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2013.9.14 05:47/ Jun

社会問題をテーマに「デジタルゲーム」を開発する!? : 「メディア創造ワークショップ」東京大学・教養学部 10月開講

 9月も進み、そろそろ次の学期が見えてきます。次学期は、これまでなかった「新しい授業」として藤本徹先生が中心になって「メディア創造ワークショップ」が開講されることになりました。東京大学教養学部・駒場キャンパスでの開講です。
藤本徹先生のWeb : Another Way
http://www.anotherway.jp/archives/001320.html
 これまで「メディア創造ワークショップ」は、3年間にわたって「働く」をテーマにした「電子書籍」をつくっていました。重田先生(元東京大学・助教、現・北海道大学准教授)が中心になって、映像作家の大房さん、ダイヤモンド社・記者の間杉さんに御協力いただき、その成果は「東大発2011」「東大発2011」「東大発2013」という電子書籍にまとめられました。その節は、本当にありがとうございました。
東大発2011
https://itunes.apple.com/us/app/dong-da-fa2011/id450443969?mt=8
東大発2012
https://itunes.apple.com/jp/course/dong-da-fa2012/id518239744
東大発2013
http://www.he.u-tokyo.ac.jp/2013/05/13/1773/
 今年は、研究部門のスタッフも変わり、藤本先生に加わって頂いたことで、授業も大幅リニューアルです。
 なんと! 今年は「社会問題をテーマとしたデジタルゲーム開発」を行います。
 ゲーム開発環境である「Unity」を開発ツールとして、ゲーム開発未経験の東大1,2年生がチームを組んで、デジタルゲームをつくって、一般公開するという授業です。単なるデジタルゲームではありません。社会問題というかなり重たいテーマを、プレイしながら考える、学ぶきっかけになるようなデジタルゲームを開発します。
「ゲームを消費するのではなく、ゲームを創造する」・・・すなわち、「情報の受け手」ではなく「情報の生産者」になる、数年前から続けている「メディア創造ワークショップ」に通底する思いです。
 昔から「ゲームと学習」は密接な関係のもと、発展をとげてきました。古くはエデュテイメント、昨今でいえば、「シリアスゲーム」とか「ゲーミフィケーション」でしょうか。この授業でも、「Playful」と「Learning」の間を考えるきっかけになればいいな、と願っています。
 ーーー
追伸.
その他、後期、駒場キャンパスで、中原は「情報人文社会科学Ⅳ」という授業(教養学部学際科学科の授業)を山内祐平先生と担当させていただきます。2014年2月3日の週に集中講義として開講される予定です。
 詳細は詰めていませんが、こちらの中原担当パートでは「組織×学習×キャリア」といった内容を扱おうと思っています。
「組織における人材マネジメント」という学部生は経験すらしたことのない課題を、しかし、リアリティをもってお楽しみ頂けるよう教える、というのは、なかなかチャレンジングです。
こちらもどうぞお楽しみに!
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東京大学教養学部 駒場キャンパス 2013年度後期
全学自由ゼミナール科目「メディア創造ワークショップ」授業概要
火曜4限(14:40-16:10) 駒場キャンパス
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*科目名:
 全学自由ゼミナール 2013年後期
 「メディア創造ワークショップ」
 社会問題をテーマとしたデジタルゲーム開発
*開講日時:
 火曜4限(14:40-16:10)
*教室:
 東京大学 駒場キャンパス駒場ラーニングアクティブスタジオ
 (KALS : 17号館 2F)
*担当教員:
 藤本徹、中原淳
*主催:
 東京大学 大学総合教育研究センター
 教育課程・方法開発部門
*支援:
 東京大学 教養学部 教養教育高度化機構
*協力:
 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン
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★授業の趣旨・目的:
社会問題の啓発や問題意識の喚起は、古くから活字、
映像メディアを駆使した手法で取り組まれてきた。
近年のデジタルゲーム技術の発達とともに、ゲームが
従来のエンターテインメントを超えて、教育や社会問題
解決のツールとしてのメディアとして捉えられるようになった。
そのような取り組みは90年代のエデュテインメント、
2000年代のシリアスゲーム、2010年代にはゲーミフィ
ケーションと呼ばれる流れを作り、さまざまな分野で
ゲームを用いた社会活動に関心を呼んでいる。
この授業では、社会問題として(1)防災、(2)環境問題、
(3)国際問題をテーマとしたゲームの企画・開発を通して、
作り手として社会問題への理解を深めるとともに、
新たな社会問題とユーザーとの接点を生み出す
メディア創造スキルの学習機会を提供する。
ゲーム開発はグループプロジェクトで行い、経験豊富な
開発者がファシリテーターとしてプロジェクトに参加し、
ゲーム開発のアドバイス・指導を行う。
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★参加条件:
*定員:16名(希望者多数の場合はレポートで選抜)
*ネット接続可能なノートPCを持参できること(機種は問わない)
*プログラミング等の開発経験は問わない
(この授業で学べる範囲のスキルで開発することを前提)
・調査・企画・開発の活動はグループで行うため、協調的な
 作業やコミュニケーション、開発に必要なスキルの習得を厭わないこと
・授業時間以外の時間にもグループワークやスキル学習の
 時間を確保すること
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★参考図書
・藤本徹(2007) シリアスゲーム:教育・社会に役立つゲーム.
 東京電機大学出版局
・ジェイン・マクゴニガル(2012) 幸せな未来は『ゲーム』が創る.
 早川書房
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★授業スケジュール(予定):
※ゲストセッションなど一部日程変更の場合あり
第1回(10月8日): オリエンテーション
・授業概要の説明、昨年度までの活動紹介
・受講希望多数の場合、選抜レポート提示
第2回(10月22日):
シリアスゲーム:教育や社会のためのゲーム開発
・シリアスゲーム事例調査課題
第3回(10月29日):
シリアスゲーム事例調査結果報告
・企画検討会議
・グループプロジェクト開始
第4回(11月12日※夕方シンポジウム開催:こちらに参加):
・社会問題を題材にしたゲーム企画の考え方
(ゲスト講師: 山本貴光氏)
第5回(11月19日):
・企画検討セッション(ゲーム企画案グループ発表)
第6回(11月26日※夕方シンポジウム開催:こちらに参加):
・開発ツール導入(1)
(ゲスト講師:Unity 伊藤周氏)
第7回(12月3日):
・開発ツール導入(2)
(Unity 伊藤周氏によるハンズオンセッション)
第8回(12月10日):
・企画案中間報告・相互評価セッション
第9回(12月17日):
・ゲームメカニクスのデザイン
第10回(1月7日):
・プロトタイプ評価(プロトタイプ相互レビュー)
第11回-14回:
・開発演習
第15回(1月28日): 作品デモセッション・まとめ
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