2019.8.30 05:54/ Jun
「もし、その研修が明日なくなってしまったとしたら、経営と現場に、何か変化が起きますか?」
「あなたの会社には、ゾンビ研修が、うようよしていませんか?」
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ちょっと前のことになりますが、慶応丸の内シティキャンパスの授業「ラーニングイノベーション論」で「人材開発のあり方」をリフレクションしたときのことです。
この授業では、中間あたりのセッションで、「人事・人材開発が陥りがちな罠」についてグループで話し合い、「ちょめちょめ症候群」というネーミングを自分たちでつけて、それがなぜ起こるのか、どうしたら再発を防止できるのかを考えてもらいます。
毎年、非常に濃密な振り返りと、ユーモラスなネーミングが出てきて、とても興味深いのですが(参加者のみなさま、お疲れ様です)、今年は「特徴的だな」と思う出来事が1つありました。
それは
「研修がやめられない症候群」
に陥っている人事・人材開発がとても多い、ということです。
要するに「時代にあっていない研修」「存在意義が失われている研修」が増えている。本質的には「存在意義があまり見いだせない研修」ではあるけれど、様々な理由で、それを「やめること」ができず、継続してしまっている状態が長く続いている、ということです。
(授業に参加していた)多くの企業では、研修のカリキュラム体系(研修体系)が、どんどんと膨らんでしまい、カリキュラムを回すだけで、ひーひーの状態になってしまっている、という様子が見て取れました。
皆さんの企業・組織ではいかがでしょうか?
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これは一般論として申し上げますが、
教育や研修というものは、ほっておけば「無限化する宿命」をもっています
なぜなら、まず教育とは「学習者にとって、よかれと思うこと」は、できればやったほうがいい、という思いが、常に先行する営みだからです。学習者のためにやれることなら、やるにこしたことはないので、教育や研修の体系は、どんどんと「ポジティブリスト化」して、膨らんでいくのです。
それに「やれば、そこそこ感謝はされます」し、現場には様々な課題は日々生まれてきます。それらをすべて潰そうと思えば、どんどんと「教育体系」は増えていきます。
そして、一般に「やること」よりも「やめること」の方が「労力」が必要です。
「やめるため」には、「なぜ、今、やめるのかというロジック」を創らなくてなりませんし、ともすれば、そこに関わっているひとの仕事の「否定」をしなくてはならない可能性もでてきます。だから、やめられない。
結果、時代にあわなくなっているけれど、生きながらえている研修が増える。「研修がやめられない症候群」が生まれるのです。
かくして、いわば「ゾンビ」のように、「時代にあわなくなっているけれど、死に切れていない研修=ゾンビ研修」が組織のなかに漂うことになります。
僕は、仕事柄、毎年1回から2回は、各企業の研修体系の整理のお手伝い(ゾンビ退治)をすることがあります。人事部内部だけの議論では、なかなか「切ること」ができないので、「外部の目線」からみて、ひとつずつ検討していくことを求められます。
といいましょうか・・・僕が「切っている」わけではありません。
単に、皆さんの議論をプロセスコンサルテーションをしているだけです。「人」と「問題」を切り離し、誰もがオープンに声をあげるきっかけと、建設的な議論さえできればいい。
経験上、3分の1、ないしは、4分の1の研修は、「不要」とは言いませんが「存在意義を説明すること」が困難になりつつある研修のように思います。またまた経験上、そのうちの半分は「不要」と皆さんが思っているものだけれども、これまで「声があげられなかった」ものです。
皆さんの会社はいかがでしょうか?
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今日は、研修体系が膨らんでいく現象ー「研修がやめられない症候群」のお話をしました。できることなら、「ゾンビ研修」を思い切ってやめて、他の本質的な業務に向かいたいものです。現場が欲しいものは、本当にたくさんあります。
「もし、その研修が明日なくなってしまったとしたら、経営と現場に、何か変化が起きますか?」
「あなたの会社には、ゾンビ研修が、うようよしていませんか?」
思い切って、やめましょう。
ゾンビには「成仏」していただきましょう。
南無阿弥陀仏
合掌
そして人生はつづく
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