2014.11.7 06:43/ Jun
ここ数年、僕自身、いわゆるアクションラーニングプロジェクトにかかわることが多くなってきました。対象者は学生さんを対象にした授業やら、人材開発の若手の皆さんによるプロジェクトやら、次世代リーダーの方々のプロジェクトなどです。
アクションラーニングとは、ワンワードで述べるならば「プロジェクト型・探究型の学習手法」であり、ややこしく要素分解して申し上げるなら、下記のような学習活動を含む、いわゆるアンブレラワードということになるのでしょう
(1)実践と行動に基づく学習を試行すること
(2)内省を重視した実践であること
(3)探究的洞察をめざすこと
アクションラーニングとは、「かくかくしかじかの特定の手続きをとらなければならない」といったものでは「なく」、下記を含みうるような、ゆるやかなマジックワードとして機能しているとお考えになればいいのではないでしょうか。世の中には、多種多様なアクションラーニングがありますので。
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最近、増えてきたアクションラーニングですが、昨日も駒場で、東大の学部1年生、2年生20名を相手にそれらしきことをしてきました。こちらは、今、学生がグループ4人1組くらいになって、ある企画をねっているところです。昨日は、立場上、仕方がないのですが、昨日は、ゴリゴリのブリザード気味で学生さんの提案にフィードバックをしてきました(面白い提案も多々ありました!でも、まだまだ詰めるところはあるよね。それ、ロジックが通ってないよね?調べるところあるよね?)。
ところで、アクションラーニングを仕立て上げるとき、いつも悩ましいのが、
「グループでの話しあいのときに生じるコンフリクトを、どの程度、まえもって予防するか?」
という問題です。
僕のかかわるアクションラーニングでは、一般に、知らない相手とグループをくんでいただき、多様な社会的背景の人々のあいだで「対話」を行い、様々な葛藤をグループ全員で乗り越えながら、クリエィティブな提案に向かっていただくものがほとんどです。で、ここでハンドリングが難しいのが、先ほどの「コンフリクト」ということになります。
こちらは持論なのですが、僕は、世の中には「2種類のコンフリクト」があると思っています。2種類のコンフリクトとは「Creative Conflict(創造的コンフリクト)」と「Disruptive Conflict(破滅的コンフリクト)」です。
要するに「創造につながるような、創造を生み出す際にはやむをえない前向きなコンフリクト」と、「あの人が好きだの、嫌いだのといったような、誤解が誤解を呼んでおこる、チーム崩壊につながるようなコンフリクト」ですね(笑)。
前者のようなコンフリクトは歓迎なのですが、後者のようなコンフリクトは、やはり抑制したいですよね。生産性にもつながらないし、後ろ向きだから(笑)
先日の大学院ゼミで、保田さん(中原研D2)が英語文献発表をなさったBehar, Peterson, Mannix and Trochim(2008)のチーム研究の知見によりますと、
生産性と満足度の高いチームは、
1)メンバーのスキルに応じた仕事分割がなされている
2)スケジュールと仕事負荷の問題が起こる事を事前に予測している
3)妥協する場合には、その背後の理由も考察する
4)内容に関する徹底的な議論をする
という特徴があったそうです。
一方、生産性も満足度も低いチームは
1)議論を避け投票に持ち込む
2)安易な解決策にとびつくこと
が質的データをカテゴリー化した量的研究によって明らかになっていました。
この知見を真に受けるわけではないのですが、「せっかく」わかっているのだから、チームの作り方、チームビルディングのやり方を、前もって教えたくなってしまいます。
しかし、あまりに教えてしまい、お膳立てしてしまいますと、本来必要な「Creative Conflict(創造的コンフリクト)」の芽すら、刈り取ってしまいそうな気がして、ちょっと躊躇してしまう自分がいます。
いずれにしても避けたいのは、「Disruptive Conflict(破滅的コンフリクト)」の支配する「惨いアクションラーニングプロジェクト」なのですが、グループ内部の人々の動きというものは、まことに「生き物」のようなものなので、なかなか悩ましく思っています。
昨日の学部生さんたちには、ほんのすこしだけ、チームをつくるときに留意しておかなければならないことを言っておきました。おそらく、この数週間で、いろいろな動きをするものと思います。どういう成果を持ってくるか、まだまだ予断を許しませんが、楽しみではあります。
そして人生は続く
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