2020.6.26 07:52/ Jun
「先生、この時間割は、さすがに無理ゲーだと思いませんか?」
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新型コロナウィルスの感染拡大はとどまるところを知りませんが、地域によっては、大学の経営的判断により、「オンラインで行ってきた授業」を「対面授業」に戻したところも、チラホラ出てきているようです。
大学は組織。それぞれが独自の経営判断を行うことに、わたしは何の異存もありません。それは組織でお決めになって、好きになさればいい。
(ちなみに、わたしが勤務する立教大学は、春学期はフルオンラインが決定しています)
一方、「オンラインで行ってきた授業」を「対面」に戻した大学で学ぶ大学生のなかには、かなり大きな「学習困難な問題」を抱えている方もおられるようです。折りにふれ、そういう声を耳するのですが、それがまことに切ない。
せんだって、出会った方は、下記のような趣旨のことをおっしゃっていました。
(大学名や、それとわかる内容は削除します)
「わたしの大学では、オンラインと対面が復活しています。オンラインにするか、対面にするかは、個々の先生の判断とされていて、学生が見るサイトに、ある日突然書かれます。
でも、個々の先生によって勝手に決められているだけなので、例えば、月曜日が1限から4限まで3つはオンラインなのに、1つは対面だったりするのです。
対面授業を受けるために、1時間の通学がかかるキャンパスには行けません。行って帰って2時間です。そうすると、実質は2コマ分は潰さなければなりません。
何とか、学生が学びやすい時間割にならないのでしょうか。たとえば、オンラインと通学を混在させるのなら、通学の日、オンライン日と日を分ければいいのではないでしょうか。先生、この時間割は、さすがに無理ゲーだと思いませんか?」
他の学生は、こんなことをおっしゃっていた方もおられました。
「通常授業はやっぱりいいです。僕はオンラインよりも通常の授業の方が好き。でも、対面よりも、まだオンライン授業の方が多いんです。ですので、大学にいった日には、大学からオンラインにアクセスしなければなりません。
でも、学内のwifiが遅くて、ぜんぜんつながらないんです。大勢の学生が、いっせいに学内のwifiからつないでいるからだと思います」
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嗚呼、どの事例も「大学あるある」だわ・・・・。20年近く大学につとめている僕が言うんだから、間違いない(泣)
「個々の教員に任せる」という名の調整放棄と、それを行ったときに学生に何が起こるかというシミュレーション放棄。
それによって、結局、被害を被り、学ぶ権利を阻害されているのは「学生」である、という何ともトホホな状況です。
このトホホ状態・・・どれだけ生まれているのかな、とザクっと検索したところ・・・いやー、出るわ、出るわ。全国の津々浦々の大学で、起こっている問題であることがわかります。なかには「こんな大学に入らなければよかった」と述べている罵詈雑言も多々。
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この問題・・・まだフルオンラインで授業を配信している大学では、いまだ問題が表面化していません。
しかし、たとえば感染拡大が一時的に落ち着き、また、春学期に本来開講できなかった演習授業、実験授業などを「対面形式」で秋学期に開講する、ということになれば、ただちに多くの大学で問題になることかと思います。
もちろん、「強制オンライン移行、そして部分的対面式授業の解除」の進んでいる春学期よりは、事態は改善するかもしれませんが(学生も移動時間をシミュレーションして授業をとるから)、ほおっておけば、かなりの問題を生み出しかねない気もします。
どうすればいいのか、と思案してみるものの、
1)すべて「対面」にする(一番問題が起こらない・・・ただ、現実にはかなり厳しい・・・)
2)すべて「オンライン」にする(一番問題が起こらない・・・かなり覚悟がいる・・・)
3)曜日を分ける(授業形式によって開講日を調整する)
4)開講時間を調整する
(オンラインをどこかに寄せる・・・ただ、先生方の予定は、
非常勤先もあるので、この場合、年単位で決まってます。
そうするとかなりの困難が予想される)
5)授業の開講形式をかなり丁寧に慎重に学生に周知させる
6)学生も対面がある場合、移動時間を考えたうえで時間割を組む
くらいしか、案が浮かびません。とりわけ、必修が「対面」「リアルタイムオンライン」「対面」と続くときには、調整が必要になってきます。
細かいことをいえば、2)のオンラインは、リアルタイムではなく、すべて「オンデマンド」にする、というアイデアもあります。その場合は、対面と併用が楽になります。
ただ、少人数講義やゼミなどの場合には、そうはいきません。わたしの勤務先のように、プロジェクト学習(少人数の授業)が多い学部では、それにも限界があります。
いずれにしても、ここはうまくこの問題を解決している事例を見つけたり、試行錯誤を積み重ねて、なんとか秋学期以降の難局を乗り越えたいものです。
活動を「復旧」させながら、感染拡大を防ぐ。
本当に本当に難しい。
第一波のときよりも、「このあと」の局面の方が、難易度は相当高いと思います。
でも「学べない大学」「授業がとれない大学」というのは、大学の存在意義にもかかわりますね。そんな大学、誰も行きたくない。
そして人生はつづく
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