2017.7.6 05:38/ Jun
本日、新刊「仕事人生のリセットボタンー転機のレッスン」が発売となります。元・アスリートの為末大さんと、中原の共著による新書で、ちくま新書からの刊行です。
「仕事人生のリセットボタンー転機のレッスン」(為末大・中原淳著)
http://amzn.to/2tP2skb
「仕事人生のリセットボタンー転機のレッスン」は、現在を懸命に生きるビジネスパーソンが、「長期化がみこまれる自分の仕事人生」を「完走」することができるようになるためのヒントを集めた本です。本書は、元アスリート為末大さんのセカンドキャリアにおける選択を振り返りながら、この難問に挑みます。
スポーツ × ビジネスによる全く新しい「仕事論」?
ワンセンテンスでいうと、本書は、こんな特徴をもった本かもしれません。
▼
嗚呼、僕の仕事人生、このままで本当にいいのだろうか
もし、自分の仕事人生にも「リセットボタン」があったとしたら。
昔懐かしのゲーム機にあったような「リセットボタン」を押せたとしたら、どんなにいいだろうに。
新入社員、駆け出し期を乗り越えたビジネスパーソンは、このような思いを、一度くらいはもったことがあるのではないかと思います。社会保障がぐずぐずで、かつ、健康寿命が延びる昨今。いったい自分は、いくつまで働けるのだろう、否、働かなければならないんだろう。
自分は本当に「仕事人生」を「完走」できるのだろうか?
そんなことを一度くらいは考えたことがおありなのではないでしょうか。「ひとつの組織」が「自分の仕事人生」を「丸抱え」してくれるような「右肩あがりの単線エスカレータ」はもはや存在するようには思えない。
とはいえ、いくつもの「踊り場」があるような複雑なエスカレータに乗るような人生も、少し怖い。
自分は本当に「仕事人生」を「完走」できるのだろうか?
おそらく、少なくない人々が、一度くらいは、この問いを考えたことがあるのではないかと思います。
▼
しかし、そのヒントは多くはありません。
書店には「新入社員としてのサバイバル術」や「実務担当者としてのビジネスのノウハウ」を教える本はあっても、
「長期化する仕事人生の途上で、いかにリセットボタンを押して、転機を乗り切るか?」
を語る本は、そう多くはありません。
もうすでに「定年を迎えてしまった年配者による経験談や語り」でしたら、いくつかの書籍は編まれています。しかし、この問題は、「現在進行形で進んでいく仕事人生の「中」で、現役の世代が考えなければならない課題」なのです。
長期化する仕事人生が「終わったあと」で、どうするかを考える
のではなく
長期化する仕事人生が、まさに進行している、その「途上」で、いかに「備えるか」?
を考えなくてはならないのです。
わたしたちは、いくら「転機」を迎えるためにリセットボタン」を押せるからといって、やたらめったら、このボタンを押していくわけにはいきません。やたらめったら、むやみにボタンを押していけば、必ず、右肩下がりのキャリアが待ち受けています。
▼
長期化する仕事人生を、適切なタイミングで、いかにリセットボタンを押しながら、完走するのか?
多くの人々が思い悩む、この問いに答えるために、本書は「壮大な仮説(妄想)」をかかげました。
それは、
これからのビジネスパーソンは、セカンドキャリアを切り開いているアスリートに学ぶところが多いのではないか?
ということです(笑)。
アスリートは、一般に、人生の比較的はやい時期に、自分の競技人生をリセットして、転機を乗り越えることが求められます。
アスリートは、アスリートとしての人生を選択した瞬間に、いつの日か、「自分の競技人生が終焉すること」、そして、「その後のセカンドキャリアを選択しなければならないこと」を宿命づけられています。
ならば、そこにこそ、学ぶことは多いのではないか。これが本書の仮説です。
いつも繰り返されている「ビジネスど真ん中のキャリア論」よりも、少し視点をずらし、「一流のアスリートのセカンドキャリア選択」からヒントを得ること
これこそが、本書の掲げる最大の特徴です。
実際、すでにセカンドキャリアを歩んでいる元アスリートの中には、こうした「転機」をうまく乗り越えられた人と、そうでない人がいます。その差は何なのか。いかにリセットボタンを押していけばいいのか。これを考えたいと思うのです。
▼
そこで、本書では、現在様々なかたちでご活躍の、元アスリート・為末大さんに注目します。
為末大さんの競技人生の経過、そしてその終焉の仕方。リセットボタンの押し方から多くを学ぶため、まずは、彼のこれまでの人生を、ゆるゆると中原のファシリテーションのもと、振り返っていきます。
為末大さんといえば、400mハードル日本記録保持者にして、2001年、2005年の世界陸上選手権の2大会で銅メダルを獲得なさった方です。
オリンピックにも、2000年シドニー・2004年アテネ・2008年北京と3度出場し、現在は、引退。リセットボタンを適切なタイミングで押し、見事なまでの方向転換をとげ、いまやコメンテーター・ビジネスマンとして八面六臂の活躍をなさっています。
為末さんは、このように一流の世界的アスリートでありながら、リセットボタンを適切なタイミングでおし、見事な方向転換をなさいました。しかし、そこに彼なりの戸惑いや躊躇があったことはあまり知られていません。本書では、為末さんの等身大の悩みや葛藤が語られます。
自分の仕事人生を考えて「戸惑わない」人はいません。
正しく「戸惑えば」よいのです。
▼
本書において、為末さんは、中原と対話を重ねることで、自分のキャリアを振り返りながら「自分年表」という一枚のマップをつくっていきます。
そのうえで、自分は、「転機ーリセットボタンを押さなければならないタイミング」において、何に迷い、何を選択してきたのか。そして自分には「どんな特徴」があるかを考えていきます。
もうおわかりかと思います。
