NAKAHARA-LAB.net

2018.6.4 06:05/ Jun

若さとは「アクセルとブレーキを同時に踏み込んでしまうこと」である!?

「20しか力をかけてはいけないところに、120の力でぶつかろうとしてしまう。30しか、求められていないところに、150で全力でぶつかろうとする」
   
 先だって、ある学生さんが、僕に、こんなひと言をつぶやいていました。
 この「愛すべき学生さん」が僕に語っているのは、「自分の周囲にいる学生の仲間たち」が、さまざまなプロジェクトやグループワークに熱心に取り組んでいる様子です。
   
 立教経営では、1年生・2年生の頃は、いくつもの授業で、グループワークを経験します。グループワークの多くは、それまであまりあったことのない学生とチームを組んで、それに取り組みます。
 そこには、「活動の濃淡」ができますし、様々な「コンフリクト」が生まれる場合もあります。「プライオリティ」を決めて取り組まなければならないところに、適切な役割分担ができず、爆走したりします。それでも、何でも、とにかく前に進む。
  
 この愛すべき学生さんは、自分の周囲にいる仲間たちのことを形容して、先ほどのように呼びました。
  
「20しか力をかけてはいけないところに、120でぶつかろうとする」
「30しか求められていないのに、150で全力でぶつかろうとする」
   
 何事にも熱心に取り組む「学生の皆さんの若さ」を形容するためのメタファとしては秀逸だな、と思って、思わずメモをしてしまいました。 
  
  ▼ 
  
 大学を移籍してはや2ヶ月。
 だんだんと慣れてはきましたが、まだ二十歳にもならない学部生と接していると、ときおり、考えてしまうことのひとつに、彼らの「まぶしいまでの若さ」があります。
  
 若さとは「アクセルを踏むべきところで、ブレーキを踏むこと」
 若さとは「ブレーキを踏むところで、アクセルを踏み込んでしまうこと」
 そして
 若さとは「アクセルとブレーキを同時に踏み込んでしまうこと」
  
 この2ヶ月、僕は、「まぶしいまでの若さ」を目の前にして、こんなことを考えていました。もちろん、これらのメタファは、彼らを「揶揄」して述べているのではありません。むしろ「うらやましい」と思いつつ、微笑ましく見ています。
  
 その様子は、冒頭の彼が形容したように
  
「20しか力をかけてはいけないところに、120でぶつかろうとする」
「30しか求められていないのに、150で全力でぶつかろうとする」
  
 に似ているのかもしれません。
  
  ▼
  
 しかし、僕は、今は、それでもいいんじゃないかな、とも思います。自分自身の昔を振り返ってみると、たしかに、そんな時代もあったよな、と思うのです。
     
 振り返ってみると、二十数年前・・・(遠い目)
 自分がまだ二十歳だった頃のことを考えると、僕はもっともっと「ちぐはぐ」だったし、「無鉄砲」で、いろんなものに「体当たり」して「空回り」していました。
    
 20しか力をかけてはいけないところに、120でぶつかり、90のロスが生まれました。
 しかし、今から考えれば、それは無駄じゃかったようにも思います。
   
 周囲からは30しか求められていないのに、150で全力でぶつかっていたような気がします。
 そこには120の「空回り」が生まれましたが、それでそれで大きな「学び」になった気もします。
   
 反面、本来、150の力で望むべきところに、50の力しかかけずに、100の未達成を経験したりもしました。
 しかし、それは二度と繰り返さなければよいのです。
   
 皆さんはいかが思われますか?
   
  ▼
   
 今日は、いくつかのメタファを用いながら「若さ」について考えてみました。
  
 若さとは「アクセルを踏むべきところで、ブレーキを踏むこと」
 若さとは「ブレーキを踏むところで、アクセルを踏み込んでしまうこと」
 そして
 若さとは「アクセルとブレーキを同時に踏み込んでしまうこと」
  
 皆さんの若い頃、二十歳の頃は、どんなブレーキ操作・アクセル操作をしていましたか?
 そして、今、現在、皆さんは、どんなブレーキ操作・アクセル操作をしていますか?
  
 50の力を求められているところに、48くらいの力でのぞんでいますか?
 100の力をかけるべきところに、101くらいの力で取り組みますか?
  
 もしかすると「若さを失う」とは、そういうことなのかもしれません。
  
 そして人生はつづく
 
  ーーー
  
【注目!:参加者募集中!】
 8月9日・10日開催「未来のマナビフェス2018」の募集がすでに始まっております。募集後、すでに3桁を突破しております。会場は広いのでまだ余裕はございますが、おそらく、〆切前に募集は停止するものと思われます。わずか2日間
で人材開発業界、教育業界、採用業界の「今がわかる」イベントです。どうぞお越しくださいませ!
  
【未来のマナビフェス2018:2030年の学びをデザインする:申し込み開始です!】
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/8993

  ーーー
   
新刊「働く大人のための学びの教科書」、AMAZON総合13位、AMZONカテゴリー(仕事術・整理法)1位を記録しました。人生100年時代、私たちは、しなやかに変化しながら、長く働くことが求められています。学校では教えてくれない「大人の学び方」。7人のビジネスパーソンのリアル学びストーリーも収録しています。ぜひご笑覧いただけますと幸いです。
   

   
  ーーー
  
【注目!:中原研究室のLINEを好評運用中です!】
 中原研究室のLINEを運用しています。すでに約7300名の方々にご登録いただいております。LINEでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記のボタンからご登録をお願いいたします!QRコードでも登録できます! LINEをご利用の方は、ぜひご活用くださいませ!
      
友だち追加
   

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.11.22 08:33/ Jun

最近、僕は何をやっているのか?そうね、いろいろやってます!?

2024.11.15 15:01/ Jun

【無料カンファレンス・オンライン・参加者募集】AIが「答え」を教えてくれて、デジタルが「当たり前」の時代に、学生に何を教えればいいんだろう?:「AIと教育」の最前線+次期学習教育課程の論点

2024.11.9 09:03/ Jun

なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?

2024.10.31 08:30/ Jun

早いうちに社会にDiveせよ!:学生を「学問の入口」に立たせるためにはどうするか?

2024.10.23 18:07/ Jun

【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)