2011.10.7 09:44/ Jun
そろそろ「話題の潮目」が来ているのではないか、と感じます。
僕は生き急いでいるらしいので(笑)、もしかすると早すぎるのかもしれませんが(笑)、そろそろ人材マネジメントの話題を、これまでの「日本企業の外国人採用」の話題にくわえて、「外国人・留学生の組織適応」「外国人の育成計画」「外国人・留学生のキャリア発達」「外国人・留学生を部下に抱えるマネジャーと職場の支援」まで範囲を広げるべきだと感じています。
今後3年以内に起こる「バッドシナリオ」はこうです。
外国人・留学生を大量採用したはいいけれど・・・
1.初期の組織適応に失敗して辞めてしまった
2.日本型雇用や育成の仕組みをきちんと説明できず、
辞めてしまった
3.彼らに、適切なキャリアイメージを持たせられず、
辞めてしまった
4.外国人、留学生を部下に抱えるマネジャーが変化に
対応できず、問題を抱えるようになった
5.外国人、留学生が職場、チームで孤立した
そして挙げ句の果てに、「だから外国人・留学生じゃダメなんだという言説がまことしやかに語られ、ダイバーシティ化がさらにおくれる」としたら、あまり歓迎できるシナリオではありません。
なぜ、このようなことを思うかというと、そういう話を、少しずつですが耳にすることが多くなってきているからです。問題は表だってはでてきていません。しかし、プスプスと。
また、同時に「日本企業で働くことを、人生のゴールです、と言い切る留学生にあったことが、管見ながら、僕は一度もないから」です(これは個人的な経験ですので、一般性がどの程度あるかはわかりません)。
彼らの中には、組織にとらわれず、自分の能力形成、専門性の発達、キャリアの伸張のことを気にかけている人が多いように感じます。だとすれば、「育成 – キャリア」に対するケアは、どうしても、必要になると思います。
すでにこれまでにも一定数の外国人・留学生を採用してきた企業にとっては、「今さらジロー感」?の漂う話でしょう。何、今さらいってんの?、と。
でも、変化があまりに急激なために、最近採用をはじめた企業で、上記のようなシナリオが頻出することを懸念しています。
さらに、話は外国人・留学生を取り囲む日本人へも及びます。
かつて、組織社会化研究の泰斗のFeldmanは、組織は「組織への新規参入者」を「社会化」する一方で、その矢印は一方向ではないことを指摘しました。
すなわち、新規参入者は、組織をも「社会化」する。ということは、留学生や外国人を抱えるマネジャー、職場、職場メンバーにも影響は及びます。
外国人や留学生を大量採用してグローバル化に対応しようとするならば、それを迎え入れる側も変化に対応するために、Relearn(学び直し)、Unlearn(学びほぐし)をしなくてはなりません。そういう備えをどのように行うのか、そろそろ、そういう話題がでてきても、良い頃ではないかな、と感じています。
ちなみに、中原研ではD3の島田さんが、まさに外国人・元留学生の育成、定着に関する研究をしています。最新の研究&ワークショップにご協力・ご参加いただける方は、ぜひ下記をお読みの上、ご参加いただけますと幸いです。
「元留学生外国人社員の定着と成長に関する調査とワークショップ」へのご協力のお願い!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2011/09/post_1799.html
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追伸.
こんな時代にあって、個人的には、日本人の学生で、やる気のある学生の「学習意欲」「学習能力」にもっと焦点があたってよいのでは、と感じています。学生だった頃、僕は「ダメプーな学生」だったけれど、今の学生の中には、パッションも、志も、知識も、やる気も、本当にたくさんいますよ。
マスメディアの議論は、常に「振り子(Moving pendurum)」のように動きます。右に動けば右。左に動けば左。要するに、バランスをとりません。なぜなら、それじゃ「ニュースにはならないから。「センセーショナル」じゃないから。
今、人材の世界で起こっているグローバル人材の議論は、少し議論のバランスが悪いように僕は思います。日本人の学生を、十把一絡げに、過小評価しているように感じます。僕の気のせいかもしれませんけれど。
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