2012.2.6 07:01/ Jun
ええぃ、もう「ラジオの話」は、えーっちゅうねん
という声も聞こえてきそうですが、今日で、本当に最後にします・・・ラジオの話。
注文していた本が届いたので、ざっと斜め読みしました。その読書感想文です。
一冊目「成功するコミュニティFM放送局」
産業としての「ラジオ」は、シュリンクしている。その中で、全く新しいメディアである「コミュニティFM」は、従来のラジオとは、全くことなるコンセプトのもとで、全くことなるリスナーを対象にして運営されていかなければならない、ということが論じられています。
データから示しますと、この本が執筆された当時(2005年)ラジオの年間売り上げは1778億円で、インターネット広告2808億円に追い抜かされているそうです。
また、セットインユース(同時間でその地区で聴取可能なラジオ局全ての聴取率)の首都圏は、ラジオが最も聞かれている時間ですら、わずか7%程度だそうです。そのような状況で、どのようにしてリスナーを確保していくのか。
最もやってはいけないことは、大手ラジオ局と「同じ発想」で、コミュニティFMを運営しようとすることだそうです。非常に興味深いですね、でも、ついつい、やってしまいがちのことのように感じました。
たとえば、USTREAMが出始めた頃、それをテレビ番組のように作り込もうとすることが目指されたようにね。
もし、USTREAMをテレビ番組っぽくつくってしまったら、それは「テレビ」と比較されてしまう。そうなると、USTREAMは画質が悪いし、クオリティで絶対にテレビには勝てない。
「USTなんて、画質悪いし、テレビにはやっぱり勝てないよ・・・ダメダメ」
ということになってしまう。
新興メディアを立ち上げるときは、それが近似する「過去のメディア」に近づこうとしてはいけないのです。新興メディアを立ち上げるときには、「過去のメディアのメタファ」を拒否するといってもいいかもしれませんね
むしろ、「新興」なのだから、「過去のメディア」ではできないことをやる、という発想に立たなくてはならない、ということですね。
著者は、宇部市のコミュニティFM、「FMきらら」の立ち上げに関わり、現在、経営をなさっているかたです。本書では、FMきららさんの立ち上げのプロセスを、あますところなく詳解していました。興味深い本です。
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二冊目「FM雑誌と僕らの80年代–『FMステーション』青春記」
こちらは、元FMステーションの編集長であった恩蔵さんが、FMステーションの立ち上げから衰退までを、80年代という時代背景とともに紹介している本です。80年代という時代の時代性が、感じられる作品です。
80年代当時、FMは、当時AMと差異化を図ることに成功し、「若者・ハイブローな文化」をもつものとして位置づけられていました。
そこにウォークマンとラジカセという技術革新が生まれ、その延長上に「エアチェック」という行為が、若者のあいだで流行します。FM放送を聞いていて、かかった曲をテープに録音するのが「エアチェック」。で、それをウォークマンで聞くという行為が「なう」だったわけです。
そして、そのためには、前もって、どのような曲がかかるかを、リスナーはわかっていないとならない。そこで生まれたのが、いわゆるFM誌というジャンルで、最盛期には、FMステーションは50万部売れたそうです(信じられない数字だと思いませんか?)。
(ちなみに、エアチェックという行為の流行は、FM局の誕生とウォークマン・ラジカセの技術革新の延長上に存在しているというところが、面白いですよね。これら諸要素のアクターネットワークが形成されてはじめて、当時、僕らが熱中していた「エアチェック」が起こるのです)
FMステーションは、鈴木英人さんのイラストを掲載し、カセットテープをデコレーションするために雑誌そのものを切り貼りできるようなデザインにする、など、当時、様々な革新をなしとげました。しかし、その「爆発的とも言える跳躍」は、そう長くは続かなかった。
暗雲が立ちこめるのは2つの契機によってです。
ひとつは、CDの台頭。
高音質のCDが普及しはじめ、わざわざ「エアチェック」をするという行為が面倒になってくる。
ふたつめは、J-WAVEなどの新興FM曲が、FM誌に曲目を提供することを拒否したことです。これによって、FM誌は、詳細な番組表をのせることができなくなり、急速に衰退していくことになります。
前者は技術革新なのでやむを得ないところがあります。
後者は、J-WAVEの言い分もよくわかる。曲目を前もって出すということは、1ヶ月前以上に、その日にかける音楽を決めなければならない。
ということは、その日が雪であろうと、雨であろうと、1ヶ月前に、夏だぜー、オラオラの「TUBE」の曲をかけることが決まっていたら、かけなくてはならないことになります。
要するに、アドホックに、その時々の状況を見ながら、番組構成を行う、ということができなくなります。番組制作における局側のイニシアチブが毀損される事態が生じている。だから拒否する。
J-WAVEは、それまでFM誌に握られていたイニシアチブを、局側に取り戻そう、としたのかもしれませんね。なるほどね。いつも聞いているJ-WAVEに、そんな背景があったとは。面白いですね。知らなかったよ。
ただ、感想は以上です。他にも2冊ほど読みましたが、こちらは、また時間のあるときにでも。
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最後に・・・やっぱり、僕は、自分でメディアを創りたくました。少なくとも、そのことに、ひそかに、ずっと興味をもっている、ということが、よくわかりました。僕が創りたいメディアは、ラジオじゃないなとも思ったけど。
考えてみれば、ずっと、そういうことに憧れ続けてきたんだよなぁ。。。
小学生の頃、僕がたまに出かけていたスキー場では、「ミニ放送局」が設置されていて、パーソナリティの方がおしゃべりしながら、曲をかけていた。僕は、スキーも好きだったけど、その放送を聞くのが愉しみだった。
中学の頃には、クラスの委員会で放送委員会に入ったけど、お昼休みにビートルズとかストーンズの曲をかけたら、「学校にふさわしくない」と先生に怒られて、ヤル気がマイナス5000ポイントくらいになって、二度と行かなくなった(学校にふさわしいのはモーツァルトらしい)。
高校の頃には、放送部に憧れたけど、放送部のドアを叩いて中にはいってみたら、ものすごい雰囲気で(察してください)、「生まれながらのポジ」の小生は、とてもついていけそうだったので、入部をやめた。
今に、はじまった話じゃないんだよなぁ。
・・・そして人生は続く。
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追伸.
昨日の作品は、シーバス(水上バス)です。有明のビックサイトのあたりとか、横浜のみなとみらい・山下公園あたりを運行している「お船」ですね。
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