NAKAHARA-LAB.net

2017.9.5 06:24/ Jun

「一億総録音時代」に身につけておきたい「フィードバック」という「防具」!? 

 先だって、ある雑誌の対談で、
    
 今の時代、管理職にとって
 フィードバックのスキルは「防具」でもあるんじゃないだろうか?
    
 という話題で、盛り上がりました。
    
 ここで、フィードバックとは
    
 1.耳の痛いことをふくめて「部下の仕事の現状」を「鏡」のように通知し、
 2.部下の仕事を立て直す部下育成の技術
    
 と考えましょう。正しい方向に飛び、成果をあげるために、斜め上の他者、上位者、そして第三者からのフィードバックは、重要な情報となります。
    
 拙著「フィードバック入門」では、この技術を、今後の管理職がもつべきスキルのひとつとして位置づけ、論じさせていただきました。
 来月あたりには、この新書をさらにさらに「簡単版」にした「図解 はじめてのフィードバック入門」が出版される予定です。
    

     
  ▼
   
 さて、冒頭の問い
  
 今の時代、管理職にとって
 フィードバックのスキルは「防具」でもあるんじゃないだろうか?
  
 ですが、これは、昨今、静かに広がりをみせている、「ある事実」を背景に語られたものです。
  
 その事実とは、
  
 昨今の「とくに厳しいことを通知するような評価面談」では、部下が、携帯電話で「会話を録音していること」を前提に、話さなくてはならない
  
 という事実です。あなたの会社や組織で、それが常態化しているかどうかはわかりません。
 しかし、リスクマネジメント的には、そのことを「前提」に、スパイシーな会話においては、コミュニケーションをとる必要があるということです。
  
 周知のとおり、今の時代、ICレコーダをもたずとも、手持ちの携帯電話で簡単に「録音」をとることができます。
 会話を黙って「録音」することがよいことか、悪いことか、その是非は今は問いません。しかし、そのようなことが「技術的」には可能になっている時代をわたしたちは生きています。そして、「会話を録音されていても」、おかしくないように、上司はコミュニケーションをとる必要がでてきている、と感じているのは、僕だけではないはずです(人事界隈のスパイシーな会話は、これまでも、みな、すべてそうでした)
  
 問題は、「厳しめの内容」を伝えなければならないような評価面談で、管理職が、フィードバックのスキルなどを持ち合わせておらず、感情を激昂させてしまったり、感情をぶつけてしまったりしてしまったりすることです。
   
 このようなことがおこってしまい、その程度が激しい場合、かつ、「録音」が何らかのかたちでオープンになってしまった場合、管理職の方に「厳しめの判断」が下ることもあります。
  
 そのためには、管理職が、コミュニケーション技術をさらに高める必要があります。
 冷静に、しかし、それでいて、本来言わなくてはならないことをしっかりと通知し、立て直す技術「フィードバック」を前もって持ちたいものです。
「録音時代」だからといって、ひるむことなく、本来伝えなければならないことを冷静に伝えるコミュニケーションスキルが必要です。
  
  ▼
  
 わたしたちは「一億総録音時代」を生きています。
 フィードバックの技術は、現代を生きる管理職の「防具」でもあると僕は思います。
  
 昔懐かしのロールプレイングゲーム(RPG)でも、防具をもたず、街を出てしまえば、いくら勇者といえども、スライム」にでも、負けてしまいます。
  
 ぜひ、防具をもって、街へ!
  
 あなたは「防具」をもって、街にでましたか?
 あなたの周囲の新任管理職は、街に出る際、「防具」を持たされていますか?
  
 そして人生はつづく
  
 ーーー
  
新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、すでに7刷・重版出来、もうすぐ3万部です!AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!
年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。
   

  
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