この本で、為末さんは、中原との対話を通して「リフレクション(振り返り)」を行っておられるのです。為末さんのリフレクションの中からは、様々な「転機のレッスン(教訓)」が語られます。まずは読者の皆様には、こちらをお楽しみいただければと思います。
そして、そのうえで、本書の最大の特徴は、読者である皆さんにも、「リフレクション」を行っていただけるよう、なんと、カバーの「裏」に「白紙の自分年表」がついています。どうぞこちらをコピーして、お役立てください。勉強会や読書会でも、みなでお使いいただけると思います。
本書をお読みいただける方々で、もしご希望の方は、為末さんの振り返りを参考にしながら、自分一人で、あるいは、気の置けない仲間と、自分年表をつくってみられると面白いかと思います(もちろん、つくらなくてもOKです!)。
自らがリセットボタンを押さなければならないタイミング、仕切り直しを行わなければならないタイミングで、そちらを行っていただければ、よりよい選択ができるかもしれないなと思っています。
本書は、いわば「ワークショップ」を受けた後のような「読後感」を皆様にご提供できるのではないかと思うのです。
もちろん、本書は「スポーツ論」としてもお読みいただけます。スポーツといかに向き合い、いかに挑戦してきたのか。為末さんの語るスポーツ論を、ぜひお楽しみください。現役のアスリートやスポーツをなさる皆さんにも、ぜひ、ご一読いただければと思います。
本書は、仕事人生を向き合う本でもありながら、スポーツ論でもあり、また為末大さんという元アスリートのキャリアを示す本でもあります。為末大さんのファンの方は、これまであまり語られなかった、為末さんの子ども時代、高校時代、大学時代について、より詳細な理解を深めることができるでしょう。為末さんの過去の写真なども掲載されています。
1粒で3度おいしい。
これが本書の、もうひとつの特徴でもあります。
どうぞ手にとっていただけますとうれしいことです。
なお、昨日、東洋経済オンラインで本書の一部が、ちょろんと、公開されました(笑)。
「働かないおじさん」だって、心底悩んでいる:中高年が企業に囚われる悲劇
http://toyokeizai.net/articles/-/177259
どうぞご笑覧くださいませ。
▼
仕事人生のリセットボタン、ついに「完走」することができました。
最後に謝辞で終わらせていただければと思います。
一年半くらい前からはじまった為末さんとの対話は、本当に楽しいものでした。「体育2」の僕が、一流のアスリートに向き合い「なぜか?」、スポーツのこと、仕事のこと、人生のことを語っている(笑)。この贅沢な時間がもたせていただけたことを、心よりうれしく思います。為末さん、本当にありがとうございました。
また、本書を編むにあたり編集の労をとってくださった橋本陽介さん、また構成を行って下さった松井克明さんに、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
何とか「完走」し、「出口」にたどり着きました。ホッ。お二人のこれまでの「伴走」に心より感謝をいたします。
本書を、同時代を生きるすべての人々にお贈りしたいと思います。
一度きりの仕事人生、リセットボタンとうまくつきあってみませんか?
まだ見ぬ希望の明日のために
そして人生はつづく
「仕事人生のリセットボタンー転機のレッスン」(為末大・中原淳著)
http://amzn.to/2tP2skb
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【目次】
■第一章 右肩上がりの単線エスカレータ人生はもう終わり
「これで大丈夫! 」の時代は終わった/「働かないおじさん」はこうして生まれる/生産性と賃金は比例しない/日本人は時間を費やした量で価値が生み出されると考えがち/過剰な努力は思考停止をもたらす/達成感は結果ではなくメンバーシップ/自分の成功体験を押し付けがち/自分のことを自分でモニタリングできているか
■第二章 勝てる傍流か、負ける主流か?
早すぎるピーク/プライドが削れないと成長できない/中学、高校の指導者の「コーチング」/「天才と真っ向勝負しない」生き方を選んだ/一〇〇のスポットライトか、四〇〇mハードルのリアルか/続けていればつきぬけたかもしれない不安/泥沼なスランプにはどう対処すればよいか/もがいても深みにはまる辛さ/オリンピックでの失敗から学ぶ/経験を積むために世界に出る/一瞬のタイミングに飛び込む
■第三章 新たなスタートを切るために
会社にはいると窮屈な感じに/違う世界を見ることで自分の商品価値を知る/自分のバリューを上げるため原点回帰する/失敗から学び成功する、成功からも新たに学ぶ/アスリートが直面する引退/成仏したいという思い/その後の人生をどう生き抜くのか/メディアをどう活かすか/引退後に飛躍するアスリートと失敗するアスリート/教えるということと安心感を与えることの違い/日本文化が凝縮されたスポーツ界/コーチとクライアントは契約関係?/なぜコーチにならなかったのか/起業家としての試行錯誤/共感してくれる人たちの発見
■第四章 自分の経験をリフレクションする
三年ごとに大きな転換を求める/成果を残すために苦しい条件を引き受ける/仮説と実験によってサプライズを起こす/スランプと魔法の杖幻想/ままならない心と向き合う/七割ぐらいの時に「もう終わりだ」と感じろ/「終わる」ことへの不安/人生をピボットターンで進めていく/経験を呼び込む力/スポーツで通用することは社会でも通用するのか/ルールを作り出す、自分で決める必要性/次の目標を見つけるために/起業して初めてドラッカーがわかる/育成のコストをどう考える/自分を踏み台にして進んでもらう/自分で自分をコーチングする/他人の育成を手掛けない限り、あなたに成長はない/未来の話をしよう
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