2019.11.7 06:34/ Jun
データを用いたビジネス、データを用いたサービスには、「盲点」ひとつ隠されているのではないか?
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もう数ヶ月前のことになりますが、学術雑誌「日本労働研究雑誌」の2020年 1月号特集「AIは働き方をどのように変えるのか」の座談会に参加させていただいた際、話題になったことが、それ以降、ずっと心に残っています(内容のネタバレになってしまうので、どなたかのご発言なのか等々は伏せます・・・恐縮です)。
BtoBで「データ」を企業に提供してもうけるんぢゃい!
データを押さえたものが「勝つ」んぢゃい!
すべて消費者のデータは、うちが「押さえる」んぢゃい!
ビジネスの領域では、こんな話が、毎日毎日繰り返されています。
そうしたビジネスの「将来の成否」は、僕は「占い師」ではないので、わかりません。しかし、一方で、ここには「盲点」が存在するようにも思えます。
それは・・・端的に申し上げますと・・・
データを「提供」する側のメリットがない
ということです。
ある先生から問題提起をうけたこの話題が、せんだっての日本労働研究雑誌の座談会では、とりあげられました。この点は、わたしも小規模ながら、研究でさまざまなデータを扱いますので、自戒をこめて申し上げます。
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大量のデータを「売る側」は、データによって利益をあげるかもしれない。
しかし、大量のデータを「提供」する側のメリットがない
つまり、一般のフツーのひとびとは、データを取得されるだけ取得されて、何の見返りもない。
といいましょうか・・・一般のフツーの人々にとって、プラットフォーマーとよばれる「巨人さん」たちに、自分のデータは「無料」で取得され、しかも「有料」で第三者に売られる。
いつ「許諾ボタン」を押したんだか、押さなかったんだか、わからないような「いつかの利用許諾」をたてに、その「非対称性」が正当化される。
この「隠された非対称性」こそが、こうした一連のサービスの「最大の脆弱性」であるように感じます。
というか、みな、あまり口にだして言わないけれど、ふとした瞬間、何かの事件が明るみになったときに、一般のフツーの人々の思いに着火してしまうのは、この「非対称性に対する恨み」であるような気がします。
大量のデータを取得する側、大量のデータを売る側にとっては、データは「金のなる木」です。しかし、データを提供する側にとっては、自分たちの努力が、何らかえってこない。
実際、ここ最近で起こっている、データ関連の一連のもめ事や、事件は、見事に、この問題に引っかかっているような気がします。
消費者からデータを集め企業に提供しようとしたが、企業側は得するけれど、消費者は得どころか、大損しかしない。
つまり、端的に申し上げれば、
サスティナブルなビジネスモデルとして「成立」していない
のです。
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今日は、データエコノミー、データドリブン社会に潜む「盲点」のお話をしました。詳細は、2020年・日本労働研究雑誌の特集で座談会の様子をご覧ください。最後になりますが、今回の座談会にお誘いいただいた日本労働研究雑誌・編集部のみなさん、先生方、とりわけ天野佳代さんに心より感謝いたします。
あなたのまわりには「データ提供のメリットが感じられない」サービスがあふれていませんか?
そして人生はつづく
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