2018.1.26 05:58/ Jun
博士論文を書くとは「自分と向き合うこと」である
そして「けじめ」をつけることである
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今年度、中原研究室では、博士論文を執筆する大学院生が何人かおられます。
過去1年には、研究室の2名の方々が博士号を取得しました(おめでとうございます! 研究室ができてから4人目になりますね)。現在、2名の方が、まさにアタック中。ぜひ最後まで「完走」していただきたいものだと思っております。
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博士論文の指導教員(主査)として指導をしていて(たいした指導はしていませんが・・・)、最近、つくづく思うことがあります。それは冒頭のひとこと。
博士論文を書くとは「自分と向き合うこと」である
そして「けじめ」をつけることである
ということです。
このことは所属する大学院や、学問分野によって違うので一概には言えませんが、少なくとも僕の置かれている状況では、そう思います。
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以前、このブログでも、書いたことがありますが、
博士論文の執筆プロセスとは「U字の谷」を上り下りするようなもの
です。図にしてみると、こんな感じ。
下記では、このことを少し説明してみましょう。
図にみえますように、博士論文の最初は「自分はなぜこの論文をかくのか」「一般・理論・抽象的な議論 / 社会背景 / 歴史的背景」といったようなことをのべる「高み」からはじまります。
そして、そうした「高み」にこれからやるべきこと、すなわち、自分の研究を意味づけ、位置づけながら、「個別・実践・具体」の世界に「下っていく」。この「下り」は「先行研究を批判的に吟味する / 自分の研究のオリジナリティを主張する」とよぶこともあります。
「下界」におりたら、ただちに、RQをかかげて、いくつかの研究知見を積み重ねなくてはなりません。ここは個別・具体的に研究を積み重ねるところです。
問題は、ここからです。下界で得られた知見は、そのままにしておいてはいけません。そこで「旅」を終えては「谷底で遭難」です(笑)。
「下界」で得られたものを、もう一度持ち帰るべく、谷をはいあがらなくてはならない(笑)。
「下界」で得られた知見を、「一般・理論・抽象な議論」といったような「高み」に「意味づけなおし」「位置づけなおし」を行わなくてはならないのです。
そして極めつけは「自分と向き合うこと」です。
「過去の自分は何をやってきたのか」「自分の研究とは何だったのか」、そして「これからの自分は何をしていくのか」を述べなくてはなりません。これが懸案の「けじめ」をつけることです。
それができて、ようやく「高み」に戻ることができました。「U字谷、無事終了」です。
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しかしながら、言うのは簡単ですが、この「U字谷」の旅はまことに苦しい。本当に苦しい。特にラストワンマイルの「けじめ」の部分です。
「過去の自分は何をやってきたのか」「自分の研究とは何だったのか」、そして「これからの自分は何をしていくのか」を述べる頃には、体力や気力も尽きており、もう、ほうほうの体なわけでございます。
そんななか、自分の研究を学問分野全体に位置づけつつ、さらには、自分にけじめをつけなければならない。もう必死です。
しかし、博士論文を指導する先生方は、こここそを、ぜひ「完走」して欲しいと願います。
それは、
博士論文を書くということが、大学院における「最後の教育機会」であるから
そして、博士論文を書くということは、「研究者人生の入り口」だから
です。
また、
博士論文を書くということは、「巣立つ」ということであるから
博士論文を書くということは、「別れる」ということであるから
だと思います。
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今日は博士論文を書くことについて私見を書かせていただきました。
おそらく、全国の大学院には、数多くの博士論文執筆者、博士号予定者の方々がおられるのだと思います。分野によって違うとは思いますが、ぜひ、自分の研究に「けじめ」をつけて、新しい世界に飛び立っていただきたいと願います。
終わった論文がよい論文。
けじめをつけられたあとは、もう二度と過去を振り返らず、
自分の領域で、心ゆくまで暴れてください。
そして人生はつづく
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