2023.3.10 10:59/ Jun
いま、みなさんは「同じもの」を見て、話し合えていますか?
いま、みなさんは「何」について、話し合っているのですか?
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これらの問いが、わたしが、「話し合いのファシリテーション」に(プロセスコンサルタントとして)入った場合に、頻繁に用いる問いです。
ひとびとは、話し合っていると、話題が混戦して、「何」について話し合っているのかがわからなくなりがちです。つまり、同じ話題を脳裏に想定して、「それについて」の話し合いができなくなる。下図のように、最初は「同じもの(たとえば三角錐)」を見て、話し合いができていても、時間とともに、それが変わってきます。
多くの場合、そうした話題の混戦は、それぞれのひとびとの「よかれと思う発話」からはじまります。ポイントは、誰も「悪意」をもって、話題を混戦させようとは思っていないことです。
よかれと思って、誰れかが思いつきを、ぶつける
よかれと思って、場に代替案をだす
よかれと思って、話し合いに別の角度からの意見をだす
それ自体は非常に貴重な貢献なのですが、それぞれの「貢献」がきちんとメンバーに受け取られなかったり、話題の選択がなされなかったり、メンバーによって「受け取るか、うち捨てるか」が変わると、話し合いの「対象」がずれていきます。
下図のように、脳裏に「異なるもの」を見て、それについての意見が述べられるようになるのです。
あるものは、話題(三角錐)を「上」から見て、それを脳裏に思い浮かべて、これについての意見を述べる。
あるものは、話題(三角錐)を「横」から見て、それを脳裏に思い浮かべて、これについての意見を述べる。
あるものは、話題(三角錐)を「下」から見て、それを脳裏に思い浮かべて、これについての意見を述べる。
みなが皆、他者には見えない「脳裏」に浮かんだ、別々の対象に対して意見を述べているので、ひとびとのやりとりは、円滑に進むわけがありません。
ゆえに、さらに話題は混戦し、「わかりあえなさ」が募っていくのです。
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対話の基本とは、「同じもの」を見て、それぞれが自分の意見を(たとえ異なる意見でも)持ち寄ることです。この場合、もっとも基礎になることは、メンバーが「同じもの」を見て、話し合えているかです。意見は異なっていていいのです。意見は異なって上等。しかし、「同じもの」を見て、それに対する意見がなされるのなら、よいのですが、別々の話題について意見を出し合っても、すりあわせはできませえん。
よって、話し合いが混戦してきたな、と思われる時に、わたしが冒頭に紹介した問いが発せられ、ひとりずつ、今、「何」について話し合っているかを出してもらうのです。
いま、みなさんは「同じもの」を見て、話し合えていますか?
いま、みなさんは「何」について、話し合っているのですか?
そのとき、わたしがもっとも大事にしていることは「誰一人取り残さないこと(No one left behind)」です。意見は違っていても、混乱しても、誰一人取り残さずに、同じものを見て、話し合いができるか、どうか(自分から降りる自由は、それぞれの人々はもっています)。ファシリテーションには、様々な流派やコツやら技術があるようですが、わたしは、基本的には、このことに尽きるのではないか、と思っています。
同じものを見て、話し合いができる環境をつくる
そのうえで
誰一人として取り残さない
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今日は「対話におけるファシリテーションの妙」について書きました。対話については、学部教育でも、大学院教育(前期)でも、時間をかけて学ぶ機会をもっているのですが、これが、もっとも伝わりにくいです。
しかし、決して、あきらめず、対話の大事さを伝えていきたい、と願っています。
あきらめたら、試合終了ですから。
そして人生はつづく
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