2010.6.17 07:12/ Jun
作家の瀬名秀明さん、桜坂洋さんらが、「出版社を通さず」、自ら会社をつくり発刊した電子雑誌「AiR」が発売になった、というので、早速、ダウンロードしてみました。
現在、キャンペーン価格350円で、iPhone/iPadでのみ閲覧できます。iTunesからの購入になります。アプリのかたちで配布されています。
電子本
http://electricbook.co.jp/
内容は下記のようなものバラエティに富む内容です。個性的な一流の書き手が、それぞれのテーマで書き綴っています。
■巻頭グラフ「横山裕一、豊潤の世界」
■小説「デビルマン魔王再誕」永井豪=原作/桜坂洋=小説/籬讒贓=画
■評論「平安デジャブ──抱擁国家、日本の未来」
前野隆司(慶應義塾大学大学院SDM研究科教授)
■小説「魔法」瀬名秀明=文/むらかわみちお=画
■エッセイ「背徳の食卓~”やっちゃいました”と言ってみたくて~」
岡田有花(ITmedia News)=文・絵
■対談「歴史、政治体制、ロボットアニメ」
本郷和人(東京大学史料編纂所准教授)
■評論「『電子書籍が儲からない』は嘘である」
中村祐介(エヌプラス代表)
■エッセイ「IT革命と相撲」
カレー沢薫=文・漫画
■ノンフィクション「1969 バブル世代に生まれて」
堀田純司
個人的には(あくまで僕の趣味)、ちょっと前まで大学院(学環)で同僚であった歴史学者・本郷先生の「歴史、政治体制、ロボットアニメ」、岡田有花さんのエッセイが面白かったです。禁じ手「スタバのカップで、味噌汁を飲む」は、笑えました。
中村祐介著『電子書籍が儲からない』は嘘である、は勉強になりました。
「これまでは、200ページくらいのボリュームでストーリーを考えるという逆算型の発想で多くの本はつくられてきた。その結果として、伝えたいことはただひとつ。10行程度のものなのに、あの手この手で整理し、簿劉ー無を増やすといったことが行われてきた。(中略)電子書籍なら、極端な話、本質を凝縮した5ページの本でも売ることはできる。コンテンツという素材に適した調理の仕方がよりしやすくなってきたのだ」
というご指摘は、まさにそのとおりだと感じます。
おそらく電子書籍化は、コンテンツのモジュール化を推進し、それゆえに、ひとつひとつのコンテンツのエッセンスは、より凝縮したものになる可能性があるのではないか、と感じました。
▼
本誌の冒頭、著者らは言います。
「なにかを否定するためではなく
新しい可能性を肯定するために何かをやりたい」
「時代の扉は自分たちで開けたい」
・
・
・
とても、共感できる言葉です。
このブログですでに紹介したように、今年、僕と重田先生が駒場でやる授業「メディア創造ワークショップ」では、東京大学の学部生12名(上限)が、電子インタビュー雑誌をつくることにチャレンジします。
メディア創造ワークショップ
http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/06/ipad_1.html
雑誌のコンセプトは、「大学生を元気にする」。
「自ら進路や就職を切り開こうとしている20代の同年代の学生、大学院生を勇気づけ、背中を押してあげられるような内容」をめざし、インタビュー相手を決めて、コンテンツを執筆・編集することにチャレンジします。
学生たちが編集したインタビューは、テキストとビデオのかたちにまとめられ、最終的には、ipadで閲覧することができるアプリとして、「AiR」と同じように、配布をするつもりです(無償)。
学生が取り組むものですから、AiRのようなクオリティは難しいとは思いますが、何とかかんとかやりとげたいな、と思っています。
今、この授業の準備が水面下で進めています。技術的な問題はクリアしました。あとはカリキュラムの構築です。この授業には、多くのメディア関係者の方々にご協力をいただきたいと考えています。
なんだか楽しくなってきました。
「時代の扉を、学生と一緒に開けたい」
そんな風に思います。
—
■2010年6月16日 中原のTwitterタイムライン
Powered by twtr2src.
最新の記事
2024.7.9 08:06/ Jun
2024.7.3 08:04/ Jun
2024.7.1 08:16/ Jun
2024.6.28 08:25/ Jun
2024.6.27 08:28/ Jun
人材開発の仕事ってさ、〆切いつなの? 期限はないの? : 事業部から人材開発部署に異動したときに必要な「学び直し」のこと!?