NAKAHARA-LAB.net

2019.7.11 06:13/ Jun

あなたのリーダーシップを教えて下さい!:「肩書き」で答える日本人、「経験」を語るグローバルなビジネスパーソン!?

 先日、あるグローバル企業でリーダーシップ開発をご担当なさっている方が、研究室にお見えになり、こんなことをおっしゃっていました。
  

「あなたのリーダーシップの経験を教えて下さい」という質問を、グローバルで活躍するビジネスパーソンに投げかけるとします。そのとき、半分くらいの日本人は、「課長になったのは何歳か」とか「部長になったのは、他と比べて比較的早かった」云々という話をします。
  
こちらが聞きたいのは違うのです。こちらは「あなたのリーダーシップ経験」が知りたい。つまり、あなたが、「組織のなかでケリのついてない課題」をどのようにとらえ、どのように取り組み、それに誰を巻き込んで、乗り越えようとして、そこから何を学んだのかを答えて欲しいのです。ですが・・・。

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 一方、ある別のグローバル企業で採用をご担当なさっている方に、先日、ヒアリングをさせていただいた際、彼女は、こんなことをいっておられました。
  

応募者には、あなたのリーダーシップを聞かせて欲しい、とお話をします。たいていの学生は、部活の副部長になったことがあるとか、学生時代はずっと学級委員だった、とか、そういうお話をすることが多いです。
  
こちらが聞きたいのは、肩書きではないのです。そうではなくて、誰と、どんなハードな課題に対して取り組んで、どんなことを学んだのかということなのですが・・・

  
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 ふたつの企業は、別々の企業です。
 しかし、共通して起きている現象は、非常に似通っているような気がします。
  
 すなわち、企業の側は「リーダーシップ」を
  
 1.組織(社会)のなかのケリのついていない課題(ハードな課題)に対して
 2.誰を巻き込んで
 3.どのように乗り越えて
 4.そこからどんな教訓を学んだのか
   
 という一連の「リーダーシップストーリー」を求めています。
 別の言葉でいうならば、企業が求めているのは、
  
 「あなたがリーダーシップを発揮するなかで、何を経験学習しましたか?」
   
 と問われているに他なりません。
  
 しかし、このニーズに対して、応募者たちの回答は「絶望的」にズレていきます。
  
 応募者たちが答えているのは「肩書き」です。
  
 すなわち、応募者たちは「リーダーシップ=これまでに経験した肩書きの連鎖」としてとらえているのです。
  
 この絶望的なズレ、あなたの周囲では起こっていませんか?
  
  ▼
  
 今日は「Please tell me your leadership」についてのお話をしました(笑)。
 リーダーシップという言葉は、このように、ひとによって絶望的なまでの意味のズレがあります。
 しかし、おそらく、グローバルな観点からすれば、「どんな難題に、誰と一緒に、どのように取り組み、そこから何を学んだのか?」が焦点化されることの方が多いような気がします。
  
 あなたのリーダーシップ経験は何ですか?
   
 そして、ぜひ、自分の組織内で、他のメンバーに聞いてみて下さい。
  
 あなたの経験したリーダーシップは、何ですか?
 この問いに対して、どんな答えがかえってくるでしょうね?
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
日本初!「ひとづくり・組織づくりの大学院」新コース「リーダーシップ開発コース」が立教大学大学院 経営学研究科に設置されます。新コースでは、経営学の基盤にもとづき、21世紀の「人事実践」ー人材開発・組織開発・リーダーシップ開発を牽引する高度プロフェッショナルを育成します 入学説明会が7月27日(土曜日)に開催されます。既存の「入学説明会」では「ない」入学説明会になると思います。どうぞお越し下さいませ!
    

日本初!立教大学に「人づくり・組織づくり」の大学院新コース「リーダーシップ開発コース」2020年より設置 Webサイト
https://ldc.rikkyo.ac.jp/
       

2019年度 リーダーシップ開発コース説明会開催
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/2019/0701-02/
   
 ーーー
     
残業学プロジェクトでご一緒させていただいてきた盟友の岩崎真也さんが(議論に議論を重ね、教材をつくりあげていきました!)、「職場に対話を促しながら、職場ぐるみの組織開発で、働き方を改革するやり方」について解説なさっています! 
   
働き方改革から組織開発へ 本当の働き方改革に求められる「次の一手」とは~
https://rc.persol-group.co.jp/column-report/201907020001.html
     
また残業学プロジェクトのスピンアウトツールである「OD-ATRAS」についても、ご紹介しています。職場の見える化をすすめ、現場マネジャーが職場で対話を生み出すためのTipsやツールが満載です。ご笑覧ください。
    

対話とフィードバックを促進するサーベイを用いたソリューション「OD-ATLAS」の詳細はこちら
https://rc.persol-group.co.jp/learning/od-atlas/
    
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フィードバック入門等で御一緒させていただいているPHPさんで、登壇の機会をいただきました。「部下育成のスキルを伸ばす」というテーマで、1on1やフィードバックのやり方、効果について講演させていただきます。9月10日・東京開催です。どうぞお越しいただけますと幸いです!
  

9月10日・東京開催「部下育成のスキルを伸ばすー1on1とフィードバック」
https://pages.php.co.jp/conference20190910.html
 
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「育児は仕事の役に立つーワンオペ育児からチーム育児へ」(浜屋祐子、中原淳著 光文社新書)、AMAZONカテゴリー1位(光文社新書)、経営学カテゴリー2位を記録しました。育児と仕事の良好な関係、ワンオペ育児を乗り越え、チーム育児に転換していくヒントがあふれる書籍です。浜屋祐子さんの修士論文の知見をモティーフにした、育児の科学。どうぞご笑覧くださいませ。
   

  
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