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2019.12.12 06:41/ Jun

卒論を書くとは「一生記憶に残る大学時代の思い出」を得ることである!?

※本日12月13日は所用のため、ブログ記事の執筆を行いません。師走ですねー。また来週お会いしましょう!
  
 卒論は、日本の大学教育が誇ってもよい文化ではないか?
  
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 僕は、冒頭述べたような考えをもっている大学教員のひとりです。
 ここで「卒論(そつろん)」とは「人文社会科学系の大学を、学士レベルの卒業時に、書くことが求められる、学生自らがテーマを設定して書く論文」のことをいいます。論文の長さは、だいたい1人あたり2万字くらいでしょうか・・・。そのくらいの一定の文字数の論文を書くことを求める大学が、かつては多くありました。
  
 もちろん、卒論を書かない学部もありますし、最近は、卒論を辞めてしまうところもありますので、一概に、この執筆文化が日本の大学教育に根付いている、とは言い切れないところもあります。
   
 しかし、わたしが過去に教育に携わった大学では、卒業論文を書くことが義務、ないしは権利として保障されています。以上、個人的な経験をもって、下記を記します。
    
  ▼
    
 学士レベルで論文を書くことの意義とは何か?
  
 それは、わたしは下記の7つの意義があるのだと思っています。
  
1.学問の「入口」を垣間見ることができる
  
2.自ら課題を設定する経験をもつことができる
  
3.文章を書く能力を鍛えることができる
  
4.研究方法論を知的武器として携え、ロジックをつくる能力を鍛える経験をもつことができる
  
5.著作権や引用作法などのルールを知ることができる
  
6.持久力を鍛えることができる
  
7.大学生活で「記憶に残るもの」をもつことができる
  
 7つの意義は、実は、ビジネスにも深く関係しているとわたしは思っています。
(卒論の意義は、ビジネスのためだけにあるわけではないですが、ビジネスの基礎体力獲得にも転移するという意味です)
   
 たとえば、一例をあげると「2.自ら課題を設定する経験」は、ビジネスで新規事業や新規の提案を行うときには、必要になることです。
  
 また「3.文章を書く能力」や「4.ロジックをつくる能力」はビジネスの根幹です。
   
 文章が書けないビジネスパーソン、ロジックがたてられないビジネスパーソンは、「言われたこと」をやっていればいい新入社員時期は、さして苦労はしないかもしれませんが、おそらく、ミドル以降でかなり厳しくなります。ミドル以降になると、概念力、企画力などが求められるのです。そういう社会的ニーズに耐えられない。
   
 また「6.持久力」に関して、卒論の執筆プロセスは「持久戦」そのものです。
  
 中原ゼミの場合、3年生では「1万字のミニ卒」、4年生はそれを発展させ「2万字の卒業論文」を書くことを求めていますが、学生にとっては「1万字」という課題は、なかなかのハードルです。
 期限を過ぎた論文は「わたしは、絶対に、絶対に、絶対に、泣いても、吠えられても、死んでも、絶対に受け取らないこと」にしておりますので、書き上げるためには、コツコツと毎日毎日机に向かい、論理を練って、これにあたらねばなりません。
  
 しかし、これはビジネスも同じです。
 ビジネスで何かを成し遂げるためには「持久戦」を覚悟しなければならないこともあります。そして、ビジネスでも「〆切」は絶対です。
  
 最後に「7.大学生活で「記憶に残るもの」をもつことができる」ですが、これは文字通りです。
   
 わたしは「自分の書いた卒論」を「完全」に忘れてしまった社会人にあまり逢ったことがありません。
  
(卒論のことを問われると、ビジネスパーソンのみなさんは、どこか恥ずかしそうに、しかしながら、苦労したけど、あの頃は、楽しかったなという目をして、卒論を語ります)  

 大学生活のなかで、仲間とワイワイ言いながら、夜な夜な頑張って書き上げたものは、数十年たっても、覚えているものです。内容はともかく「頑張って書いた」という記憶は、必ず残ります。
  
 大学生活のなかで、どんなに小さな知的達成でもいいから、「記憶に残るもの」を持って欲しい・・・これが僕の願いです。
  
  ▼
   
 今日は「卒業論文」の意義について書きました。
  
 最近、あまり旗色のよくない日本の大学教育ですが、学士レベルで書く卒業論文の文化は、ぜひ、維持していきたいものだ、と個人的には思います。
 たしかに教員としては読むのは大変です。なにせ20名近くのゼミ生がおりますので・・・。しかし、彼らのためだと、僕は腹をくくっています。
  
 〆切間近の中原ゼミ生へ
  
 論文執筆8か条
 これさえ守れば、大丈夫。

 1.こまめにセーブ
 2.バックアップは複数で
 3.印刷はお早めに
 4.手洗いうがいでインフル予防
 5.睡眠快眠よい論文
 6.今日も執筆、明日も執筆
 7.終わった論文が、よい論文!
 8.完璧めざすより、終わらせろ!

 そして人生はつづく
  
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「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
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