2019.12.20 09:31/ Jun
「先生、1on1って、部下が自分の話したいことを話すのが目的なんだろう? 上司は、目をつぶって、へーほーはーふーんって、部下の話をきいて、雑談してりゃいいんだよね?」
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組織のなかで、物事を伝えていくのは、本当に大変なことだと、つくづく思います。
冒頭の言葉は、先日、あるところで、最近、1on1(上司部下の日常的な振り返りのミーティング:ワンオーワン)を導入した会社の方からうかがった話です。
どうやら、この会社では、1on1を導入するときに、研修講師をなさる方が、「部下が自分の話したいことを話すことが大切です」とおっしゃったらしいのです。まー、間違ってはいない。
その部分に「ぴーん」と反応なさった、あるマネジャーの方が、先日、上記のようなことをおっしゃっていました。
あわれ・・・1on1は、
「上司が、目をつぶって、へーほーはーふーんって部下の話を聴いてりゃいい、雑談の時間」
に成り果てたようです。
まー、あながち間違ってもいないけど・・・。
なんか、、、ちょっと、違う感じになりそうな・・・。
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最近、各社ではじまっている1on1の導入のプロセスの話を伺っていて、よく思うことがあります。
各社における1on1の導入の際のロジックを横串をさして、子細に検討してみると、その目的は下記の2つのどちらか、ないしは、2つ両方で説明されていることが多いことに気づかされます。
1.1on1とは「上司と部下の関係性」を改善するためのものであり、上司部下のコミュニケーションを良好にするもの
2.1on1とは「部下の成長を支援するため」のものであり、部下の経験学習を促進するためのもの
特に、両方とも間違っていないとは思うのですが、その際、前者の「上司ー部下の関係性」のロジックを強調して1on1を導入した際に、よく引用されるものが「部下が自分の話したいことを話すのが目的」という言葉です。
問題は、この言葉が「一人歩き」したときです。
そこをぐーんと引き延ばして、うがった見方で、拡大解釈すると、冒頭の言葉になるようです。
「先生、1on1って、部下が自分の話したいことを話すのが目的なんだろう? 上司は、目をつぶって、へーほーはーふーんって、部下の話をきいて、雑談してりゃいいんだよね?」
ま・・・それでもいいのですが、個人的には、僕は2の「部下の成長を支援するためのもの」というロジックに共感しますので、いささか残念な気もします。やはり、1on1の普及の際には、2の経験学習の意義をしっかりと伝えていく必要があるのではないでしょうか?
そうしないと・・・
1on1、本当に本当の単なる雑談になっちゃいませんかね?
皆さんはどうお考えですか?
加えて「部下が自分の話したいことを話す」というロジックは、さらにさらにビローン、ビローンと、拡大解釈もされるようです。
1on1は部下が話したいことを話す
のだから、しかるに・・・(本当はロジック飛んでますけど・・・)
1on1は部下に話したいことがない場合は、何も話さなくてもよい=やらなくてよい
になるのです。
要するに、こういうことでしょうか?
上司「なんか、話したいこと、ある?」
部下「いえ、特にありません」
上司「あっ、そう。なんかあったら、いってね。次の1on1は来週ね」
あはれ。
くどいようですが、組織のなかで、何かを普及させ、実装していくのは、まことに難しいものですね。
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今日は1on1について書きました。誤解を避けるために申し上げますが、僕は、日常的な振り返りや経験学習は「大切だ」と考えている人間なので、1on1を支持します。
しかし、組織のなかで、1on1を、まったく、その価値を理解していないひとに普及させるときには、非常に困難が襲うようですね。
あなたの1on1は、上司が、目をつぶって、へーほーはーふーんって雑談する時間になっていませんか?
あなたの会社の1on1は、うまく普及していますか?
そして人生はつづく
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追伸.
立教大学は来週から冬期休暇(クリスマス)に入ります。年明けは1月7日から活動開始いたします。このブログも、来週から7日までお休みに入りますので、ご寛恕くださいませ!
また、まことに勝手ながら、本年より、中原は年賀状での新年のご挨拶を控えさせていただくことにいたしました。何卒ご了承くださいますよう宜しくお願い致します。皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈りしております。本年もありがとうございました。よいお年を!
中原 淳
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追伸2.
昨日は中原ゼミ3期生(新入生)の皆さんを歓迎した食事会でした。中原ゼミは、新たに3期生を迎え、あれよあれよ、という間に総勢60余名(写真は一部)。
自らの学びは、自らデザインせよ!
自らの未来は、自ら決めよ!
ゼミのメンバーでじっくりと話し合い、「学び多きゼミ」を自らつくりあげていって欲しい、と指導教員は願っております。
また中原ゼミ1期生は、ミニ卒〆切、執筆予定者が全員提出することができました。お疲れ様でした。よき年越しを!
そして人生はつづく!
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「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
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