2016.7.15 06:13/ Jun
せんだっての慶應MCCでの授業「ラーニングイノベーション論」では、全講座13回の中盤6回目でしたので、受講者全員で、しっかりと自分の仕事の振り返りをすることにいたしました。
めざしたいのは「深いリフレクション」。
用いた手法は「マジックミラーダイアローグ」です。
マジックミラーダイアローグは、「あたかもマジックミラーがあるかのようにグループをわけてなされるダイアローグセッション」です。
マジックミラーという言葉からは、何か「怪しい雰囲気」を感じてしまいます(笑)
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マジックミラーダイアローグのやり方は下記のとおりです。
1.4人くらいを1グループとします。
2.グループを2つにわけます。振り返りをしたいAさんと、Aさん以外の3人にわけるのです。Aさんは「ひとりぼっち」になります。
3.まず、何らかのかたちでAさんが振り返りたい内容を3人に共有します。
4.ここからAさんは喋ることができません。Aさん以外の3人は、Aさんのことについて勝手気ままに対話をします。「もし自分がAさんだったら、どのように問題をとらえ、何が良くて何を悪いと考え、何をするのか」を勝手気ままに話し合います。
5.Aさんは発言権を失っており、Aさん以外の3人が対話しているのを黙って聞くだけです。この様子が、「マジックミラー越しになされる対話」に似ているので、「マジックミラーダイアローグ」と名づけました
6.十分時間がたったら、今度はAさんがようやくしゃべることができます。Aさんは、Aさん以外の3人がなした対話に対して、まずは謝意とコメントを述べ、その後はグループでAさんの課題解決をおこないます。
わかりにくいですか?
図にしたら、だいたいこんな感じです。
マジックミラーダイアローグは、僕の専売特許というわけではありません。
リフレーミング(reframing : 物事の見方や思考の枠組みの解体・ズラし)をめざすような対話セッションでは、よく用いられる手法です。
一部、カウンセリングでも用いられていますし、ダイアローグの手法としても普及しています。
ま、名前は「マジックミラー」と名づけられてはいないでしょうけれど(笑)。
要するに、Aさんの情報発信・発言を一時的に「遮断」します。
このことによって、自分が思っていない方向から、他者の対話や推論を「聞くこと」になります。
これが「リフレーミング」、ないしは「深いリフレクション」につながる、ということでしょうか。
授業では、マジックミラーダイアローグにすぐに入らず、その準備をしっかりやったうえで、これにのぞみました。こってり3時間かけて振り返りをさせていただきました。熱心にご参加頂いた受講生の皆様には、心より感謝いたします。
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マジックミラーダイアローグは、やり方によっては、いかようにも彫り込むことができると思います。
コミュニケーションをどの程度の時間「遮断」し、どのように他者とのズレを創り出していくかが、キモです。
ただし、この状況は思っている以上に「強ストレス環境」になります。他者の勝手気ままな対話を一方的に「聞く」というのは、想像以上にストレスを感じるのです。
目的に応じて、適切な程度を決めていくことが大切であるように思います。
学習や教育の手法、それ自体には、一般的に「著作権」が発生しません。
知り合いの福井健策先生(知財法のプロフェッショナル)がおっしゃっておられたのですが、「法律は、手法を文化を豊かにするための手段と考え、そこに著作権を発生させ、一部の人に権利を与えることを選ばなかった」のだそうです。
「ノウハウの知」について:最も簡単なリアルタイムドキュメンテーションムービーの作り方
http://www.nakahara-lab.net/2013/05/post_2009.html
ぜひ、さまざまな工夫をしていただければと思います。
そして人生はつづく
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