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2021.10.22 08:10/ Jun

あなたは「心理的安全おじさん」になっていませんか?:概念に「偏愛」し「現場」を裏切る!?

 あなたは「心理的安全性おじさん」になっていませんか?
  
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 昨日、同僚の田中聡先生が、下記のようなツイートをなさっていました。
 
 
 
 ここ数年、これに思い当たる出来事を何度も経験していたので、思わず、僕も、下記のようなコメントを行わせていただきました。
 
 
 
 要するに、ここ最近、わたしどもの研究領域でまさに起こっているのは「概念の肥大化」という問題なのだと思います。
  
 概念とは、田中先生がおっしゃるように、複数の現場で起こっていることを括り出した「抽象性の高いもの」です。
   
 社会学者のパーソンズが、かつていみじくも指摘したように、「概念」とは「スポットライト」のようなものです。それを用いて、現場を照らし出すと、これまで「混沌として理解さえできなかった現場の状況」を鮮やかに照らし出し、説明できることができます。だから、概念は「パワフル」です。
   
 しかし、一方「概念」には注意も必要です。
 下記のような深刻な病が、ここに生まれるのです。
   
1.概念にとびつき症候群
 概念は「流行」があります。ともすれば、流行している概念にとびつき、それを追い求めるだけの状況になります。
「心理的安全」が流行れば、それにとびつき、「ジョブクラフティング」が流行れば、そこにとびつく。現場で起こっていることとは、たとえ乖離していても、流行を追い求める。
  
2.現場を語れない症候群
 概念の定義と、それを測定する尺度に関しては、めちゃくちゃ詳しいが、それが現場の「何を指し示しているか」を一切説明できない。「その概念って、誰が、どんなとき、何をしてることや、どういう状態のことを、指し示しているの?」と聞いても、答えは返ってこない。
(たとえば、ジョブクラフティングの定義や尺度に関しては、めちゃくちゃ詳しいのだけれども、しかしながら、ジョブクラフティングって、現場の誰が、いつ、どのような行動をしていることなのか、と聞いても、答えは返ってこないような状態。ちなみに、ジョブクラフティングは、多くのひとびとが知っている概念なので、一例として出しただけです。あくまで例です。あしからず!)  
  
3.概念あてはめ症候群
 どんな現象にも概念をあてはめて理解した気になる。もともと、その概念が、その現象をすくい取るものでなかったとしても、とりあえず、あてはめて、無理矢理語る。
 最近でいえば、どんな議論をしていても「結局、心理的安全性ですよね」といっちゃう「心理的安全おじさん」がそれに近い。
(ここでおじさんとは、概念によいしれ、思考停止しているひとの心理的状態を「総称」して申し上げています。特定のジェンダーを指し占めません。あしからず)
(もちろん、心理的安全性も一例です。みんなが知っている例なので、出しただけです。ダブルあしからず)
    
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 これが
  
 概念と「心中」して、現場を裏切る。
   
 あるいは
  
 概念に「熱愛」して、現場を語れない
      
 ということなのかな、と思います。「熱愛」というよりも「偏愛」に近いかもしれません。
    
 概念に「偏愛」して「現場」を裏切る
    
自戒を込めて、申し上げますが、こうした概念の肥大化には陥らないようにしたいものですね。
    
 ▼
 
 今日は「概念」のお話をしました。
    
 概念はパワフルです。
 しかし、そこには落とし穴もあります。
   
 田中先生がおっしゃるように、適切な距離感をもって、概念や現場とつきあいたいものです。
 自戒をこめて
     
 そして人生はつづく
       
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