2009.12.17 07:11/ Jun
ちょっと前のことになりますが、去る12月4日は、東京大学本郷キャンパス 福竹ホールで、Learning bar(ラーニングバー)が開催されました。
いつもならば、参加者の皆さんがblogに引用しやすいように、すぐに「報告記」を書くのですが、なんだ、かんだ、あれ、これ、やっている間に、大変遅れてしまいました。この場を借りてお詫びいたします。
この日のlearning barのテーマは、
三井物産における組織理念マネジメント:
組織理念をどのように共有するのか!?
みんなで「よい仕事」を考える、ことから考える!?
です。
三井物産 人事部 渡辺雅也さん
神戸大学大学院 経営学研究科 金井壽宏先生
を講師にお招きし、「組織理念とは何か?」「組織理念を共有するとは、どういう意味なのか」について、皆さんで議論させていただく機会を持ちました。おかげさまで、今回のLearning barも満員御礼!です。大変ありがたいことですね。お越しいいただいた皆様に、心より感謝いたします。
今回は、過去最高レベルの456名の方々からご応募をいただき、当日、200名の方々に抽選でおこしいただきました。
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バーの会場は5時30分。
今回はクリスマスが近いということもあり、大学院生に伏木田さん(山内研究室)が中心となって、クリスマスの装飾をしてくれました。ありがたいことです。
また、今回はLearning barに新規アクティビティを取り入れました。エキシビジョン・ウォークです。
200名の参加者の方々に「宿題」をやってきていただき、それをパネルに張り出して、自由に見てもらう機会をつくりました。こちらは、中原研究室・大学院生の木村君がディレクションしてくれました。
今回の「宿題」は、「あなたにとって、”よい仕事”とは何ですか?」です。この問いに対する答えを30字以内で書いてきていただきました。名付けて「Good work exibition 2009」ですね。このパネルには、200人の「よい仕事」が書かれています。
今回は装飾とエキシビジョンが新企画です。Learning barも、常に「変化すること」をめざしています。このあたりの思いについては、下記の取材を受けましたので、どうぞご覧ください。
Learning barの作り方
http://bit.ly/3Zx22N
ちょっと余談になりますが、今やっている書籍の執筆が終わったら、次は「Learning barとは何だったのか?」について書籍を書こうかと思っています。そろそろ棚卸しをする機会が僕にも必要なのかな、と思うのです。
Learning barは、「単にバーをやっています」という意味ではなく、「僕のめざす研究とは何なのか」「研究者とは何なのか」ということに対する、あくまで僕なりの「仮説」提示の場であったように思います。そのあたりは、また、おいおい。
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会場はすでに自己紹介がはじまっています。
Learning bar冒頭は、中原から趣旨説明です。
Learning barは、
1.聞く
2.聞く
3.聞く
4.帰る
という場ではなく、
1.聞く
2.考える
3.対話する
4.気づく
ような場であるということを、まずは、ご説明いたしました。
で、、、いや、それとも違うよ、と(笑)。
今日は、「Good work exibition」があるので、
1.聞く
2.考える
3.歩く
4.対話する
5.気づく
という学習モデルを採用するので、ぜひ、ご協力ください、と申し上げました。皆さん、非常に快くご協力いただきました。ありがたいことですね。
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まずは、三井物産の渡辺さんのご講演です。
三井物産が組織理念を見直すきっかけになったのは、旧三井物産が誕生してから、130周年を迎える矢先でした。いくつかの不祥事が続き、会社存続の危機に瀕したのは、私たちも記憶に新しいところです。ある種の「危機感」が、会社を覆っていました。
そこから、会社の再建に向けた厳しい戦いの道のりがはじまります。組織理念を定め、社長が車座・キャンペーンを実施し、アクティブトークウェンズデーという「場作り」も行いました。
そこには一定の効果がありましたが、そこで出てくる会話の主語は、「組織」でした。これを、個人が「主語」の会話にかえるために実施したのが、「よい仕事ワークショップ」ということになります。
問いかけは非常にシンプルです。
あなたにとって「よい仕事」とは何ですか?
「よい仕事」の意味を社員全員が数時間時間をかけて、全員考える機会をもち、自分自身の言葉でを語ることをめざしました。最初は、
「なぜ、会社は”よい仕事”とは何かを、いわないのか?」
「このクソ忙しいときに、何がよい仕事だ」
という反応がありました。その背後には、実務担当者の様々な苦悩と葛藤がありました。しかし、ながい時間をかけて、今、「よい仕事」は三井物産の中で語られる共通の言葉になりつつあるといいます。渡辺さんには、ご講演の中で、そのようなことについてもお話しいただきました。
10分間バータイムに突入です。
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第二部、金井先生には、組織理念とは何か、それを共有するとは、どういうことなのかを、エドガー・シャインの経営学を下敷きに解説いただきました。
個人の拠り所(個人にとってブレないもの)としての「キャリア」や「やる気」の問題と、組織の拠り所(組織にとってのブレないもの)としての「組織文化」には、本来、密接な関係があることをご指摘いただきました。
金井先生がご講演の中でご紹介していただいた「ラインホルト=ニーバーの祈り」という短い言葉があります。
変えられるものを変える勇気と
変えられないものを受け容れる心の静けさと
両者を見分ける叡智
このような知性、いいえ叡智を持ちたいものです。自戒を込めていいますが、世の中、下記にようになってしまうことがいかに多いか。
変えられるものを変えずに沈黙すること
変えられないものに葛藤し、苛立つこと
両者に翻弄されること
とても考えさせられる言葉でした。
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その後は、Learning bar恒例のディスカッションタイムです。
今日も、非常に熱いディスカッションがかわされていました。いつものように、教室の温度は急上昇です。
その後は、Q&Aのコーナー。200名の方々からいただいた質問を渡辺さん、金井先生にお答えいただきます。
最後は、中原によるラップアップで終わりました。
また、最後の最後には、ワークショップ部が1月23日に開催するサードプレイスコレクション2010というイベントについてご紹介。舘野くん、安齋くんの掛け合い漫才!?プレゼンです。1月23日、「学びのサードプレイス」を実践する多くの人々が、六本木に集結します。自ら働く意味を問い直す場、新たな価値やアイデアを創出する場 – そうした「場づくり」を実践する人々が、一同に集結するのです。ぜひ、お楽しみに。
サードプレイスコレクション2010
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/12/2010_-.html
講師の方へのわれんばかりの拍手の中、無事終了です。
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最後になりますが、渡辺さん、金井先生、そしてこの場づくりに協力してくれた学生の皆様、本当にありがとうございました。とてもよい「学びの場」になりました。この場を借りて感謝いたします。
これにて2009年のLearning barはすべて終了です。
2010年のLearning barは、2月12日、リクルートエージェントの中村さんらをお招きして「楽しくて怪しい場づくり!?」を開催いたします(仮称)。Learning barの雰囲気は一転します。どうぞお楽しみに。
そして人生は続く。
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