2022.1.31 09:37/ Jun
課題解決とは「現状」と「目標」の間を埋める営みです。課題解決では、「現状」と「目標」のあいだの距離(問題空間)に、いくつかの「課題」を見いだし、その「課題」に対応した「解決策」を実行することを通して、目標に近づきます。
・
・
・
文章にしてみれば、これは、まことにシンプルです。
記号を使って簡単に書いてみれば、下記のとおり。
as is(現状) →→→→→→→→→→→ To be(目標)
今、as is(現状)からTo be(目標)の目標のあいだには、仮に、10個の「矢印(→)」が存在しているのだとします。この矢印の数こそが、この現場が抱えている「問題空間の距離」です。
この矢印が多ければ、多いほど、as is(現状)とTo be(目標)には乖離がおきており、課題解決は難しくなります。
ときには、登る山の高さ(目標)をさげて=矢印の数を減らして、たとえば下記のようにすることが求められます。
as is(現状) →→→→→ To be(目標)
この場合、To be(目標)を下げたので、「矢印(→)」の数は10個から5個に減らしました。これでいっきにフィージビリティがあがります。
登る山の高さをどこに設定するかは、問題解決にとって鬼門です。
▼
課題解決の、もうひとつ難しいことは、この10個の矢印「→→→→→→→→→→→」を埋める(減らす)ための課題・解決策をあげつらい、関連情報をきちんと調べて、列挙できるか、ということです。
as is(現状) →→→→→→→→→→→ To be(目標)
のなかには、「課題」がたいてい複数あります。
たとえば、この課題解決が、多くの組織が苦しむ「人手不足問題の解消問題」であれば、1)採用を増やすことも課題でしょうし、2)離職を減らすことも課題でしょう。あるいは、3)生産性をあげることも課題かもしれません。それぞれの課題には、さらに「解決策」が具体的に紐付きます。
ここで問題になるのは、「→→→→→→→→→→→」を埋めるための課題・解決策が、まずは、ひとつのテーブルのうえに、すべて並べることができるかどうかです。
それを行わないで、ひとつの課題にとびつき、解決策を深掘りしてしまうと、
課題とってつけ王子
解決策を思いついちゃった姫
と言われます。
「まぁ、いいけど、他の施策は検討したの?」
と言われるのです。
▼
課題解決において、次に難しいのは・・・といいましょうか・・・よく、すっかり、すっぽり抜け落ちるのは、課題を決めて、その課題を掘り下げ、解決策を考えたのだけれども、それが、この「矢印(→)」の数を1個ー2個しか解決しない(減らさない)、といったことです。
ま、やってもいいけど、
それって課題解決になるんでしたっけ
という状況ですね。
下図のように「10個あった矢印」の数が、
as is(現状) →→→→→→→→→→→ To be(目標)
課題解決を通して、矢印を「2個」減らして
as is(現状) →→→→→→→→→→ To be(目標)
上図のように8個に減ったとしても、課題解決が完遂しているわけではありません。しかし、解決策の洗練化に走るあまり、ひとは、そのことをすっかり忘れがちです。まだ8個のこってるがな。
▼
人材開発・組織開発とは、ひとと組織の観点から、ビジネスの課題を解決することです。
仕事柄、課題解決におつきあいすることがとても多いのですが、今日は、3つのドハマリパターンをご紹介させていただきました。
たかが課題解決、されど課題解決。
そして人生はつづく
ーーー
職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS(オーディ・アトラス)」が多くの職場で使われはじめています。サーベイはもとより、それをいかに「フィードバック」するかに焦点をあてたツールです。ワークショップも開発しております。どうぞご笑覧くださいませ!
職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS」 (パーソル総合研究所・中原の共同開発)
https://rc.persol-group.co.jp/consulting/survey/service/od-atlas.html
ーーー
新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください!
リリースしました!「チームワーキング研修版」
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/
書籍「チームワーキング」おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
https://amzn.to/3esCOrW
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!
ーーー
【立教大学大学院で大学院生として学びませんか?】
立教大学大学院 経営学研究科 リーダーシップ開発コースでは、経営学を基盤にしながら、人材開発・組織開発・リーダーシップ開発を実践できるアカデミックプラクティショナーを養成しています。別名、「ひとづくり・組織づくりの大学院」です。
授業は「フルオンライン」。授業は金曜日夜と土曜日だけ行われており、2年間で、修士(経営学)が取得できます。
今年は、3期生の募集になります!ご興味がおありの方は、ぜひ、お申し込みくださいませ!
なお、在学生などの声、リーダーシップ開発コースでの授業の様子について知りたい方は、ぜひ、下記のニュース欄をお読みくださいませ!
ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
ーーー
拙著「経営学習論」の増補改訂版が、東京大学出版会より刊行されました。新たに「リーダーシップ開発」の章を追加し、カバーの装いも変わっています。人材開発の基礎的な理論を体系的に学べる一冊です。どうぞご高覧くださいませ!
ーーー
【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
ーーー
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます!
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q
ーーー
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
新刊「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
ーーー
中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
仲間から実際に認められた行動のデータから、自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加されました。職場における相互称賛を、自分の強みの発見と目標設定に役立てられます。
自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
ピアトラストお問い合わせ
https://www.peer-trust.com/contact/
ピアトラストの効果まとめページ
https://www.peer-trust.com/research/2020/
ーーー
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約35000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun
最新の記事
2024.11.22 08:33/ Jun
2024.11.9 09:03/ Jun
なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?
2024.10.31 08:30/ Jun
2024.10.23 18:07/ Jun
【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)