NAKAHARA-LAB.net

2007.10.9 07:19/ Jun

開発の「プロフェッショナル」とは・・・

 週末の3連休、いつか見ようと思っていたNHK番組「プロフェッショナル」をビデオで連続視聴した。ウィスキー飲みながら・・・幸せ。
 連続で様々な「プロフェッショナル」の仕事っぷりを見たけれど、やはり自分としてもっとも興味関心があったし、面白く感じたのは、「商品企画」「開発」のプロフェッショナルたちの回。
「生茶」「聞茶」の開発者 佐藤章氏
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/060420/index.html
「ムシキング」の開発者 植村比呂志氏
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/060622/index.html
「たまごっち」の開発者 植村昭裕氏
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/061026/index.html
 ゼロから、どのようにモノを生み出し、社会に提案していくか。
 僕が日々やっている仕事は、「生茶」でも「ムシキング」でも「たまごっち」でもないけれど、「何か新しいもの(something new)を生み出す」という1点においては、似たところがあるように感じた。
 特に印象深かったのは、そのうちの何人かが同じことを言っていた点。
 確信犯の1人の開発者がすべてを決めた方がいい
 開発に、民主主義はいらない
 開発に、合議制はいらない
 横であんまり考えてないやつの意見なんてきかない
 折衷案はない
 これは何となくわかる気がする。
 人の意見を聞くたびに、トゲやカドがとれて「万人受け」するようなものになるのだけれど、企画としては、どんどんオモシロクなくなっていく。
 人の意見を反映すれば、みんなで責任を等分する仕組みになるので、皮肉なことに、最後には「誰も責任を取りえない、ペンペン草も生えないようなシロモノ」ができあがる・・・。こうした事態は、開発の現場では、頻繁に起こる出来事であるような気がする。
 もちろん、だからといって、「専制君主」を気取っていいわけではない。開発とは多くの場合、チームでの共同作業である。チームメンバーと密なコミュニケーションをとり、思いを共有し、ひとつのモノをつくりあげる必要がある。
 このあたりのバランスは、本当に難しい。
 そして、このバランスをとることができる人のことを、僕は、開発の「プロフェッショナル」、と呼ぶ。

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