2019.1.29 06:39/ Jun
「ちょめちょめ学に、何ができるか?」
「ほにゃらら学は、役に立つのか?」
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実践現場をもつ学問分野では、時折思いついたかのように、たいてい10年に一度くらい、上記のような「自虐的なテーマ」で、シンポジウムを開催することが多いものです。
「シンポジウムのテーマ」として「ほにゃらら学は、役に立つのか?」とか「ちょめちょめ学に、何ができるか?」というセンテンスが大上段に掲げられ、多くの会員を拘束して「論じるに値するもの」だと考えられているということは、逆にいうと、
「ほにゃらら学は、役に立たない」
「ちょめちょめ学は、何もできない」
と世間一般では思われており、うすうす自分たちもそう思っていることを、自ら「吐露(ゲロ)」していることになります。
「ほにゃらら学は、役に立たない」「ちょめちょめ学は、何もできない」と一般に考えられており、自分たちも、「そうだろうな」と思っているからこそ、逆に、「ほにゃらら学は、役に立つ」「ちょめちょめ学に、何かができる」と言いたいのでしょう?
最初から「役に立つ」「何かができる」と考えられている学問分野は、こうしたセンテンスを、シンポジウムのタイトルには掲げることは希ではないでしょうか。
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「役に立つか?」とか「何ができるか?」というシンポジウムのタイトルは、かくのごとく、「紋切り型」で「ステレオタイプ」で「凡庸な思考の産物」です。
おそらく、10年に一度くらい、大会を企画している委員のなかで、記憶力にあまり自信のない研究者が、10年前をすっかり忘れて思いついたか・・・ないしは、大会を牛耳るヨーダのような長老たちが、「そろそろ、役に立つ論争でもすっぺ」「んだんだ」と反芻しつつ考えついたのか。まぁ・・・そのどちらでもよろしいのですが、かくして、10年に一度、学会員は、「役に立つのか論争」「何ができるか論争」に巻き込まれることになります。
僕自身も、若い頃から、何度か、このようなシンポジウムに参加してきました。
そのとき、いつも思っていたことは、
「なぜ、いつも、学問に何ができるか」を考えるんだろう?
ということです。
その「問い」を10年に一度考えることで、本当に「役にたつこと」ができるんだろうか。もしかすると、「役に立ちたい」というポーズを示すことが目的で、本当は「役に立ちたい」などとは、思っていないのではないだろうか。疑り深い僕は、そんなことをかんがえていました。
むしろ、僕は、こう思っていました。
「学問に何ができるか」を考えるな
「学問で何をするか」を考え、実践せよ
本当に役に立ちたいのなら「学問で何ができるか」を考えるのではなく、「学問で何をするか」を考え、ただちに実行に移せばいいのです。そして実践したものを堂々と持ち寄ればいい。10年に一度「何ができるか」「役に立つのか」を考えるだけで終わってしまうということが、もし仮にあるのだとしたら、そのあいだ、何をやっていたのでしょうか。
学問で何をするかを考えっぺ(笑)
んだんだ(笑)。
10年に一度の自虐的なシンポジウムは、僕に、このことを思い出させるよい機会となっていたような気がします。
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今日は、「学問に何ができるか」という紋切り型のシンポジウムタイトルから、学問と実践の関係を考えました。
誤解を避けるために申し上げますが、こうした学問と実践の考え方は、学問分野によっては、あてはまらないものもあるでしょう。たとえば、そもそも基礎的な研究は、「役に立つ」とか「何ができるか」は二の次であると思います。
また、学問と実践のあり方は、実践現場をもつ研究者が、個々に自ら決めていけばいいことのように僕には思えます。他のプロフェッショナルの為すべきことに、僕は、興味はありません。プロならば、自分で決めればいい、と僕は思います。
それにしても、紋切り型は続きます。
嗚呼、今年も、
「ほにゃらら学は、役に立つのか?」的シンポジウム
「ちょめちょめ学に、何ができるか?」的シンポジウム
が、日本全国で開催されるのでしょうか。
そんなとき、もし、僕に共感していただける若い研究者の方がいらしたら、ぜひ、思いおこしていただければと思います。勇気をだして、シンポジウムの壇上にいる皆さんに声をあげてもいいですよ。責任は1ミリも持ちませんけど(笑)。
10年に1度「学問に何ができるか」を考えるな!
今すぐに「学問で何をするか」を考え、実践せよ!
そして人生はつづく
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