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2015.3.5 07:24/ Jun

「要するに、ワンワードでいうと何よ?」と部下を「詰める」前に考えたいこと!?:「ワンワード爆弾」「なんでなんで爆弾」「要するに爆弾」はいつ投げるのが適切か?

「要するに、ワンワードでいうと何?」
「ワンセンテンスでいうと、言いたいことって何?」
 僕の周囲にいる方々は、これらの言葉が「僕の口癖」であることをご存じだと思います。まー、いつも言っているね。たぶん、1日3回は(笑)。
 僕は、物事を考える際、究極まで「縮約すること」で見えてくるものがあると信じています。
 もちろん、「ワンワード」や「ワンセンテンス」で、複雑な研究の全貌を語り尽くすことはできないのですが、しかし、そのプロセスにおいて、敢えて、今考えていることや感じていることを「ワンワード」や「ワンセンテンス」で表象してみることで、自分の「言いたいこと」や「やりたいこと」が明確になってくるということです。
 僕の考える「よい研究」とは、どんなに長く、複雑な研究であっても、扱いたい問題が「ワンワード」で表象でき、やりたいことが「ワンセンテンス」で述べられるものだと思っています。
 逆に、それが語れないうちは、問題がフォーカスされていないか、まだ自分の中で整理がついていない。だから、ワンワードやワンセンテンスを自分の言葉で述べられるまで、僕は、問いかけていきます。
 この手のことは、割と世の中で言われており、かつ実践されていることなのかな、とも思います。
 たとえば、某TV局の企画書は、どんなに長編のドキュメンタリーであろうと、A4×1枚。某自動車会社の企画書も、どんなに壮大なプランでも、A3×1枚ですね。
 企画会議のたびに「長大な書類の束」を大勢から提出されても困るのかもしれませんが、敢えて「スペース」という制約を課すことで、「やりたいことを明確にする」という側面もあるのかな、とも思うのです。だから、敢えて「A4×1枚」「A3×1枚」なのかな、と。
  ▼
 ところで、これに関連して、昨日は、雑誌プレジデントの企画で、新人・2年目あたりのフレッシュな社員の方々の覆面座談会がありました。
 この企画は、今の新人のみなさんが、働くことをどのように考えているのか。上司や組織のことをどのように見詰めているのかを、新人の皆さんの視点から考えるというものです。おそらく、数週間後?の「職場の心理学」というコーナーで掲載されると思われます。
 雑誌の取材では、よく「最近の新人は・・・」というかたちで、新人が語られがちですが、これを逆にして「いま、新人達は何を考えているのか?」をさぐるのが企画の趣旨ですね。
 プレジデント社の九法さん、佐藤さん、そしてHRDライター井上さんとのお仕事です。御協力頂いたフレッシュな皆さん、またお名前をあげることはいたしませんが、彼らをご紹介いただいた皆様には心より感謝いたしますとともに、企画側のお三方にも感謝いたします。
 さて、話をもとに戻して、先ほどの覆面座談会では「今の上司がどんな人か?」ということも話題にあがりました。そこで出てきた話題のひとつが、
「ワンセンテンスでいうと何?」
「ワンワードでいうと何?」
 です。
 新人の皆さんによりますと、上司に投げかける、この言葉が、精神的にも肉体的?にも、かなりシンドイとのことでした。
 とくに組織に入ったばかりで「右も左もわからない状況」、もっというと、「自分が何がわからないのかすら、わからない状況」から、この言葉で、上司から問われるのは「無理がないですか?」といういうことでした。小生も反省至極です。
 小生の場合、入ったばかりの大学院生(M0さん)に、この言葉を浴びせることはあまりないような気がしますが?、きっと研究室の大学院生は、「うそつけ、コルァ!」と思っていることでしょう。座談会の皆さん「よくぞ言ってくれた!」と思っているのではないかなとも思います。
 とくにM2さんや博士課程の学生には「要するに、何よ?」と連呼しているような気もするし、「なんで?、なんで?、なんで?、で要するに、ワンワードでいうと、何よ?」を繰り返しているような気もする。「ワンワード爆弾」「なんでなんで爆弾」「要するに爆弾」をガンガン投げているような気が、うっすら、する・・・・ごめんね。
 敢えて「言い訳」がましくいうのであれば、こちらは、「言葉を縮約させること」で、たとえ経験が浅くても、自分の頭をフル回転させてほしいと願っているのですが、やはり、それも「時期」が大切なのかもしれません。しょっぱなで、右も左もわかんない時期から、ワンワードを選べと言われてもね、「どのワンワードを選べばいいのよ?」って感じだよね。
 かくのごとく、上司の思惑と、部下の感じていることは、ズレていくものなんだろうなと実感します。
 嗚呼。
  ▼
 さて、今日は「ワンワードでいうと何?」「ワンセンテンスでいうと何?」という上司が用いる言葉から、部下育成の難しさを語ってみました。
 何だか、話があっちにいったり、こっちに行ったりして、それこそ
「今日の記事ってさぁ、、、ワンワードでいうと何?」
 と聞かれそうですね。
 そうね、、、うーん、ワンセンテンスでいうと、
 ごめん(笑)
 かな。
 あなたは、ワンセンテンス、ワンワードで、時期を考えずに「詰め」すぎていませんか?
 (小生、自己反省ちう)
 そして人生は続く
 

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