2010.10.16 09:25/ Jun
研究の都合上、これまで、たくさんの企業研修を参与観察してきました。研修を観察していて、観察したすべての研修に共通するわけではないのですが、いつも思うことがあります。それは、研修の最後「アクションプラン作成のパートに、もっと工夫が必要だ」ということです。
アクションプランとは、「研修で学んだ事を参考に、現場・日常に戻ったら、何をするのかを宣言すること」を一般にはいいます。
そして、この「アクションプラン」の作成と宣言のパートが、はなはだ「儀礼」に満ちているものになっているのです。
「儀礼」、すなわち「一見、意味のありそうで、意味のないもの」とは、やや「遠回しな物言い」だったでしょうか。
つまり、便所スリッパで後頭部を殴られる事を覚悟して、一言でいうのならば、アクションプラン作成のパートで「誰も実行しないアクションプラン」が述べられている場合が多い、ということです。つまりは「ノーアクション・プラン」。
例えば、「そのアクションプランは、天地がひっくりかえっても、実現は無理だろ」というプランを作成していたり、「そのアクションプランは、ちょっと志低くない?」というようなレベルの低いものだったり、ひどい場合には、学習内容とは全く関係ないアクションプランが述べられていたり・・・。
でも、アクションプランを作成・宣言するパートというのは、研修の最後であり、時間も押していますから、とりあえず作成・宣言して、OKね、ということになりがちです。もちろん、すべてがそうだとは言っていません。
かくして「研修は研修、仕事は仕事」は、やはり変わりません。たてたアクションプランなど、次の日には綺麗さっぱり忘れられ、「ノーアクション」になるのです。
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それでは、これをどのように超えればいいのでしょうか。
まず押さえておきたい前提は、アクションを起こすかどうかは、実際問題、現場の人にかかっています。だから、アクションがなされるかどうかまで、外部からは厳密にコントロールすることはできません。
また、アクションを起こしたくない心から願っている人に、アクションを起こさせる事はできません。
わたしたちにできることは、アクションが起こしやすいような環境を整えてあげる事、あるいは、アクションを起こす事に興味を持っている人の背中を押してあげることです。すなわち、「現場の人がアクションを起こすことを促すようなアーキテクチャやカリキュラム」を作り出す事なら、出来そうな気もします。
そのためには、いくつかのやり方があります。やり方といってもたいしたことではありません。詳細は、いくつかの企業との共同研究の内容にもなっているので、あまりお伝えできないのですが(ごめんなさい)、皆さんなら、どう考えますか?
いずれにしても、共通する考えとは、
「研修とは、まずはじめに教育内容があって、その伝達が終わったあとで、最後にアクションプランを書くものだ」
という「定型的なフォーマット」を棄てることです。
いや、まぁ、棄てなくてもいいけど(笑)、いったん、脇において、現場でのアクションを促すようなカリキュラムのあり方を考える事だと思います。
ラディカルに言うのであれば、そこで現れる「新しいカリキュラム」には「研修」というラヴェルを、敢えて使わなくてもいいかもしれない。
あなたの組織でつくられているアクションプランは、アクションがともなっていますか? あなたの組織には「誰も実行しないアクションプラン」が今日もつくられていませんか?
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■2010年10月15日 中原Twitter
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