2018.5.24 06:29/ Jun
先生、大学の先生って「ビジネスやってる社会人」のこと、本当は「嫌い」なのかなぁ
それに、大学の先生って、「実務家」のことを、本当は「怖がって」いませんか?
大学の先生って、ビジネスやっているひとのことを「実務家」と呼ぶでしょう。
あれも、なんだかなぁ。こっちの世界に「線」を引いているように聞こえるんですよね。
実務家同士で、相手のことを「実務家」なんて、言わないんですよ。
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かなり前のことになりますが、ある社会人大学院に通う、あるビジネスパーソンの方が、非常に興味深いひと言をもらしておられました。大変興味深いので、話をうかがってみると、その方が、かなり前に大学院の授業で、ある先生に、下記のような質問をしたそうです。
「実務では・・・の課題を抱えているのですけれども、この理論では、その状況を説明できません。この場合、どう考えればいいのでしょうか」
要するに、「今さっき、自分たちが先生から学んだ理論は、自分が困っている実務的課題を、うまく説明できないのだけれども、どう考えればいいでしょうか?」と質問なさったということですね。
そうしたところ、大学の先生が、突然、みるみるうちに「機嫌を悪くしてしまった」とのこと。そして、ひと言冷たく言い放たれた、とのことでした。
曰く、
「理論は理論なのだから、いいから、学びなさい」
と言われたそうです。
おそらく、このビジネスパーソンの方の話は、かなり話の前後を「はしょって」いるようにも思いますし、その方の見方も、かなり含まれているような気がいたします。
が、要するに、話の顛末はこんなところでした。ここまで話したところで、あいにく時間切れとなってしまいました。
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僕も大学教員のひとりです。この先生の気持ちをすこしだけ解釈するのだとすると、おそらく、この先生は、この「実務家」の方から
「理論は実務に役に立たない」
と「非難」されたように感じたのではないでしょうか(本当のところはわかりません)。
ビジネスパーソンから「理論に対する質問」を受けたのだけれども、ついつい、それを「自分が今教えた理論に対する非難」として受け止めてしまった。それで、ついつい、「実務のこともわかるけれど、一度は理論を学びきりなさい」といいたくなったのではないかと思うのです。ま、邪推ですけれど(笑)
教育施設にこられる社会人にも「さまざまなタイプの方」がいらっしゃっいます。
おそらく、一番困るのは、せっかくビジネスの現場を離れて、教育施設に来ているのに、そうした立場を活かせない方です。
もっとも「困ったちゃん」は、「自分の実務家的課題を理論が、解決できないこと」をあげつらい、常に、「理論は役に立たない」「学問は意味がない」「大学院は意味がない」と主張し続ける方です。最近はきわめて少なくなりましたが、昔は、どこの教育施設でも、ひとりくらいは、いらっしゃいました。
おもわず、
「意味がないと思われるなら、来なきゃいいんです。
誰も、あなたに来ることを頼んでませんよ」
と言いたくなってしまう衝動にかられます(笑)。
教育施設にいる人間のからすれば、大学院にくる意味とは「現場を離れて、抽象的な物事を考えるトレーニングをつむこと」「現場で培われた経験を棚卸しをすること」「現場で獲得してしまった固定的なものの見方を学習棄却(Unlearnすること)」にあります。
だから、「いったんは現場を離れて、抽象的にものを考える癖を習得してほしい」と願います。もし、この方が、こうした方だとしたら、その先生は、そうおっしゃいたかったのかな、とも思います。
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一方で、大学教員の中には、「実務家を嫌いな人」はいらっしゃるような気がいたします。
大学教員の中には「実務」は「低いもの」と見ているひとが少なからずいて、そうした方が、社会人大学院で教えていたりするから、話がややこしい(笑)。
そして、大学教員のなかで、心の奥底で「実務家から何かを言われることを恐れている人」は「一定数」いるような気がいたします。そういうものは、どんなに隠していても、発言のここ、あそこに、ダダ漏れしているものなのです。
そして、そうした「嫌悪感」や「恐怖感」の背後には「自分は実務をしたことはないという引け目」と「抽象的な理論が実務に役に立たないと実務家から指摘されること」も、ひとつであるように思います。みなさま、いかがでしょうか。
ちなみに、僕は、実務家をまったく「恐れません」。
むしろ、実務家と話すことが「めちゃ好き」です。
そして、「理論が実務に役に立たないと実務家から指摘されること」は「大歓迎」です。
ていうか、もっと言って!(笑)
なぜなら、そこから、はじめて「面白いこと」が起こるからです。
いったん「お受け」して、すかさず、「切り返して」、学問の深遠な世界に誘い込めばいいのです。
「理論が実務に役だ立たない」というのなら、「理論を再構築すればいい」ですし「地に足のついた実務にねざした研究」を、これからすることを促せばいいように思います。
「たしかに、この理論では、この実務課題は解決できませんね。でも、だったら、実務にあうような理論を一緒に研究しましょうよ!」
とか
「たしかに、この理論は、この実務課題にはあっていませんね。だったら、今の現場に応えるような研究を、今、しませんか?」
と問えばいいのです。
実務家から質問をうけたときこそ、「実務に活かされる理論」「地に足のついた研究」の「きっかけ」がある、と考えてしまうのは、「生まれながらの楽観主義者」だからでしょうか。ま、地に足をつけて、いっしょに考えればいいじゃん。
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今日は「理論と実務」という「永遠の課題のようなお話」をさせていただきました。
この問題、皆様はどうお考えでしょうか。
そして人生はつづく
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