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2014.10.31 08:07/ Jun

新任マネジャーが陥りやすい典型的なつまづき:「自分の成功パターン」を部下全員にコピペ・横展開する!?

 先だって、ソフトバンク株式会社さんで、マネジャー昇格寸前の現場の方々120名を対象にしたLearning bar的?研修を実施させていただきました(満員御礼で抽選が行われたようです)。拙著「駆け出しマネジャーの成長論(駆け出し本)」を参考にしつつも(全員に配付いただきました!感謝!)、同社に完全にカスタマイズした研修です。

 駆け出し本で論じましたように、実務担当者からマネジャーへの役割移行のプロセスには、様々な困難が生じます。
 実務担当者とは「自分で動き、自分で動くこと」を求められるため、その仕事のあり方は「自分軸」にあります。しかし、マネジャーに昇格した途端、その風景は少しずつ徐々に変化しはじめます。
 マネジャーの世界とは「他人を動かし、他人に成果をあげてもらうこと」が求められます。その仕事は「他人軸」です。ゆえに、その仕事の根本原理が相当に異なっています。このギャップが多い痛めに、おおよそ3割くらいの新任マネジャーは、マネジャーになった当初に「つまづき」を感じます。
 「実務担当者の世界観」から「マネジャーの世界」への移行は、そう容易ではありません。ひとつには、マネジャー候補生は、そもそも「実務担当時代のエキスパート」であるので、その成功体験を、そのまま引きずってしまうこともあります。
 例えば、「実務担当者時代、優秀だった人は、実務担当者の自分の成功パターンを、他人にも押しつけ、完全コピペして、水平展開しよう」としがちです。いや、もちろん、「よいところ」をコピーするのは全く問題ないのです。しかし、問題は「完全コピペ・横展開」にあります。
 それはそれでうまくケースもあるのでしょうが、うまくいかないときには、部下は意義のわからないやり方を、やらされ感をともなってやることになります。
 さらに問題なのは、完全コピペしたやり方が教条化すると、部下は「自分の頭」で考えなくなってしまいます。だって、「そのままやれ!」って言われているから、考える余地がないのだから。
 水平展開の難しさにあるのは、マネジャーになる人と部下の能力やスキルや意識の差もあります。部下になる人の能力やスキルが、マネジャーの人々のそれとかなり異なっている場合、ブレークダウンが典型的にあらわれます。
 新任マネジャーの能力・スキル・熱意をもってすれば「できてあたりまえ」のことでも、必ずしも、部下にとっては「あたりまえ」ではありません。
 本来ならば、「横展開しようとするアクション」に、どのようなスキル・能力・熱意が必要なのかを考えなくてはなりませんし、まずは部下ひとりひとりを見極めなくてはなりません。しかし、実務担当者時代優秀だった人には、こうしたことが見えなくなる場合が少なくありません。
 「できる人」には「なぜできないのか」そのこと自体が理解できないのです。
  それは
 「すでにわかっている人」が「わかっていない人がわからない理由がわからないこと」
  と似ています。
 こうしたつまづきが、新任マネジャー就任時期に、典型的に起こってきます。
 僕がこうしたトランジションの研究をはじめたのは、5年くらい前。日本生産性本部さんとの共同研究「マネジメントディスカバリーワークショップ開発プロジェクト」が、その後、強力な後押しをしてくれました。
マネジメントディスカバリーワークショップ
https://jpc-management.jp/md/index.html
 一連の研究は、自分のためでもあり、自分と同時代に生きる人々の智慧を生み出したいことからはじまりました。
 自分と同時代の人々が、年齢を重ね、マネジャーになる時分になりました。自分を含め、そういう人々に、何とか、その実践知をお届けしたい、という思いでした。
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 研修当日は、最初に、僕が「駆け出しマネジャーの成長論」を参考に1時間ほどレクチャーをしました。レクチャーの合間には、3分間エクササイズをいくつかはさみ、お隣同士のコメントをしていただきました。
 このレクチャーをつくるにあたっては、同社の若手マネジャーの方々にヒアリングをさせていただき、科学的事実とともに、その「生声」を盛り込ませて頂きました。
(わたしが講演をするときには、必ず事前に対象者の方々に取材+ヒアリングを行わせて頂き、その内容を講演に盛り込ませていただきます。その分、人事部の方々には骨をおっていただく必要があるのですが、現場の方々に刺さるコンテンツをお贈りできる可能性が高まります)
 その後は、同社の若手マネジャー3名に御協力いただき、中原がファシリテータとなり、トークセッションをさせていただきました。その後は、会場の方々に対話いただき、質疑応答をいたしました。
 現場の方々120名ほどのセッションでしたので、大変緊張しましたが、無事終えることができました。講演・ファシリテーションする側としては、あっという間の2時間でした。
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 実務担当者からマネジャーへの移行研究に関しては、今も継続中です。研究室OBの関根さん、研究室メンバーの浜屋さんと一緒に、某社のマネジャー予備軍の方々を対象に、その移行過程をおっています(ヤマト運輸の木村課長、感謝です!)。
 現場に役立ててもらえる研究、そして、これからマネジャーになっていく人が「マネジャーのリアリティを感じてもらえる」研究を、生み出していきたいと感じています。
 最後になりますが、ソフトバンクの角麻喜子さん、島村公俊さん、富田智晴さん、源田泰之さん、またプロジェクト発足当初かかわってくださった大内礼子さん、当日のロジスティクス+ビデオレコーディングをご担当いただいた同社の研修スタッフの方々に心より感謝いたします。
(ソフトバンクさんでは、当日の様子をビデオレコーデイングしていました。若いスタッフの方々が、カメラを動かし、スイッチャー+音声ミキシングしながら、動画をキャプチャーしている様子は、さすがだな、スキルフルだなと思いました)
 特に角麻喜子さんは、マネジャーへの御連絡・ご調整、そしてヒアリング+テープ起こしなどの実務を手配いただきました。少しでもよい場をつくりたい一心でのご依頼でしたが、快く引き受けて下さいました。
 この場を借りて、みなさまに御礼申し上げます。ありがとうございました。
 そして人生は続く

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