2010.8.20 06:40/ Jun
一般に、ビジネスパーソンの成長という観点からみると、「海外派遣」は非常に大きな経験学習の機会、あるいは、リーダーシップ発達の機会と捉えられています。
海外に出れば、ナショナルスタッフ(現地雇用職員:現地で雇用されている外国人)とのコミュニケーションに取り組まなければならない。ダイバーシティあふれる人々をいかにマネジメントするか、という課題に真正面から取り組む経験がそこにはあります。
また、日本の本社では経験できないような「大きな仕事」「ゼロからの仕事」を責任者として委され、それをやり抜かなくてはならない場合がある。責任や権限が大きな仕事、ゼロから新たなプロジェクトをやりぬく機会というものが存在します。
日本ではなかなか逢うことのできないVIPと出会う機会が増え、彼らから薫陶を受けることができる可能性がある・・・などが、その主たる理由です。
つまり、海外は、そこに出なければなかなか得ることのできない「経験のレパートリー」が豊富に存在する。それをしっかりと経験し、他者からのフィードバックを受けて、内省することができれば、大きな成長の機会になる、ということですね。
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海外の、人材マネジメントが非常にうまいと言われている企業では、この「海外派遣」をしっかりとした幹部候補養成、リーダーシップ発達の機会と捉えて、うまく活用し、またしっかりとした準備をしている、と言われています。
まずは派遣前にしっかりとした研修プログラムを受けさせ、派遣中にはしっかりとしたフィードバックの機会をもち、帰任後はやはりケアを行い、ポストを用意する。
要するに、海外派遣のとらえ方が、非常にシステマティック、かつ、ストラテジックな印象を受けます。
海外派遣は一方で「リスク」です。中には海外での生活になじめず、予定より早く帰任してしまうこともありえますし、実は、配偶者の異文化適応がうまくいかず、家族でメンタルヘルスの問題を抱えたり、帰任してしまう場合も少なくありません。
よって、こうした事態を防止し、機会損失を限りなく抑えるためにも、非常にシステマティック、かつ、ストラテジックに海外派遣を捉えていることがわかります。
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しかし、一方で、日本企業はどうでしょうか。
経営戦略のひとつには「グローバル化」と掲げられている企業であっても、どうも旗色が悪そうです。
詳細な定量的調査をした経験があるわけではないので、正確な数字は把握できませんが、どうも、海外派遣が、上記のような観点ではとらえられておらず、どちらかというと「場当たり的」に捉えられている印象があります。
少なくても、わたしがヒアリングさせていただいた方々の「語り」の中からは、そんな実像が浮かび上がってきます。
あなたの会社は、実際のところ、いかがですか?
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ともかく、グローバル化は、非常に大きな経営課題になってきている組織が多いと思います。
人材の観点からグローバル化という場合に、現在進行しているのは、海外の人々を対象にしてリーダーシップを発揮できるビジネスパーソンの育成、つまりは「グローバルリーダーの育成」と、本社の「職場のグローバル化」でしょう。
一方で「グローバル化」とは誰もが口にできる「お題目」のようなものです。
もし、それに取り組むことが経営戦略の大きな課題であるならば、その本質に、しっかりと地道に取り組むことができるかどうか、が問われているような気がしますが、いかがでしょうか?
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