NAKAHARA-LAB.net

2007.3.9 23:21/ Jun

研修の評価は、そもそも難しい

「評価がうまくいかないんですよね・・・最近、上とか事業部から突き上げがすごくて。逢うたびに、ピーチクパーチクうるさいんですよ。どうすればいいのでしょうか」
 こういう悩みを、組織人材育成の担当者から、よく聞く。ウソ言ったね、今。「ピーチク、パーチク」は僕の創作。
 確かに、この言葉には確かに同情を禁じ得ないけれど、言外の意味は違っていたりする。
 正しくは、
「上を説得できる結果は、どうすれば出せるのでしょうか」
 である。
 うーん、「そういうのあったら教えて欲しいよなー」と思いつつ、そのたびごとに窓から遠くを見て、僕は考える。
 少し考えてみればわかることだけど、この問題は、実際なかなか解決が難しい問題であることに気づく。
 「どういう評価をするのか」云々の前に、下記のような「制約」が課されているからだ。
 —
1.研修で、統制群をつくることはありえない
2.評価にはエキストラのお金はかけられない
3.データ解析、実験計画を熟知している人的リソースは活用できない
4.評価では「研修に対する満足度」だけでなく、「成績の伸び」「受講者の行動変容」「それによって得られたプロフィット」を説明することが求められている
 —
 大学関係者で「評価」をやったことのある人なら、「なんじゃこりゃー」と言いたくなる(松田優作・・・ちと古い?)。あるいは、「ちゃぶ台」を確実にひっくりかえすくらいの「制約」である。
 僕に言わせれば、これだけ「エベレスト級の、いやいや、チョモランマ級の制約」を課しておいて、それでなおかつ「説得的な評価をせよ・・・できれば行動もプロフィットも説明してね」という「上」や「事業部」とかの方がどうかしてる、と思うのだが、いかがだろうか。
 でもね、やらなければならないんだよね。それでも、結果をださなければならないんです。
 だったらどうするか。大学の関係者が考えるような「評価」とは言わずとも、何とかかんとか説明のつくような方法はあるか・・・。
 夕飯食べながら、ボーッと考えましたが、まずひとつ言えることは「一概に言える万能な方法はありません」。ないよね、そんなの。
 やはり、組織ごとにケースバイケースで、どれだけのデータを収集できるか、ひとつひとつお聞きしないと何とも言えない。でも、逆にそのデータの幅が決まったら、あとは、そのデータに従って、どうロジックをつくるかないな、と思う。
 これは知り合いのKさんに指摘されたことなのですが、「そもそもデータを取り方がキモだよね・・・意外にそれが見落とされてる」と。僕もそう思いました。
 つまり、
 誰の
 どのような行動や意識を
 何と見立てるか
 このあたりの、そもそもデータ収集について、あまり注目されていない。
 
 —
 というわけで、はっきり断言すると、「データの取り方を工夫すると、何とかなる場合がある」と思います。
 でも、「何とかなる場合をつくる」には、「いろいろ考えることがある」ということでしょうか。それには、ディスカッションを重ねてロジックを見定める必要がある。
 ・・・何だかオチがあったんだか、なかったんだかよくわかんない結論だな、我ながら。今週アタマから火がでるほど忙しかったので、許してください。
 Have a nice weekend!
 ちなみに、僕は週末は合宿。

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