2021.10.8 08:07/ Jun
「真実はひとつ!」
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せんだって、山﨑正枝さん(法政大学兼任教員・社労士でもあられ、質的研究法・人材開発・組織開発にも造詣が深い)にゼミにお越しいただき、質的研究方法論の勉強会を行わせていただきました。
山﨑さんとわたしが出会ったのは、もう14年前。金井壽宏先生(元・神戸大学、現・立命館大学)の社会人コース(慶應MCC)でわたしが講義を行い、それを聞いてくださったのが、きっかけです。
山﨑さんは、その後に、慶應MCCで私が立ち上げたコース「ラーニングイノベーション論」の1期生として参加いただきました(感謝です)。
その後、山﨑さんは大学院に通われ、「走らないトヨタ」などの良質のエスノグラフィーを執筆なさいました(こうしてみると、山﨑さんは、学びつづけ、疾走なさっていますね!素晴らしいことです!)
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昨日の講義では、山﨑さんに質的研究法のセッションをいただきました(感謝です)。
ただでさえ難易度が高く、目を離すと「居眠り学生が1分間に1名出てしまうような研究方法論の授業(ふつーの授業はそうななるでしょう)」を、山﨑さんは工夫して講義なさいます。
学生でも読みやすい易しい論文を、あらかじめ学生に割り当て購読させ、さらに解説を深めておられました。この様子は、とても印象的でした。
内容・授業の形式含め、私自身が勉強になったと思っています。ありがとうございました。
ところで、山﨑さんが授業中使っていたメタファで「秀逸だな!」と思ったのが冒頭の「真実はひとつ」です。
山﨑さんは、「実証主義的な問い(多くは定量研究・量的研究)」と「解釈主義的な問い(多くは定性研究・質的研究)」の違いを学生にわからせるために、このメタファを使っておられました。
曰く、
漫画「名探偵コナン」では、コナン君に名台詞があります。それが「真実はひとつ!」です。山﨑さんがおっしゃるには、これが「実証主義的な問い」の立て方です。
実証主義とは喩えてみれば「犯人捜し」に似ています。
たとえば、今、仮に「殺人事件が起こった」場合、「犯人の目ぼし」をつけて(仮説)、その真偽を判定していきます。ときには「原因ー結果」の「原因」を探していきます。これが実証主義の考え方です。
一方、「解釈主義的な問い」とは「犯人捜し」をしません。そうではなく、「同じ殺人現場」であったとしても、やることが異なる。
この「殺人」というひとつの現象を、そこに集まったひとびとが、いかに体験し、意識していたのかを明らかにしてきます。
殺された遺族はどう感じたのか?
犯行現場に居合わせたひとはどう感じたのか?
そして
犯人は何を感じていたのか?
解釈主義的な問いとは、このように「ひとびとの意識や経験の意味」を問うていくことになる、とのことです!
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素晴らしい!
この解説を聞いて、わたしは、山﨑さんに依頼させていただいてよかったな、と感じました。
もちろん、学生たちは、このあとに、細かいことを学んでいくことは必要です。実証主義といっても、解釈主義といっても、その後に必要になる知識はたくさんある。
でも、まったく「研究方法論の”け”の字」も知らない学生に、実証主義と解釈主義の違い、定量研究と定性研究の違い、その背後にある世界観を説明する方法としては、最適だと思いました。この部分、何の工夫もせずに普通に講義をしてしまえば、間違いなく「ランチ後のような激しい眠気に襲われて、バッタバッタと学生は倒れていくこと」が予想されます。素晴らしい!
学部生教育は「学問の入口」に学生を立たせることが重要ですので。
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山﨑さんのセッションは、あと1回ございます。
学生同士で連絡をとり、しっかりとした準備をおこなってもらえると、素晴らしい学びがそこに生まれるでしょう。
わたしは、学生に「知的生産を行うための方法・経験=武器」を持って社会に旅立っていって欲しい、と思います。外の世界には、様々な冒険が待ち受けています。
武器を持たずして、街の外にでてしまえば、スライムにすら負けてしまいます。
いつも口酸っぱく学生に繰り返し言っている、
武器をもって社会に出よ!
とはそういう意味です。
ま、こんな教員の思いは、きっと伝わっていないでしょうけど。
「先生、またはじまった、うけるー」
「先生、あつくるしいー」
山﨑さんの授業、ぜひ、次回も楽しみにしております!
そして人生はつづく
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全国の教育現場で、未来の教育・学校づくりに邁進なさっているみなさまへ! 10/23(土)14:00-17:00「リーダー育英塾カンファレンス」「コロナ禍の中で求められるリーダーシップ」(Zoom)を開催させていただきます(公益財団法人・電通育英会主催 )。コロナ禍に負けず、奮闘する教育現場の様子をご覧ください。事前動画ビデオも配信されます。
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中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
仲間から実際に認められた行動のデータから、自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加されました。職場における相互称賛を、自分の強みの発見と目標設定に役立てられます。
自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
ピアトラストお問い合わせ
https://www.peer-trust.com/contact/
ピアトラストの効果まとめページ
https://www.peer-trust.com/research/2020/
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【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約34000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun
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