2014.7.8 12:35/ Jun
先だって、某授業に、首都大学東京 大学院社会科学研究科経営学専攻の高尾義明先生にお越し頂き、お話を伺う機会を得ました。
高尾先生は、「経営理念のマネジメント」に関する実証的研究で、第一線を走っておられる先生で、僕自身も、先生の話を伺うことが非常に楽しみでした。先生二は、本当にお忙しい中、お越し頂き、心より感謝いたします。
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高尾先生は、経営理念に関する近年の実証研究をご紹介いただきながら、時折エクササイズをまじえながら、経営理念に関してご講義をいただきました。
(高尾先生のご著書・おすすめです!)
高尾先生によりますと、経営理念とは、「意図的に提示された組織アイデンティティ」ととらえることができるとのことです。
組織アイデンティティとは、下記の3つの問いに何とかして答えようとする組織の自己定義であるとのことです。
1.我々とは「何者」なのか?
2.我々は「どんなビジネス」をしているのか?
3.我々は「何」になりたいのか?
要するに「組織=わたしたちに関する存在意義の意味づけ」と考えられるのかな、と思います。
その上で、高尾先生からは、「経営理念の浸透」とは、組織アイデンティティ、組織メンバー個人のアイデンティティが融合していくことではないかというご示唆をいただきました。
これを、やや勝手に妄想して解釈して考えますと、
【組織のアイデンティティ】
1.我々とは「何者」なのか?
2.我々は「どんなビジネス」をしているのか?
3.我々は「何」になりたいのか?
【組織のメンバーのアイデンティティ】
1.わたしは「何者」なのか?
2.わたしは「どんな貢献」をしているのか?
3.わたしは「何」になりたいのか?
という、組織ー個人・・・この2つの次元を、いかに関連づけていくのか、ということになるのかな、と思います。
よく経営理念というと「浸透」というメタファで語られ、どこか「上から下に落とす感覚=導管メタファの伝達モデル」を想起してしまうのですが、「2つの次元のすり合わせモデル」は、ここに一定の反省を迫るものでもあるのかもしれません。
経営理念として、たしかに「上=経営」がそのような理念をもつことは重要です。しかし、一方で、それをむやみやたらに叩き込もうとしても、あまりうまくはいかない。結局は、「組織のベクトル」と「個人のベクトル」を「関連づけ」ていくこと、すなわち「意味づけ(Sense-making)」の機会をいかにもつのか、が重要になるのでしょう。それはワークショップなのかもしれませんし、職場での上司によるフィードバックの最中なのかもしれません。高尾先生、示唆にとむご講義をありがとうございました。
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ちなみに、これは余談ですが、高尾先生とお会いできて、もうひとつ嬉しかったことがございました。
授業の途中で高尾先生と雑談させて頂いた際、先生から、こんな声をかけていただいたことです。
「中原先生は、今も、ラーニングバーをやっておられるのですか? わたしも7年前に一度お邪魔したことがあったんです。参加したのは、ビジネススクールで教える直前で、ラーニングバーのやり方を、教えるときの参考にさせていただきました」
ICレコーダーを持っていたわけではないので、一字一句同じというわけではないですが、お褒めの言葉をいただけて、まことに嬉しい出来事でした。
ラーニングバーを実践していた頃、僕は、本当に死にものぐるいで、今の自分の研究領域を立ち上げようとしていました。今もまだその途上ですが、その頃は、今よりももっともっと暗中模索、曙光すら見えぬ中を疾走していました。
そのようなときに、高尾先生とお会いしていたのは、非常に興味深いことです。ありがとうございました。
それにしても、あれから、もう7年か・・・。
そして人生は続く
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