2017.9.11 06:59/ Jun
朝っぱらから問題です!
【問題】
居酒屋、美容院、不動産取引につぐ産業で
日本全国に5000件以上のお店があり
人々がフラットに交流できる場とは何か?
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
答えは「スナック」!
「おかし」の「スナック」じゃなくて、二次会なんかで出かけて、ウィスキーを水割りで飲んで、なぜかカラオケがはじまる、あの「スナック」!
▼
スナックに関する学術研究書・・・谷口功一・スナック研究会(編著)日本の夜の公共圏:スナック研究序説(白水社)を読みました。
本書は、様々な分野の研究者が、それぞれの専門性を活かして、スナックについて調査、論述を行っている本です。著者には主に、法律、政治などの研究者が多いせいか、論考は、法制度の問題が多めですが、それでも、スナックが学術研究の対象になることは、日本初?のこと。ふだん、まったく考えないこと(!)だけに、面白く読むことができました。
【目次】
序章 スナック研究事始 谷口功一
座談会 珍日本スナック紀行? ——都築響一氏に聞く 前篇
第一章 スナックと「物のあはれを知る」説 高山大毅
第二章 行政から見たスナック——夜の社交を仕切る規制の多元性 伊藤正次
第三章 夜遊びの「適正化」と平成二七年風営法改正 亀井源太郎
第四章 スナック・風適法・憲法 宍戸常寿
座談会 珍日本スナック紀行? ——都築響一氏に聞く 後篇
第五章 カフェーからスナックへ 井田太郎
第六章 〈二次会の思想〉を求めて——「会」の時代における社交の模索 河野有理
第七章 スナックと「社交」の空間 苅部直
第八章 スナックの立地と機能——「夜の公共圏」vs.「昼の公共圏」 荒井紀一郎
補章 なぜスナックを語りたくなるか 横濱竜也
編集後記 谷口功一
▼
スナックとは何か?
社会科学では、物事を見るときに、なんらかの「視座」を必要とすることが多いものです。
本書の底流に流れているのは、社会科学ではおなじみの概念「公共圏」の概念です。
様々な定義がありますが、ここで「公共圏」とは「市民社会を支える場」であり、「市民がフラットな立場でコミュニケーションを営むことのできる機会・域」であるとします。
地域には様々な人々が暮らしています。
富める人から貧しい人まで
会社のシャッチョーさんから、従業員まで
一般に、それぞれの人々は、それぞれの階級や立場に応じた場で、飲食を行うのが一般的です。
しかし「スナックは違う」と本書は主張します。
スナックはいわば「夜の公共圏」として機能し、様々な人々が肩書きなしで集い、知らず知らずのうちに打ち解け、気づけばカラオケに興じている空間である、と位置づけます。
あなたの周りの「スナック」は「夜の公共圏」ですか?
▼
正直に申し上げますと、僕は、自分からスナックに出かけることはありません。
あったとしても、誰かに誘われて5年に1回行くか、行かないかという感じ。
僕はスナックを知りません。
このような僕が「スナック=夜の公共圏」なのかどうかはわかりかねるのですが、しかしながら、本書を読んで、出かけてみようかな、と、とても興味を持ちました。
特に、定年後、老後という観点でいくと、自分の身近に、馴染みの店があることは、日々の生活に変化をもたらす可能性があがるのかな、とも思います。
本書によれば、スナックとは、人々の情報がいきかう「ハブ」のようなものだといいます。
本書では、レイ・オルデンバーグの「第三の場所(The great good place – The third place)」の概念も紹介されていましたが、家庭でもなく職場でもない「第三の場所」が自分のすむ地域にあったらよいなと思います。
しかし、お店を見つけるのも、そこに馴染むのも、準備は「事前」に必要です。こういうものは、老後、定年後に「なってから」動き出すのは、遅いことが多いのです。じゃ、今か?(笑)
地域社会と比べて首都圏には、あまりスナックは発達していないようです。
が、どこかよい店があったらな、と思い、本書で多数紹介されている玉袋筋太郎氏、都築響一氏らの本を注文してしまったのですから、「まんま」と乗せられてしまったな、という感じです(笑)
本書の目的が、「スナックに関する学術研究を行う」ことに加えて「学術研究を通して、スナックへの興味関心を喚起すること」にあるのだとしたら、その目的は、少なくとも僕の中では「達成された」ようです(笑)
ま、子育て中の今は、ちと厳しいのも事実なのですが(笑)。
興味津々でございます。
皆さんは、スナック、よく行きますか?
そこは「公共圏」として機能していますか?
今週も頑張りましょう!
そして人生はつづく
ーーー
「ひとはもともとアクティブラーナー」(山辺恵理子、木村充、中原淳編、北大路書房)AMAZON予約販売中。高校におけるアクティブラーニングの最新事例(フルカラー!)、今すぐ使えるワークショップ&ワークシートの数々、全国調査事例がぎゅぎゅぎゅと詰まった一冊です。東大 × JCERIの2年間の研究活動の成果!どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
新刊「人材開発研究大全」AMAZON予約販売始まりましたが、発売前から重版決定です!ありがとうございます。人材開発研究の最前線を、4部構成・全33章であますところなく所収する国内初のハンドブックです。日本型雇用慣行が崩壊しつつある現在、日本の組織は「能力形成システム」を再構築する必要に迫られています。新人育成・OJTからリーダーシップ開発。民間企業の育成から教師教育・看護教育・医療者の学習まで。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
【注目!:研究室のLINEはじめました!】
中原研究室のLINEを運用しています。すでに約2300名方々にご登録いただいております。LINEでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記のボタンからご登録をお願いいたします!QRコードでも登録できます! LINEをご利用の方は、ぜひご活用くださいませ!
最新の記事
2024.11.22 08:33/ Jun
2024.11.9 09:03/ Jun
なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?
2024.10.31 08:30/ Jun
2024.10.23 18:07/ Jun
【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)