2018.11.20 06:52/ Jun
先だってのブログで、僕は「自分は、アイスブレークの時間が、どうにも苦手だ」と書きました。
「アイスブレーキングタイム!」と言われると、余計に緊張して「気恥ずかしく」なっちゃう「困ったちゃん」のボヤキ!?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/9633
お忙しい方のために、ワンセンテンスで、上記の記事を要約すると・・・
僕は、ひそかに「ネクラ」なので、ワークショップや研修などの冒頭部分で、「他人と打ち解け合う時間」が人一倍必要なのにもかかわらず、いざファシリテータに「アイスブレーキングタイム!」と言われると、ついつい身構えてしまい、何をしてよいか、わからなくなってしまう
というしょーもないお話でした(笑)。
一銭の得にもならん(笑)
でも、このお話を書いたあと、
「わたしも、実は、苦手です・・・」
「僕も、これまで隠してきたけど、どうしてよいかわからなくなるんです・・・」
といったようなメイルやメッセージをたくさんもらいました。
「アイスブレーキングが苦手なひとは、意外に、多かったのね・・・同士よ(抱擁)」(笑)
・
・
・
というわけで、僕は「お調子こき太郎」なので、反響をいただくと、また、これについて重ねて「書かざるを得ない」(笑)。
アイスブレーキングと同様に、研修やワークショップ(とりわけ組織開発をめざしたワークショップ)で用いられる「呪文」のようなインストラクションで、もうひとつ僕が苦手とするものをお知らせしましょう。
なんだと思います?
それは・・・・
「チェックイン!」
いやー、これが毎回、緊張しちゃって、苦手 of 苦手。
もちろん、大人げなく拒否とかしませんよ。順番がきたら、やりますよ。もちろん、やります。
だけれども、心の中では、いつもドキドキしている。できれば、逃げ出したくなる衝動にかられながら、自分に順番がまわってくるのを待っています。
ここで「チェックイン」とは、
1.ワークショップや研修の冒頭で
2.場の「本題(メインコンテンツ)」に入る前に
3.参加者ひとりひとりが、「今の気持ちや思っていること」を
4.平等に順番に共有(発言)しあうこと
をいいます。
たいていのワークショップでは、自己紹介をかねて、「今、ここの気持ち」を共有します。
「さ、チェックインしましょうか?」という感じで、突然、ファシリテータから指示が出されます。
「チェックイン」と言われたら、参加者は、何をするか?
たとえば、「今、ここ」に5人の参加者(Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさん)が仮にいるのだとしたら、Aさんから順番に、「今、ここで自分が感じている気持ちや、考えていること」をBさん、Cさん、Dさん、Eさんに向けて発言する。
「えーと、XXから来たAです。わたしは今、とても幸せな気持ちです。なぜなら、今日は待ちに待った、このワークショップに参加する日です・・・・」
みたいな感じです。
で、Aさんが終われば、次はBさん、それが終われば、Cさん、Dさんですね。
▼
この「チェックイン」、参加者が「円陣」を組んで座るような、いわゆる「ザ・組織開発系のワークショップ」では、よく見られる手法です。多くのファシリテータが、この方法を用いるのではないでしょうか。これには、いくつかの意味(含意)があります。
チェックインでは、
1.参加者全員に発言を求めることで、場が「民主的」で「フラットな関係性」を大切にしていることを暗に伝えている
2.「今、ここに感じていること / 考えていること」を述べさせることで、組織開発にとって重要な「今、ここ」の価値観を強調する(今、ここで組織やチームに起こっている問題に焦点をあてて皆で議論することを強調する)
3.お互いの今の気持ちを知り合うことで、これから行う活動をやりやすくする「背景情報」を共有する
・・・という感じでしょうか。
だから、その重要性は、頭では、よくわかっているのです。
やらなな。
ここは、民主的な場だからな。
今、ここの気持ちだよな、と思っています。
でも、そう考えれば考えるほど、「よこしまな僕」には、同時に「邪念」もわいてきます。
これから、ひとりひとり発言するんだよなぁ・・・。
面白くないこと言うのもなぁ・・・。
ウィットに富んだこと、いわなきゃ、ダメなのかなぁ。
あいつ、おもろなって思われたら、イヤだよなぁ。
そして、この「邪念」が「邪魔」をしはじめる(笑)。
知らず知らずのうちに、なんか「ウケることをいわな」という気持ちになってくる(笑)
単に「感じていること / 思っていること」を言えばいいだけなのに、、、ついつい「邪念」が。
とりわけ、これがさらにドサイアクなパターンに陥るのは、自分のいくつか前に発言した人が、ドッカンドッカンとウケちゃった場合です。
たとえば、僕の2つ手前あたりのひとが、みんなの笑いを誘うようなことを言ってしまうと、この「邪念」が増幅して、ついには「焦り」に変わります。
あっ、あのひと、ウケてる。
やばい、この次の次に、オレに順番、回ってくる。
どうしよ、どうしよ。
やばい、やばい。
あ、どうせなら、この「ウケをとろうと、焦っている気持ち」を
そのまま言えればいいけどな。
そんなシュールなチェックイン、あるかいな。
こんなワークショップにまで来て、
アホなこと言ったら、昼に誰も話しかけてくれなくなっちゃうかもな。
あっ、やべー。
次のひとも、またウケた。
次、おれじゃん。
あっ、これ、あかんやつやん。
やべー。
このあとに、フツーのこと言ったら、どん引きだ。
でも、やばい、何にも考えてない。
ていうか、シャレたこと、頭に浮かばない。
えーーーーい。
もうしょうがない。
ふつうに、自己紹介したれ。
「こんにちは、中原です。今日は少し眠いです。宜しくお願いします」(どん引き)
かくして、いつも自己嫌悪に陥ってしまいます(泣)。
だから、チェックイン苦手。
▼
今日は「チェックイン」について書きました。メンバー同士がフラットに発言し、「今、ここにチームにおきている課題」に焦点化する目線あわせを行う意味では、もしかすると、こうした儀式的な場は必要なのかも知れません。
しかし、実は、チェックインの背後では、ひと(僕)は、心の奥底にわき起こる「邪念」と密かに「攻防」していることを、正直に、吐露したいと思います。
えっ、僕だけ?
あなたは「チェックイン」は「得意」ですか?
あなたは「チェックイン」で、「邪念」と「攻防」したことはありませんか?
トホホ
そして人生はつづく
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