2021.9.16 07:52/ Jun
学部や大学院の授業では、授業終了後に、「ふりかえり」や「感想」などを求めることが多くなっています。
学んで何を感じたのか。自分にとって、どういう意味があったのか。場合によっては、どのようなことを疑問に思うのかを、自分の言葉で書くのが、この手の「振り返り」です。
振り返りでは、様々な学生が、思い思いのことを書いています。教師は、あとで、その振り返りに目を通します。
終了後のアンケートを拝見していると、彼 / 彼女らの感想・振り返りの「質(クオリティ)」や「解像度」に、ものすごく「差」があるな、と感じます。
この方は、ちゃんと物事を聞いていたのか。
はたまた、聞いていることを右から左に書き写しているだけではないか。
そして、自分の頭で考えているのか。
自分の言葉で表現しているのか。
そうしたことは、一教師の目線で見れば、一目瞭然です。振り返りには、如実に、そうした学生のみなさんの「差」があらわれます。
もっとも残念に思われるのは、
「刺激になりました症候群」
です(笑)。
この症候群の亜種には
「ためになりました病」
「気づきを得ました症候群」
「学びになりました病」
というのもあります(泣)。
この手の病に罹患している学生の振り返りは、極端に書けば、
「いやー、先生の話は、刺激になりました」
「先生の話は、ためになりました」
「先生の話で、気づきを得ました」
「今日は、学びになりました」
です。
以上。
終わり。
それ以上は何もなし。
こちらとしては、そこから、一歩も二歩も踏み込んで、
1.講師の提供した「何の情報(What1)」から
2.あなた自身は「何(What2)」を考えて
3.それが自分自身にとっては「何の意味があったのか(What3)」
4.これから「何」を考え、何をしていきたいのか(What4)」
という「4つのWhat」を、できるだけ解像度を高めて伺いたいのです。
しかし、これらの病にかかってしまっている学生は、このすべての「What」がダダ漏れ・間抜作(あいだ・ぬけさく)」になっています。一歩深く踏み込んで考えることを放棄し、「思考停止」の状態に陥っています。
(わかるかなぁ・・・これがわかるのは40歳代だろうなぁ・・・懐かしい)
ちなみに、この病に罹患するのは、大人の方々も同じです。講演などの感想を拝読させていただくと、「ためになりました」「刺激を得ました」がいかに多いか・・・。
ま、みなさん、お忙しい中でお越しになられているので、学生のような負荷をおかけすることもできないのですれども。
いずれにしても、講演、研修、セミナー、ワークショップの際には、「自分の頭で考えること」を放棄することはしたくないものですね。
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今日は、人材開発・教育の現場で猛威をふるっている「刺激になりました症候群」について書かせていただきました。
あなたの周囲では「刺激になりました症候群」や「ためになりました病」が感染拡大していませんか?
そして人生はつづく
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