2021.3.4 07:40/ Jun
人材開発や組織開発を志す人々にとって、大切な資質・能力とは何か?
・
・
・
この問いに対しては、様々な答えがありうるのだと思います。
先だって、グローバルに展開する企業で組織開発の仕事に従事なさっている方に聞き取り調査をさせていただいた際、この話題で盛り上がりました(心より感謝です!)。
その方、曰く
「まず、言葉に関する敏感さ、というものが必要だと思います。私たちの仕事では、同じことを言うにしても、言い方ひとつで、相手の気持ちや反応が変わってしまうことがある」
これは、わたしもまったく同感です。
人材開発・組織開発を志すのであれば、その仕事には「言語に関する感受性」が求められます。逆に、まことに申し上げにくいのですが、「言語に関する感受性が低い方」は、この仕事には向いていない、ということになります。
といいますのは・・・端的に言ってしまえば、
人材開発とは「他人に変われ」という営みです
組織開発とは「他人と他人との関係を変える」営みです
「他人に対して、変化を迫る営み」は、ときに、他人の気持ちを「逆撫ですること」があります。なぜなら、人々にとって「変化」とは、そもそも「億劫」なものですし、変わった先に何があるか、見通しがきかないので、不安・疑心暗鬼といった「負の感情」に襲われやすいのです。
そして、こうした「負の感情」を「逆撫で」しかねないのが、ファシリテータの使う言葉です。
人材開発・組織開発の現場では、ファシリテータの言葉かけひとつで、参加者の「心のシャッター」がガラガラと下りてしまうことが、ままあるのです。
▼
たとえば、長時間労働を是正プロジェクトで、ファシリテータの方に、こんな風に言われたら、あなたはどう感じるでしょう。
「長時間労働の是正のためには、皆さんの仕事のなかで【不要な業務】をカットする必要がありますね。中原さんの仕事のなかで【不要な業務】はありますか?」
・
・
・
「おいおい、おれの仕事のなかに【不要な業務】があるって言ってくれちゃってるけど、いい度胸してんな、コルァ(怒)」
と思ってしまうのではないでしょうか?
・
・
・
たとえば、企業合併後のはじめてのキックオフ(顔合わせ)で、ファシリテータから、こんな風に言われたら、あなたはどう感じるでしょうか?
「今日は、2つの企業の顔合わせになります。中原さんは、どちらの企業のご出身ですか? 【買収された方】でしたら、こちらにお座りください」
・
・
・
もちろん、ここまで極端な事例はないかもしれません。敢えてわかりやすく極端に書いています。
申し上げたいことは、
たかが言葉
されど言葉
なのです。
言葉ひとつで、気持ちが高ぶることもあります。
言葉ひとつで、スムーズに学び、変わることもできます。
人材開発・組織開発においては、言葉に対する感受性、すなわち「言語感受性」を高めておくことが非常に重要な気がします。人材開発・組織開発の仕事にまったく「向いていないひと」は「言葉に関する感受性貧しいひと」です。
あなたは、あなたの言葉で、学習者を「ドン引き」させていませんか?
あなたは、参加者のモティベーションを「鬼下げ」する「シャッターガラガラワード」を用いていませんか?
そして人生はつづく
ーーー
【新刊予約発売中】
新刊「学校がとまった日」の特設サイト完成!&予約販売開始中! 緊急事態宣言・全国一斉休校で「学びを継続できた子どもの特徴」は?学びをとめないために学校にできることは?:書籍の内容が概観できます!どうぞご覧くださいませ!
新刊「学校がとまった日」の特設サイト
http://toyokan-publishing.jp/stop/index.html
新刊「学校がとまった日」予約販売開始中(AMAZON)
ーーー
【好評発売中】1on1の失敗・成功ケースをまとめ、映像教材を中原とPHP研究所さんとで開発しました。失敗しない1on1について、具体的なイメージをもって学ぶことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
ーーー
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます!
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q
ーーー
ラーニングエージェンシーさんと中原研究室の共同研究により開発した「女性の視点で見直す人材育成:トランジションサポートプログラム」のご提供がはじまっています。ライフステージに応じて、役割移行を支援する、きめ細かい研修となっています。共同研究の成果は書籍「女性の視点で見直す人材育成」としても刊行されています。
女性の視点で見直す研修 トランジション サポート プログラム
https://www.learningagency.co.jp/service/transition/
ーーー
。AMAZONの各カテゴリーで1位記録!(会社経営、マネジメント・人材管理・労働問題)。
長時間労働はなぜ起こるのか? 長時間労働をいかに抑制すればいいのか? 大規模調査から、長時間労働の実態や抑制策を明らかにします。大学・大学院の講義調で語りかけられるように書いてありますので、わかりやすいと思います。どうぞご笑覧くださいませ!
また残業学プロジェクトのスピンアウトツールである「OD-ATRAS」についても、ご紹介しています。職場の見える化をすすめ、現場マネジャーが職場で対話を生み出すためのTipsやツールが満載です。ご笑覧ください。
対話とフィードバックを促進するサーベイを用いたソリューション「OD-ATLAS」の詳細はこちら
https://rc.persol-group.co.jp/learning/od-atlas/
ーーー
「研修開発ラボ」(ダイヤモンド社)が、フルオンライン化して大幅リニューアルしました。人材開発の「基礎の原理」を学ぶことのできるトレーニングプログラムです。どうぞお越しくださいませ!
研修開発ラボ 特別講座「人材育成の原理・原則を学ぶ」
https://jinzai.diamond.ne.jp/seminar/SEMINAR0495/
ーーー
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。利用人数20名までは「無料」だそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
ーーー
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約31000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun
最新の記事
2024.11.22 08:33/ Jun
2024.11.9 09:03/ Jun
なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?
2024.10.31 08:30/ Jun
2024.10.23 18:07/ Jun
【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)