではありません。
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ゼミの経営を通して、「人づくり・組織づくり」の知識を経験学習する
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まず、ゼミの経営は「採用」からはじまります。
中原ゼミの場合、「人づくり・組織づくり」に興味がある、という、ただその1点で、400名弱の学生の中から20名がメンバーとなりますが、応募者が多い場合には、既存メンバーが新規メンバーを選抜を行わなくてはなりません。
中原ゼミでは、神戸大学の服部泰宏先生の「採用学」や曽和利光さんの「人事と採用のセオリー」などを学生たちが購読し、それらの知識を応用するかたちで、企業の採用活動とほぼ同じプロセスで、ゼミ採用を行います。
学生がどこまで意識できていたかは心許ないのですが、「応募者のプールを形成する」「既存メンバーのコンピテンシーを分析する」「今後の組織の戦略を明示する」「採用するメンバーのポートフォリオを決める」「採用ポリシー・戦略を決める」「広報戦略を決める」「採用基準を決める」といった一連の作業を通して、
「自ら採用活動をするなかで、採用について学ぶ」
ということにチャレンジしました。様々な課題はあったかもしれませんが、優秀な1年生20名を選抜できたのだと思います。
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採用が終われば、「人材開発・組織開発」です。
まず、新規メンバーには研修・合宿が企画されます。メンバー同士仲良くなるためのチームビルディング系の研修と、自分たちが何をやりたいのかを決めていく合宿です。
中原ゼミでは、
「自らの学びは、自らデザインせよ」
の中原のポリシーのもと、さっきまで他人だった学生20名が、自分たちで、自分たちの学びを企画し、やり遂げることが求められます。僕は、必要な助言以外は、極力何もいいません。
で、何がしたいの?
目的はなんなの?
そのために何が必要なの?
ということだけは、何度も何度も口にします。
学生たちは単位になるゼミ時間を1つと、単位にならない自主ゼミ時間を2つ、合計3コマ分をゼミ時間にあてているようですが、それさえも、自由です。どのような活動をしようが自由。僕は、1週間100分の時間(つまりは1時限分だけ)ゼミに出席します。その時間、僕をどのように使おうが、自由。
講義をさせるのもよし
ファシリテーションさせるのもよし
極端な話、だべっていてもよし(笑・現実にはない)
いずれにしても、学生たちは、「自分たちがどうなりたいか?」を考え、「自分たちのカリキュラム」を、さっきまで赤の他人だったメンバーたちと、つくりあげ、やりとげなくてはなりません。
その際、最初にまず行われるのが組織開発です。
これは上級生がファシリテータとなって、場をつくってくれます。学生の有志は「組織開発の探究」は読み込んでいます。まずは、自分たちの組織の課題を見える化して、自分たちがどのようにありたいかを決めていきます。ポジティブ組織開発の手法などを用いつつ、自分たちの強みなども見える化していきます。
その後は、前期・後期それぞれ14回のカリキュラムを決めていくことが求められます。
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僕としては、こうしたプロセスのなかで、組織開発や人材開発の「生きた知識」を学んで欲しいのです。
自らファシリテータとして登壇するなかで、ファシリテーションについて学ぶ
自らカリキュラムをつくっていくなかで、研修体系づくりについて学ぶ
自らチームビルディングする中で、チームビルディングについて学ぶ
結局、中原ゼミとは「経験学習によって経営学(ひとと組織の知識)を学ぶことをめざした集団」なのかもしれません。ま、、、遅遅として進まないことも多々あります。組織開発に失敗して、ゼミが崩壊しかけたこともありました。「中原、帰っちゃう事件」というのもございました(笑)。
4年生以降は卒業論文に入っていきますが、2年生・3年生のうちは、効率は悪いかも知れませんが、経験学習を積み重ねています。そういうプロセスを経験することで、研究や探究の面白さに気づき「学問の入口」にはやく立って欲しいと願っています。学問や書籍購読を否定しているわけでは1ミリもございません。むしろ、そこに早く至って欲しい。そのために経験学習をつづける日々です。
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今日から2日間、学生たちと合宿にでます。総勢45名くらい?(すげー)
合宿の内容も、自分たちで決めているので、僕はよくわかりませんが、いろいろ考えているようです。
すべてがデザインです。さて、どんなデザインがなされているのか。楽しみでなりません。
経験学習を通して、生き生きとした知識を学んでほしい
と思っています。
そして人生はつづく
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