2017.1.26 06:49/ Jun
「働く女性」には、会社に「ロールモデル」が必要だというが、「働く男性」には「ロールモデル」は必要がないのか?
「子育て女性」は、育児を行いながら仕事をすることで、どのような思いで仕事をしているのか?
「働く女性」は、社内外にどのような「助言者」や「スポンサー(キャリアを引き上げてくれる人)」を有しているのか?
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僕は、昨年度から、トーマツイノベーション株式会社様(眞﨑大輔代表取締役社長)から、共同研究の機会をいただき、「働く女性のトランジション」に関する大規模な比較調査を行っています(心より感謝いたします!)。
トーマツイノベーション株式会社
http://www.ti.tohmatsu.co.jp/
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この調査では
「働く女性が、どのような実務担当・リーダー期過ごし、管理職になっていくのか?」
というプロセスを「男性のそれとの比較」において明らかにすることで、
「働く女性をどのように支援したら、彼女たちが長く働くことが可能になるのか?」
ということを明らかにしようとしています。
調査では
1.女性の実務担当者
2.男性の実務担当者
3.女性のリーダー
4.男性のリーダー
5.女性の管理職
6.男性の管理職
という6つの属性カテゴリーにわけて結果を分析します。
この6つのカテゴリーには
1.「実務担当者ーリーダーー管理職」という時間軸
2.「女性ー男性」という性差の軸
という2つの軸をつくることができます。
これらの2軸によって、
1.「実務担当者ーリーダーー管理職」というキャリアのトランジションの中で、本当に女性と男性の違いがあるとすれば、それは何か?
2.「男女のリーダー」「男女の管理職」で、それぞれ、どのように日常の管理行動が異なり、何が挑戦的課題になるか?
がわかることになります。ひいては、「女性リーダーをいかに育成するか?」を明らかにしていきたいと考えています。
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調査はすでにデータ収集の時期を終え、数千の回答を得ることができました。お忙しいところお時間をいただいた皆様には、この場を借りて御礼を申しあげます。
この調査の分析を完遂するためには、ひとつの社会カテゴリーのなかに、数百名のN数を確保することが必要になります。
しかし、このたびの調査では、小暮勝也さん、長谷川弘実さんを中心とした規格チームと、トーマツイノベーション様の調査に対する熱意とご尽力のおかげで、6つのカテゴリーに数百から数千レベルの回答を得ることができました。心より感謝いたします。
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本調査は、現在、恐ろしいスピードで「分析」が行われています。
分析にあたっているのは、同社の長谷川弘実さんを中心として、小暮勝也さん、木下桃子さん、保田江美さん、中原のチームです。
まだまだ分析は「粗けずりなもの」ですが、しかし、いくつか興味深いことがわかってきています。
現段階で言えそうなことは、
・子どもをもちながら働く女性は「孤独」に陥る傾向がある。その社外ネットワークは、あまり発達していない。仕事に関する会話が家庭でなされる頻度は、相対的に少ない。
・子どもがいる女性よりも、子どもがいない女性の方が、社内に「スポンサー」になってくれるような上司を得られている
・子どもをもちながら働く女性は、他のカテゴリーの人々よりも、「長く働き続けたい」と思っている
・女性管理職は「自分にロールモデルはいない」という傾向がある。男性管理職は「自分の上司」をロールモデルとしていると答える傾向がある
・女性管理職と男性管理職を「比較」した場合、女性リーダーは、いわゆる「サーバント型のリーダーシップ」を行っている傾向がある
・女性の「働きたい気持ち」を規定しているのは、「会社が儲かっているかどうか」「職場にフォローする雰囲気があるかどうか」「職場に残業をみなおす雰囲気があるか」「職場に女性を平等に扱う雰囲気があるかどうか」である
・女性よりも男性の方が、自分と同じ同性のメンバーと働きたい気持ちが強い
などなどのことがわかっています。
まだ分析は緒についたばかりで、主に「子育て女性」にロックオンして行っているため、それに関するものが多い傾向があります。
また、これらの結果は、まだまだ、さまざまな統制変数を投入して、精緻に分析を行わなければ「発見事実」としては認定できません。現在、それらを急ピッチで行っています。
しばらく、お待ちを(笑)!
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今後のことですが、調査の結果は、5月ー6月に、1000人規模の報告会を東京、大阪で開催させて頂くことになっております。伊藤由紀さんらのチームが、この集客等に御協力いただいております。ありがとうございます。
また、池内祥隆さんをはじめとした広報のチームが、これ以降の研究知見のPRをご担当いただけることになっています。お疲れさまです。
また、同社の田中敏志さん、眞﨑大輔社長らのチームとともに、これらを用いた研修・セミナーの共同開発を行っていきつつ、知見を書籍としてもまとめていきたいと考えています。来月から、某出版社・編集者の方をまじえて、お打ち合わせがスタートします。
最後になりますが、トーマツイノベーションの眞﨑大輔社長をはじめとして、田中敏志さん、小暮勝也さん、長谷川弘実さん、伊藤由紀さん、木下桃子さん、飯田裕介さん、村上美奈子さん、池内祥隆さん、月見天一さんには、この間、大変な労力をかけてプロジェクトを推進頂いておりますことを心より感謝いたします。
中原研からは、中原と保田江美さんが参画していますが、みなさんで、よい知見を世に問うことができればと願っております。
どうぞお楽しみに!
そして人生はつづく
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