NAKAHARA-LAB.net

2021.10.25 08:01/ Jun

リーダーが巻き込まれてしまう「ビジョンのジレンマ」という洗礼!?

 新たに職場やチームを率いることになったリーダーは、そこにいる古参のメンバーから、「相反するメッセージ」を受けることが多いものです。これをわたしは「ビジョンのジレンマ」と読んでいます。
   
 ここで「ビジョンのジレンマ」とは、リーダーが古参メンバーから
  
1.あなたなりに、この職場やチームをどのように率いていくのか「ビジョン」を聞かせてください。
  
 と問われる一方で、そのくせ、ひと言でも、言葉を発しようものなら、
    
2.あなたは、「わたしたちのこれまでのやり方」を「全否定」するんですか?
  
 と言われてしまうことです。

 つまり、ビジョンを語らずにいれば「あのリーダーにはビジョンがない」と言われる。一方で、ビジョンを口にしようものなら「あのリーダーは、これまでの現場の経緯を知らない」と陰口をたたかれる。
   
 要するに、起こっていることは「魔女狩りの裁判」と同じです(泣)。
「おまえは魔女か?」と問われて「いいえ、違います!」と答えると「魔女はみんなそう言うんだ!おまえは魔女だ!」と言われる。「そうです!」と答えると「やっぱりおなえは魔女だ」という風になる。要するに、何をやっても「ジレンマ」のなかにある、ということです。
   
 しかし、これは「想定内のジレンマ」でもあります。つまり、かなりの確率で起こりえることが、最初からわかっている(泣)
    
 よって、「想定の範囲内の、誰もが順調に出会うジレンマ」なので、逆にいくと「まえもって準備」ができるはずです。
   
1.着任1年間は「観察」に徹して、ビジョンを提示する期間を稼ぐのも一計
  
2.どうせジレンマだらけなのだから、パコーンとビジョンを提示してしまうのも一計
  
3.ビジョンだけトップダウンで提示して、その「実現の仕方」は、ミドルリーダーや、ボトムに任せるのも一計
  
4.みなでビジョンをつくりあげよう、と述べるのも一計。
  
  ・
  ・
  ・
  
 これ以外にもたくさんのやり方はあるでしょうが、どの方法が奏功するかは、リーダーのキャラ、メンバーのキャラ、関係性にも依存しますので、状況によります。
 信頼に足るミドルリーダーを得られているのかどうか、という点も、大きな要因でしょう。
  
 みなさんだったら、この「想定内のジレンマ」にどのように対処しますか?
  
  ▼
  
 今日は、リーダーが新たにチームを率いるときに、巻き込まれてしまう「ビジョンのジレンマ」について述べました。このことは、2代目社長が代替わりするときも、ある程度、同じ事がいえるのかもしれません。
 
 あなたの周りには「ビジョンのジレンマ」が起こっていませんか?
  
 あなたは「ビジョンのジレンマ」に今まさに「巻き込まれて」いませんか?
  
 あなたは「ビジョンのジレンマ」という洗礼を、いかに乗り越えますか?
  
 そして人生はつづく
   
  ーーー
                      
新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください! 
     
リリースしました!「チームワーキング研修版」
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/
   
 書籍「チームワーキング」おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
   
    
 
https://amzn.to/3esCOrW
           
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!           
     
 ーーー    
       
【立教大学大学院で大学院生として学びませんか?】
 立教大学大学院 経営学研究科 リーダーシップ開発コースでは、経営学を基盤にしながら、人材開発・組織開発・リーダーシップ開発を実践できるアカデミックプラクティショナーを養成しています。別名、「ひとづくり・組織づくりの大学院」です。
 授業は「フルオンライン」。授業は金曜日夜と土曜日だけ行われており、2年間で、修士(経営学)が取得できます。
 今年は、3期生の募集になります!ご興味がおありの方は、ぜひ、お申し込みくださいませ!
   

      
 なお、在学生などの声、リーダーシップ開発コースでの授業の様子について知りたい方は、ぜひ、下記のニュース欄をお読みくださいませ!
  
ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
       
  ーーー  
       
拙著「経営学習論」の増補改訂版が、東京大学出版会より刊行されました。新たに「リーダーシップ開発」の章を追加し、カバーの装いも変わっています。人材開発の基礎的な理論を体系的に学べる一冊です。どうぞご高覧くださいませ!
      

    

      
  ーーー
     
【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
     
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
  
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061   
  
  ーーー
   
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます! 
     
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
   
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q    
  
 ーーー
   

     
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
    

     
 ーーー
    
新刊「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
   

   
 ーーー
        
中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
       
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
     
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
   
仲間から実際に認められた行動のデータから、自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加されました。職場における相互称賛を、自分の強みの発見と目標設定に役立てられます。
 
自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
   
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
    
ピアトラストお問い合わせ
https://www.peer-trust.com/contact/
   
ピアトラストの効果まとめページ
https://www.peer-trust.com/research/2020/
    
 ーーー 
    
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約34000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
   
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun

 

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.11.22 08:33/ Jun

最近、僕は何をやっているのか?そうね、いろいろやってます!?

2024.11.15 15:01/ Jun

【無料カンファレンス・オンライン・参加者募集】AIが「答え」を教えてくれて、デジタルが「当たり前」の時代に、学生に何を教えればいいんだろう?:「AIと教育」の最前線+次期学習教育課程の論点

2024.11.9 09:03/ Jun

なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?

2024.10.31 08:30/ Jun

早いうちに社会にDiveせよ!:学生を「学問の入口」に立たせるためにはどうするか?

2024.10.23 18:07/ Jun

【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)