2019.6.21 06:53/ Jun
昨日の立教大学大学院の授業「人材・組織開発特論」では、「組織社会化」を扱いました。
ここで組織社会化とは、
1.組織の目標・戦略達成のために必要な知識・スキル・信念を
2.組織の新規参入者に獲得させ
3.組織に適応させること
としておきます。
具体的には、新入社員に対する研修、OJT、日々のフィードバック・指導などが、組織社会化の典型的な場面です。
ひとが新たな組織に参入するとき、組織社会化のプロセスは、かならず駆動します。
そして、組織社会化のプロセスが、スムーズにいくひともいれば、そうでないひともいます。
多くの場合、新たな組織に参入するとき、「違和感」を感じたり、ひどいときには「リアリティショック」を感じる場合もあります。新たな組織の「常識」に「あれ?」と感じてみたり、ひどいときには「こんなはずじゃなかった」と感じてしまうものなのです。
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ところで、僕は、新入社員など、これから組織社会化される多くの人々に「違和感ノート」をつけることをおすすめしています。
違和感ノート
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/8750
「違和感ノート」とは、組織社会化のプロセスのなかで、新規参入者が感じた「違和感」を書き留めておくノートです。おそらく、組織参入後しばらくは、きっと、たくさん書かれることになるでしょうが、次第に、その数は減少していきます。
「感じた違和感の数の減少」は、あなた自身が、組織に社会化されていった証左です。このように、組織に適応していった自分の成長を認めることにもつながるので、ぜひ「違和感ノート」をと申し上げているのです。
去年、僕は大学を移籍しましたが、僕自身も違和感ノートをつけていました。
ひさしぶりに・・・ほんとうに久しぶりに違和感ノートを見てみると、とても懐かしい気になります。というよりも、当時の僕は、こんなことに違和感を感じていたんだなぁ・・・とびっくりしてしまいます。
差し支えのない範囲で、当時の僕が感じた違和感をご紹介すると・・・
1.学生はいつもお腹をすかせている
・いつも食べている
2.一部の教室では「チョークと黒板」である。手が汚れるが、先生だな、という感じがする
・それまでは、ホワイトボード以外を使ったことがなかった!
3.お昼など、授業のグループワークのミーティングがはいっている学生も多い
・これは立教経営だけかもしれません
4.「おまえ、イケメンじゃねー。いや、ちげーよ」で、ランチのあいだ、小一時間、盛り上がることができる
・馬鹿話で小1時間盛り上がれる、底抜けに明るくてよろしい
5.学生は、志望理由書(ゼミや授業など)を書くことが多い
・志望理由書を書くことに、皆、慣れている
6.略語が多い
・グードラ、ビジカジ、リアペ、エモイ??
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・
本当にとるにたらない。今から考えれば、笑えます。
しかし、こうした取るに足らないことに、一喜一憂したり、不思議に思ったり、違和感を感じながら、僕も組織に適応してきたのかな、と思います。
嗚呼、一年なんてあっという間だった。
1年1秒かも。
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今日は組織社会化と違和感ノートのお話をしました。
新たに組織に参入するときには、のちの自分の成長を確認するためにも、ぜひ違和感ノートを!
また、組織に参入してしばらくたった方は、ぜひ、自分が当初書き付けていた違和感ノートを開いてみてください。
なかなか面白い発見があるかもしれません。
あなたは、今の組織に参入したとき、どんな違和感を感じていましたか?
あなたが感じた違和感とは何ですか?
今週もお疲れさまです!
そして人生はつづく
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