2019.2.22 06:41/ Jun
「若い従業員の早期離職が止まらないのです・・・何とか、対策をと思って、3年目以降の社員にキャリア開発の研修を受講するように、うながしたんです。研修の参加者は、いっときは、モティべーションも高まっていいのですけれども、現場にかえると、元に戻るんです。むしろ、離職は進むいっぽうです。先生、何が起こっているんでしょうか? この問題、何とかならないでしょうかね」
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先だって、あるところで人事部の方々から、こんなご相談を受けました。
若年層社員の離職問題は、数年前から、多くの企業で課題になっているような気がいたします。ものの本を読みますと、そういう若年層の離職に対しては「キャリアを見つめ直すワークショップ」をやったりするといいのだそうです。
かくして、多くの企業が、冒頭の方と同じように、「若年層を対象にしたキャリア関係のワークショップ」などを実践なさっています。
もちろん、その中には効果をあげているものもございましょう。
しかし、一方で、冒頭の方のように、「思ったような効果」をあげられない研修やワークショップも存在するようです。
むしろ、「やる前」よりも「やった後」の方が、事態が深刻化しているケースもあるようです。もちろん、これは環境変化による影響もありましょうから、研修やワークショップだけの問題ではありません。ここでは何が起こっているのでしょうか。
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よくある事例はこうです。
研修をした直後の「いっとき」は、自分のキャリアを見つめ直し、やる気を燃やす社員がでてくる。しかし、彼らが、いざ職場にかえったら、「いつもとかわらないケダルイ職場」「いつもと変わらないマネジメント機能不全の上司」が待っている、というケースです。
そうしたケースでは、
研修で「仕事の熱量」をあげられただけに、現場にかえってから感じる「落差」も「ひとしお」です(泣)。
最悪の場合、「何も変わってないやんけ! 何も変わらないやんけ! あーアホらし」となる(泣)。
こんなとき、ひとは「ワークショップで、やる気を高め、火がつけられた分」だけ「落差」を感じ、希望を失ってしまうのかもしれません。
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本来ならば、キャリアを見つめ直し、思いを新たにする、というのなら、現場にかえって、何かが「変化」しなくてはならない。
しかし、現場には、自分とは「熱量の異なるひと」がおり、いつもと同じように、何も変わらず仕事をしている。そうすると、研修やワークショップに出かけ、いろいろ考えていた自分が急に切なくなる。
そして
「結局は、この組織は、何も変わらないのだ」
「自分の働き方は、何も変わらないのだ」
「ここで本当に、仕事をしていて、自分の将来はリスクを負っているのではないか」
ということを、新たに「学習」してしまうのです。
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もちろん、ここでも問題は「キャリアを見つめ直すこと」にあるのではありません。
それは、仕事人生が長期化する、現代のひとびとには、あってしかるべき。
しかし、大きな課題は、「研修で学ばれたことが実践されるかどうか」・・・いわゆる「研修転移」をうながすように意識され、ワークショップや研修がつくられているかどうか、にあります。
要するに、研修やワークショップで、学んだり、考えたりしたことを、いかに現場で実践してもらうのか、まで考えて、ワークショップや研修をデザインしなければ、「熱量」が高まる分だけ、「落差」を感じてしまう、ということです。
せめて、受講生の上司には、研修で受講生がが、何を考え、何を明日から変えていこうとしているのか、などを知っていていただくことは最低条件かと思いますが、いかがでしょうか。
ほんのすこしの「変化」でもいい。
現場の何かが「変わること」を実感することが重要なのかもしれないな
と僕は思います。
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今日は若年層の離職にまつわるキャリアワークショップについて書きました。もちろん、中には成果をあげられているものもございましょう。しかし、研修転移の視点で、これを見直してみることは、より効果的なワークショップをデザインする上で、新たな視角になるのか、と思います。
あなたの会社の研修は「落差」を生み出していませんか?
研修で学ばれたことは、現場で実践されていますか?
そして人生はつづく
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