2017.1.23 06:38/ Jun
人材育成の科学的知見というのは、年齢が若く、経験が浅くなればなるほど、知見の数も増え、知見の信頼性も高まる気がします。
要するに「わかっていること」が多い。
これらの知見は、データを取得するのが比較的容易で、何度も何度も検証されているので、原理や原則と言われているものが、指摘しやすいのです。
その背景には、それに関係する人が多いので、強い実務的ニーズが存在することもあるでしょう。
またデータ取得に協力してくれる人も、若く、経験が浅い方が権力をもっている人が少なく、データをすぐに取得することができる、ということもありえます。
たとえば「組織に入ったばかりの人材=経験が浅い人材」の学習や社会化に関しては、もっとも研究が進んでいます。
多いからね・・・なにせ、組織の外から内側に入る、ひとは。
そして、若いがゆえに、あまり非協力的な人はいないから。
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一方、「まだまだこれからという分野」もあります。
要するに「データがとりにくく」、関わる人もそう多くないので、実務的ニーズが薄い。よって、企業や組織のニーズもそう多くない。
また、権力や権限が大きくなっているので、あまりデータ取得に協力を得られる可能性が低い。
たとえば、
次世代の経営者候補を、いかに育成するか
というテーマは、まさにそのひとつです。
次世代の経営者候補の育成に関しては、1)経験による育成、2)エグゼクティブコーチング(メンタリング)による育成、3)360度評価による育成、4)リーダーシッププログラムによる育成、5)フィードバックによる育成などがあります。
加えて、まだまだ知見が十分ではないけれど、注目されているものに「エグゼクティブ・シャドーイング(Executive Shadowing)」があります。
「エグゼクティブ・シャドーイング」とは、ひとことでいえば、
「次世代幹部候補者が、いわゆる”黒子=シャドー”に徹して、現在の経営者の行動に影ながら同行させてもらい、ときに、その場で薫陶をうけること」
をいいます。いろいろな定義がありますが、代表的なものは、これでしょうか。
経営者の厳しい意志決定を間近で見ることができる
経営者から直接薫陶を得ることができる
経営者の人脈を受け継ぐことができる
などなどの効果が予想されます。
こちらの領域は、まだまだ研究が進んでいないので、かくたることがいえる領域ではないのですが、もともと外資系企業のいくつかで採用されている手法が、近年、広まりを見せているような気がします。
日本だと、トヨタ自動車さんや、かつてのCCCさんなどが、なさっていた記憶があります。
この手法は、トップや現経営層の協力を得ることが難しいのですが、もし、それが得られた場合には、非常にパワフルな効果を発揮できるのではないか、と思います。
まだまだ、これからです(笑)
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今日は、次世代幹部育成のことについてかきました。
前述しましたように、次世代幹部育成は、たとえば経験の浅い人の人材育成などに比べて、まだまだわかっていないことが多いです。
というか・・・
中途人材の育成は、わかっていないことが少ないし
女性管理職育成も、知見は少ないし
昇進研究に比べて、降格の研究は少ないし
起業家の研究は、ちょっと進んだばかりだし・・・
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わかっていることに加えて、わかっていることの方が少ないかも(泣)。
というわけで・・・
より一層、研究に励むことにいたします。
そして
人材育成研究は、あなたの「新規参加」をお待ち申しあげております!
今週も一週間頑張りましょう
そして人生はつづく
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