2020.9.3 08:02/ Jun
仮想敵を見つけて、企画を研ぎ澄ます!
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僕が、かつての指導教員から学んだことで、それから25年たった今、今度は先生として、現在の学部生たちに口伝!?している研究法(思考法)のひとつに、
「仮想敵を見つけよ!」
があります。
ここで「仮想敵」とは「本当の敵」ではありません。本当の武器をもって、物理的にアタックをしかける敵ではない。
そうではなく、「仮想敵」とは、自分の研究、自分の企画の「ちょうど真反対」にある考え方であり、これまで疑いなく自明視されきた「ものの考え方」
のことをいいます。
別の言葉でいえば、
「仮想敵」とは「先行研究」のなかで、これまでドミナントだったものの考え方、やり方であり、自分が違和感を感じるもの
のことです。
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かつて、わたしの指導教員は、
研究とは「怒り」だ!
といいました。
これを敷衍すれば、
おのれの研究とは「仮想敵に対する怒り」からはじまる、といってもいいのかもしれません。
先行するドミナントで、トラディショナルなやり方に「ちゃぶ台」を返し、パッションをもって、自分なりのオリジナリティを示すことが、「仮想敵に対する怒り」でしょう。
怒りを感じるためには、先行研究・先行実践をくまなく読み込むことです。
知識がなければ、正しく怒れない
のですから。
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「仮想敵」が明らかになれば、それに応じて、自分の企画や研究を「研ぎ澄ますこと」ができます。さらにエッジをきって、オリジナリティを主張できるのです。
きっと、指導教員の先生が伝え立ったことの本質は、そういう「思考実験」をとおして、
自分の研究を研ぎ澄ませ!
自分の研究のエッジをたてろ!
ということだったのかな、と思います。
決して、怒れ、叩き潰せ、という意味ではない(笑)。
そんな「物騒な」!
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考えてみれば、わたしがかかわる、近年の研究にも、たしかに「仮想敵」の皆さんはいらっしゃいます(笑)。ありがとうございます。
パーソル総研さんとの共同研究、著書「残業学」ならば、「仮想敵」は、
残業とは「個人の努力(個人の仕事術)」で解決できる
という考え方になります。
これに対して、わたしたちは、
長時間労働是正とは個人の努力では改善しない
長時間労働是正は「組織ぐるみ」の解決しかない
と論陣を張りました。
この場合、
個人の努力、個人の仕事術で、長時間労働を改善できる、と考える「既存の考え方」
がわたしにとっての、論理上の攻撃対象です。
そして、それを念頭におきながら、分析をつづけ、知見を生み出す。
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中村和彦先生との著書「組織開発の探究」ならば、仮想敵は
人材開発と組織開発は「別物」である
とする考え方です。
p400ページに至る本のなかで、結局、述べていることは、
人材開発と組織開発は「同じルーツ」をもつ
よき人材開発には、よき組織開発がともなう
ということです。要するに、仮想敵に対する反撃をp400のなかで行っていることになります。
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近年進めている、斉藤光弘さん、東南裕美さん、柴井伶太君、佐藤聖君らとの共同研究「企業合併の科学」(井上佐保子さん構成、ダイヤモンド社小川さん編集)では、
仮想敵は
企業合併を「財務・法務・戦略の問題」から語ること
です。
それに対して、僕たちは
企業合併を「ひとと組織」の観点から語ります。
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くどいようですが、仮想敵は「敵」ではありません。
そうではなく、自分の研究や自分の企画のエッジを立てまくるために、思考実験に使うためのリソースです。
考えてみれば、僕は、24時間365日、頭のなかで、
「これまでは、ほにゃららしてきた。
しかし、僕は、絶対に、そうしない
僕なら、ほげほげする」
というセンテンスのうち「ほにゃらら」と「ほげほげ」を考えているような気がします。たぶん、これが「仮想敵シンキング」なのでしょうね。
骨の髄まで、染みついてるわ。
この思考(笑)
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今日は、自分の研究、自分の企画のエッジを研ぎ澄ます方法として「仮想敵シンキング」について述べました。
あなたの企画の「仮想敵」は何ですか?
あなたは何に怒りや違和感を感じていますか?
そして・・・
あなたは、新たに何を成し遂げたいですか?
そして人生はつづく
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