2020.3.2 07:46/ Jun
コロナウィルス禍は、「100年に1度の災い」と形容されはじめているようです。今日から、小中学校の一斉休業がはじまりますが、まだまだ油断ができない状況がしばらく続きそうです。
しかし、世の中には、こうした「災い」を「逆手」にとって、新たな物事を仕掛けていこう、新たなことに挑戦しようとする方々が、いらっしゃいます。
わたしとしては、そうした方々にシンパシーを感じますし、また自らもまた、そのようにありたいと思っています。
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100年に1度の災いのなかで、急速に発展をみせている領域のひとつに
オンライン教育
オンラインカンファレンス
オンライン研修
などの領域があります。幸か不幸かわかりませんが、これらは、コロナウィルス禍で急速に発達しつつある領域のように思います。
政府の発表によりますと、今回のウィルスは、
「ひとが手を伸ばす範囲で、密閉された、空気がよどんだ空間」
が感染のリスクが高い空間のようですが、それってモロ「教室」「研修室」「講堂」ぢゃないですか(号泣)。
ですので、オンライン教育、オンライン研修、オンラインカンファレンス、といった領域が、発展することになります。
ざっとFacebookやTwitterを眺めているだけでも、「多くの学びの機会」が、現在は「緊急避難」的に、「オフライン」から「オンライン」に移行しつつあります。
オンライン会議システムの最大手「ZOOM」も、教育機関にかぎり、自社のサービスを無料で公開しています。
グロービス経営大学院、3月2日以降のクラス開講をオンラインで実施
https://www.globis.co.jp/news/release/20200228_mba.html
日本教育工学会のZoomによるオンライン大会は壁を突破した(早稲田大学・向後千春先生のNote)
https://note.com/kogolab/n/n01fdaee5de43
情報処理学会 創立60周年記念 第82回全国大会オンライン開催ポータル
https://sites.google.com/view/ipsj82taikai
遠隔授業向け クラウドビデオ会議サービス「Zoom」 学校への提供
https://www.learning-innovation.go.jp/covid_19/zoom/
おそらく、いったんはじまった、この流れは、きっと、さらにさらに進行していくものと思われます。そして、ものすごい勢いで、立ち上がった人々のなかに、「ノウハウ」が蓄積していく。
僕も去年、及ばずながら、ダイヤモンド社の藤田さんや永田さん、与贈工房のみなさま、代表の田原真人さんらと、下記のオンライン読書会を主催したことがあります。この読書会を通じて、僕は、多くの経験を詰むことができました。だからこそ、その感覚がよくわかります。
学びをあきらめる時代は終わった!? : 400人規模のオンライン読書会という「知的暴挙」の夜!?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/10228
つまり今後は、「オンラインでの学習」を国レベルで「経験学習」していくのです。経験をつめばつむほど、オンラインのもつ不都合は、解消されていきます。
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そして、だとすれば・・・「ポストコロナ(コロナウィルス収束後)のシナリオ」は、こうなるはずです。以下は、わたしの「妄想」です。みなさんも、ぜひ、妄想トゥゲザーしてみてください。
今後は・・・万が一、コロナウィルス禍が収束に向かったとしても・・・
1.いったん「オンラインでも実施できることが確認された研修」の一部は、ウィルス禍が終わっても、すべて「オフラインには戻らない」可能性が高まる
2.オフラインで「フェイス・トゥ・フェイスでの研修」を実施するのなら、さらに「高度な付加価値」や「必要なロジック」が求められるようになる
3.今は「万能感」をもって迎えられている「オンラインでの学習」にも、いつか「バックラッシュ」がくる。「オンラインで学ぶこと」にも、単なる「オフラインの代替手段」以上の、さらなる「付加価値」が求められるようになる
4.オンラインでも学びを提供できることが、今後の研修・ワークショップ(研修講師・ファシリテータ)には求められることが増えてくる
5.結局、オンラインとオフラインをブレンドさせた、より高度な学びの機会づくりが求められるようになる
楽天的かと思われるかもしれませんが、おそらく、今後は、こうなるのではないか、と妄想しました。
幸か不幸か「パンドラの箱」は開いてしまいました。パッカリと(笑)。
そして、いったん、開いてしまった「パンドラの箱」は決して、閉めることはできない。決して「元通り」にはならないような気がするのです。
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今日は、コロナウィルスがきっかけではじまった「オンライン学習」の「パンドラの箱」のお話をさせていただきました。
急速に、今後、おそらく、EdTechのノウハウ、経験値は、急速に蓄積されていくものと思います。もちろん「実践するひとびと」の中にだけ。もちろん、どうするかは自由です。すべては、「個人の選択」です。
あなたは、今後の人材開発のあり方が、どのように変化していくと思いますか?
あなたは、ポストコロナ時代の人材開発を、どのように「妄想」しますか?
そして人生はつづく
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