2013.11.12 06:28/ Jun
この5年間くらいで、人材開発の仕事は、急速に「グローバル化」したような気がします。
ここで、グローバル化というのは、「ヒトモノカネの全球的流動」のことですが、「人材開発の仕事にとってのグローバル化」とは「人材育成施策の対象になる人材が、全球的に存在し、出入りしているような状況」とします。
今日の話題は、80年代にすでにそれを終えてしまった一部の製造業の方々からすれば「今さらジロー感あふれる話題」かもしれません。
また、今なおバリバリの「マルドメカンパニー」で人材育成の仕事をなさっている方からすれば、「どこの国の話よ?感」あふれる話題かもしれませんが、授業に参加して下さる社会人の方々の様子を拝見していて、そんなことを、とみに思います。
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一般に「グローバル化」は、突然来港した「黒船」に喩えられるのかもしれませんが、どちらかというと、人材開発の場合、様子を拝見していると水が徐々に染みこんでくるような「ひたひた」モデルに近いような気がします。ま、印象論ですが、以下、「グローバリゼーションひたひたモデル」にお付き合いです。
事態は下記のように進行します。
まず、人材開発の仕事ですので、まず、研修やOJTの参加者に、異なる国籍の方々が、チラホラ混じるようになってくる。ひた・・・。あっ、今年の採用では、ずいぶん、留学生を採用したな・・・。ひた・・・。
あれっ、海外に赴任するマネジャーに、研修を企画しろというのがふってきたぞ。何やればいいのかな。ひたひた・・・。
海外の現地法人や、M&Aした会社のマネジャー層が、国内での研修に参加してくるようになってきたな。なんだか、またうちの会社、海外の現法を立ち上げたみたいだな。ちょっと、出張して、そこのマネジャーと人の話をしないとな。ひたひた・・・。
グループ全社で統一の研修をうとう、ということになったらしいよひたひたひた・・・。
かくして、気がついたときには、現地の人材開発担当者やら、マネジャーと英語でメールや、テレカンを使ってやりとりをする日々になっている。ひたひたひた・・・。
研修のロジスティクスひとつとっても、その複雑さは、半端ではありません。例えば、研修には「アゴ(食事)」がつきものですが、文化的背景が異なれば、当然、食べられる、食べられないの問題がでてきます。そういう調整すら必要になってきます。
「グローバリゼーションひたひたモデル」の印象は、こんな感じでしょうか。皆さんの場合は、いかがでしたか? いま、「ひた」くらいでしょうか? それとも「ひたひたひたひた?」(笑)
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これは印象論ですが、今後、グローバリゼーションの動きは、おそらく加速することはあっても、低下するということはないような気がします。
そうなれば、早晩、必要になってくるのは、英語云々もそうでしょうけど、「ひとの育成や学習」に関して、きちんと理論や概念に基づき、社会的・文化的背景の異なる方々に「説明」ができることのように思います。
なぜ、このプログラムなのか?
ここには、どんな含意やねらいがあるのか?
それで、どんなメリットがあるのか?
これまでは「あうん」の呼吸で済んだものが、ひとつひとつ「言挙げ」されてきます。それをひとつひとつ議論したり、説明したりする必要がでてきます。それは大変なことだよな、と思います。
先だって、実は、僕も、自分の研究を外国人の方に説明していました。日本の「shokuba」を「Workplace」と訳して、外国人の方に説明するのは簡単ですが、それでは、どうにも不十分です。
結局、日本式の人事制度、仕事のやり方(overlappingの程度)、メンバー間の組織市民行動(OCB)の程度、相互作用の程度、などをひとつひとつ説明していかなければなりませんでした。
それだけ言葉をつくさなければ、
The HRD function of Japanese company has been unintentionally embedded into shokuba.
(人が育つ仕組みは、非意図的に職場に埋め込まれてきました)
という文章には到達しないのです。それは、正直、面倒くさくて、まどろっこしくて、かったるい時間ですが、反面、曖昧にしてきた自分を振り返るよい契機になりました。結局、言葉にすることに時間をかけなければダメなのだよな、と思いました。
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今日はグローバリゼーションと人材開発について話しました。
「ひた」がまだ感じられない方にとっては、今日の話は、なんのこっちゃい、という話ですね、すみません。
でも、少しでも「ひた」を感じられている方は、それが「ひたひた」になるか、「ひたひたひた」になるかを、少しは実感いただけたのかな、とも思います。
今まさに、あなたは、いくつめの「ひた」を実感していますか?
そして人生は続く。
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