2019.12.19 07:07/ Jun
「残念なラーニングイベント」は、コンセプトがなく、動線が読めておらず、お土産がありません。
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この「地獄の三重苦」ようなダメダメっぷりを発揮するイベントも、昨今は、なかなか見当たらないのですが、今日は、そんなことを自戒をこめて、書いてみましょう。
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まず、残念なラーニングイベントにはコンセプトがない。
これは、文字通りです。
別の言葉でいえば、「何のために集まる会」なのか、そのユニークな目的がない。だから、焦点が定まらない。羅列になる。ただコンテンツを詰め込んで、タイムスケジュールを埋めただけ。主催者からのメッセージがない。
そして、「何のために集まる会」がきっちり決まっていないということは、「誰を集めてよいか」も決まらないことになります。だから・・・当然の帰結ですが、集客ができません。
コンセプトがないイベントには、人が集まりません。
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ふたつめ。
残念なラーニングイベントは、動線が読めていません。
動線というのは「参加者が、何を考え、どのように動くか、ということを前もって予想すること」です。これに対する「想像力」が働かないので、とんでもないタイムスケジュールをつくりあげたりします。
当然のことながら・・・参加者は、主催者が考えているようには「動き」ません。よって、非常にローレベルの話をしますが、たとえば、受付が混んだり、トイレに列ができたり、問いに対してグループワークの時間が極端に少なくなったりします。
経験上、「当日のタイムスケジュール」を見せてもらえば、そのイベントの主催者が、どの程度のレベルで、参加者の動線を読めているのか、がすぐにわかります。
学習者の「顔」が思い浮かんでいるかどうか?
学習者の「行動」が見えているかどうか?
主催者の頭に浮かんでいることが、たちどころにわかります。また、そのイベントの成功、非成功が、かなりの確率で予測できます。
要するに、「相手本位」「学習者中心」の立場にたって、物事を考える癖がどの程度あるかどうかがわかるのです。
たかがタイスケ、されどタイスケですね。
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最後に・・・残念なラーニングイベントには、お土産がありません。
皆、非常に業務が立て込んでいるなか、時間という資源を賭けて、場合によっては身銭をきって、イベントに参加します。だからといってはなんですが、何らか、持ち帰られる気づき、持ち帰ることのできるプラン・・・そういったものが必要です。
要するに、
大人の学びには「お土産」が必要なのです
しかし、残念なラーニングイベントには、お土産がありません。
なぜかと申しますと、何を考えてもらいたいのか、何に気づいて欲しいのかが、不明瞭だからです。
僕はよく学生に質問することがあります。
要するに・・・参加者に何を考えて欲しいの?
要するに・・・参加者に何をどう変えて欲しいの?
学生のなかには、この問いに饒舌に答えられる方もいます。
しかし、わりと多いのは、問いに対しては饒舌に答えられるものの、参加者の立場からすると「お土産になっていない」というものです。
それはさ・・・君が渡したい「お土産」だよね。
相手は、そんな「お土産」欲しくないんじゃないの?
それは、本当に相手にとって「お土産」になっているの?
やたらと、かさばって、重いものを渡しても、みんな電車で帰るんだから、邪魔くさいだけなんだよ(笑)
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今日は「残念なラーニングイベントの作り方」について書きました。
コンセプトなし、動線なし、お土産なしのラーニングイベントをつくれば、もれなく参加者は、ドン引きして、つまんねーを連発して、金返せといって、帰路についてくれること請け合いです。逆にいうと、この3つのポイントについて注意を払うと、よりよい学びの場ができるかもしれません。
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せんだって、『最高の集い方』(プレジデント社)という本の書評を、このブログで書かせていただいたら、同社・編集部の中嶋愛さんの取材をお引き受けすることになり(ありがとうございます!)、それが下記の記事になりました。ぜひ、ご覧くださいませ。
イベントを蝕む「常連さん」と「水戸黄門の印籠」:「型どおり」に逃げてはいけない
https://president.jp/articles/-/31521
いまや10年前の出来事になった、伝説のラーニングバー。
まさか、10年後にこんな記事としてよみがえるとは思っていませんでした。
嗚呼、懐かしい。
この当時、僕は、志をともにする大学院生の皆さんと走り抜けていました。
楽しかったなぁ。大学院生の皆さん、そして、ご参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました。
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ちなみに、来年は、久しぶりに、志ある方々と、いくつか伝説に残るラーニングイベントを開催していきたいと思っています。
ラーニングイベントの企画は、人工知能(AI)にはできません。
ちみは、せいぜい、マッチングでもやっていなはれ。
そして、人生はつづく
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※参考記事
あなたの周囲の「形骸化しすぎてペンペン草すらはえない会議やイベント」を変革する方法!? : プリヤ・パーカー(著)関美和(訳)「最高の集い方」書評
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/10889
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「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
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