2023.1.17 08:21/ Jun
ロマンチックワード化する「現場」に蔓延る「謎のネガティブ5段活用」!?
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「あいつは、現場を知らないからな」
「あいつは、現場がわかっていない」
おそらく日本全国津々浦々三万六千ヶの職場で、やりとりされている言葉でしょう。
現場(GEMBA:げんば)は、この国の仕事人にとっては、「否定してはならない価値をもつ仕事の場」でもあり、技能をカイゼンする機会であり、かつ、長時間を過ごす生活の場そのものです。
現場は、どこか崇高なイメージで語られ、匠の技は、そこにあるとされる。「大切なものは、すべて現場にある」と言われる場合だってありえます。現場には、そこに集う人々の情念や、そこにいていい理由、すなわち「メンバーシップ」すら含まれています。
実際、現場は英語になりません。今、仮に「現場」を「Workplace」と訳してみてください。たいていの日本人は「うーん、そういうことが言いたいんじゃないんだよなぁ」と感じるはずです。現場には「Workplace」以上の意味が宿っているのです。
だから
あいつは現場がわからない
は「処刑語」です。これを言われたら、その後に何をいっても、ちょっともう、無理(笑)。「おまえは、メンバーじゃない」くらいの破壊力があります。
これがさらに生きすぎると、現場は「拒否語」「巨力な言い訳オブジェクト」にも使われます。経営が何を考えても、どう働きかけても・・・
「現場が納得しなくてさ・・・」
「現場が動かないんだよ・・・」
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しかし、一方で、この現場主義が「精神主義」と結びつくとき、あまりよろしくない傾向を生み出すのも、また事実です。
どう考えても「古臭くて効率の悪いやり方」が長いことまかりとおっているのも、また「現場」です。どう考えても「たるすぎる仕事」なのに、誰もカイゼンせず、「とにかく頑張れ!」と言われる。つまり「精神主義」が闊歩します。
かくして現場は「不効率な仕事」と「長時間労働」を生み出す現場にもなりえますので、注意が必要です。だから、儲かりません。
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そもそも「現場がわかる、わからない」ということすら非常に「曖昧」です。
たとえば、ひとつの場所で、長いあいだ働いているひとは「現場がわかる」のでしょうか。それとも、多くの場所で、たくさんの仕事にであったひとが「現場がわかる」のか。
(たくさんの場所の共通点を知っている場合でも「現場がわかる」とされそうなのに、おそらく、そうはなされません。おそらく「現場」は「そこに長くいること=場の主になること」も含み込まれている言葉なのです)
つまり、現場とは「場所」のことを指しているのか、はたまた「仕事」のことをさしているのか、「それ以上の意味」があるのかすら、よくわかりません。つまり「現場がわからない」は、権力をもつものにとって、「いいように使われる傾向」があるということです。
場合によっては
「現場がわからない」
=わたしの仕事が、わからない
=わたしに、配慮してしない
=わたしのことを、わかっちゃいない
=わたしの気持ちが、わかっていない
=わたしの過去を、リスペクトしていない
と「謎のネガティブ5段活用」する可能性もあるので注意が必要です。「現場をわかる=わたしをわかる」だったんだ(笑)
ともかく、
他人が「現場がわからない」
という言葉を用いたら、そこで思考停止せずに、その言葉の真意は何なのかを推測ってみるのもよいかもしれません。
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今日は「現場」のことを書きました。
まず、現場は魅力的です。しかし、現場は、ときに、暴走してロマンチックワード化します。現場は「非効率な仕事のやり方」がうずくまっている場所であり、精神主義と共振する可能性もあります。
そして現場には「ひとの情念」がつまっています。
現場、この魅惑的なもの。
ちなみに、いろいろ書きましたが、
わたしは、それでも「現場」が好きです。
教育の現場で、仕事人生を終えたいと思います。
そして人生はつづく
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