2022.1.21 08:21/ Jun
学生「タイムスケジュール的には、ここで、参加者同士の対話のパートが来ますね」
中原「ふーん。で、ここで、対話するって、何について対話するの?」
学生「・・・・・いや、何って、まだ決まってないんですけど」
中原「対話のテーマは?」
学生「テーマはとくに、何でもいいんで、対話してくれればいいかな、と」
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このところ、学部の学生にワークショップや研修の開発を教えていて、何度となく繰り返している聞いているセリフです。いや、学部学生だけではなく、社会人の研修開発コースでも、事態は同じです。
問題は、ワークショップや研修設計のときに、「対話させる」とか「ディスカッションさせる」とか、まるっと、ふわっと設計するのだけれども、そこで、何を「話したらよい」のか、何を「語ればよい」のか、を決めきれてない。
まるっと、ふわっと、
「じゃあ、参加者同士で、なんでもいいから、対話してください」
というインストラクション(教示)が試みられたりするのです。
(正確にいうと、非構成系のワークショップというのもあることにはあります。非構成系のワークショップでは、テーマレスのコミュニケーションがなされたりすることもありますが、シャバでは稀でしょう。もちろん、それを対話とよぶかたもいます。ただし、一般的な対話とは、このブログに書かれていることが近いと思います)
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おそらく、こうした「雑な教示」のあとに広がる参加者同書の光景は、
1. 「何を話していいんだか、わかんなーい」という光景
2. 「対話というなの、単なる雑談」の光景
3. 「ワークショップで学んだこと」を単に繰り返すだけの感想交換大会
でしょう。
オンラインであれば、ファシリテータの目の届かないブレイクアウトルームで、こうした活動が生まれてしまいます。「時間」が「浪費」がはじまります。
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それでは、参加者同士が「対話」を行うためには、いったい、何が必要なのでしょうか。
これは本気で書こうとすると、かなりのページ数が必要なので、ざくっと、すこーんと割り切って「対話の3つのポイント」を書きます。
対話の3つのポイントとは、
1. みなが話したいと思えるテーマを設定し、
(みなが共通の関心を寄せられる
答え・ケリのついてないテーマ)
2. そのテーマのもと、みなが自分を背負って語ることを求め、
(自分の過去の経験、価値観、意見を持ち寄れるテーマ)
3. みなの認識に「違い」があることを発見できること
(話し合ったあとで、そういう意見もあったんだと
各人の認識の違いを感じられるようなテーマ)
です。シンプルにいえば、対話とは「テーマのもとでの、自分の表出であり、そのことで他者を発見すること」ですね。
ベン図で書けば、以下のとおり。
この3つにすべて該当するテーマであれば、あるほど、おそらく「対話的空間・時間」をつくることができるようになります。
なぜなら、そもそも、対話とは、
1.ある共通のテーマのもとで
2. 各人が、自分の経験や価値観を背負って、自分の意見を語り合うこと
であり
3. その結果、各人の認識の「違い」が表出するコミュニケーション
だからです。
対話というのは、「日常的なコミュニケーション」ではないのです。こんなコミュニケーションを私たちは、日々、しているわけではありません。そんなの年がら年中やってたら、気疲れして、たまりません。
むしろ、対話とは、コミュニケーションのスイッチをえいやっと切り替えて行わなければならない、「非日常的なコミュニケーション」なのです(だからファシリテータが必要だという話がでてくるわけです)。
だからね・・・
「皆さん、なんでもいいから、対話してください」という雑なフリでは、対話になることは非常に厳しいのです。別の言葉でいうならば、対話は、あるテーマのもとで「ぐっと考えさせること」でもあります。
何という「問い」や「テーマ」のもとで、参加者に「脳がちぎれるほど」考えてもらい、心の底にあるものを表出してもらうのか。ファシリテータは、常に、このことを考えなくてはなりません。
そのことを考えながら、問いやテーマを設定すると、うまくいく可能性が高いものです。
学生たちが、よき対話の場を生み出してくれることを心より願っています。
あなたは、参加したワークショップ・研修で「なんでもいいから、対話してください」と言われたことはありませんか? そのあと対話は生まれましたか?
そして人生はつづく
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実際に、内定者の皆さんにご提供いただける商品をつくり、売るためには、商品に加えて、セールスポイント、セールストークなども開発しなくてはなりません。
昨日は中間フィードバック会でした。どの班も頑張りました。幸い「返戻」となる班はなく、最終成果につながりそうです。引き続き頑張ってほしいと願っています。
ダイヤモンドグループの皆様には、学生に貴重な機会を与えていただき、ありがとうございます。永田正樹さん、広瀬一輝さん、廣畑達也さん、小川敦行さん、濱崎麻美さん、井上直さん、石丸恵美さん、永井敬太さん、渋木結さんに心より感謝いたします。引き続きどうぞ宜しくお願いいたします。
わたしは、仕事とは「お届けすること」だと思います。
しっかり「お届け」してください。
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