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2018.11.22 06:52/ Jun

連載1日目:調査データを現場にフィードバックしても シャッターバーンにならない方法!? : サーベイフィードバック型組織開発、11のポイント

 調査データを現場にフィードバックしても シャッターバーンにならない方法(現場から拒絶されない方法)とは何か?
   
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 昨日は、早稲田大学の大湾秀雄先生からご依頼を受けて、大湾先生の主宰する研究会で、「組織開発ーとりわけサーベイフィードバックに関する講演」をさせていただきました(大湾先生には貴重な機会をいただきました。ありがとうございました)。
  
 現在、中原研やマナビラボ(河合塾+日本教育研究イノベーションセンター様からのご寄付による研究部門)、その周辺では、たくさんの現場(企業+学校さま)で組織調査(サーベイ)を行い、その調査データを、現場の改善のために、現場のみなさまに「お返し」(フィードバック)し、現場の方々の「対話」を促すことを、いわばアクションリサーチとして行っています。

 中原研の多くのメンバーは、片手で「数字」をもち、片手で「対話」を促せるメンバーです。むろん、ひとりでそれができないひとがいたとしても、チームでそれを遂行できるような体制を整えています。
    
マナビラボ(アクティブラーナーを育てる学校づくり:河合塾+日本教育研究イノベーションセンターとの共同研究プロジェクト)
http://manabilab.jp/learner
      
 今回の講演では、調査データをいかにかえすのか、ということについて、なるべくわかりやすく理解していただくとともに、主に、そのあたりについて、いくつかの事例をご紹介していきました。今日は、そのあたりのお話をしようと思います。
    
 ▼
   
 調査データを現場にフィードバックしても、シャッターバーンにならない方法とは何か?
 
 冒頭の問いは、実は、わたしどももたくさんの失敗を重ねてたどり着いた「実践知」のようなものです。ここで「シャッターバーン」とは「シャッターをバーンとおろされること」ーすなわち「現場の人々から拒絶される」ということですよね。
 せっかく現場に貴重な時間をいただいて調査データを取得したのに、その受け渡し方によっては、現場に拒絶されるフィードバックを為してしまうことになる。
     
 要するに、
    
「何」を受け渡すか、も大切なのですが、「どのように受け渡すか」も、同じくらい大切
     
 なのです。
   
 わたしたちがたどり着いた、いくつかのサーベイフィードバックのポイントは下記のとおりです。
 これは昨日の大湾先生のところでの講演では、いくつか扱いましたが、すべては扱えなかったのですが、少しずつご紹介していきましょう。
 
1.キーマンと握る
2.現場ファースト宣言
3.キーマンには最初と最後
4.やさしく、しぼる
5.これまでを讃える
6.淡々と行う
7.持続可能性を問う
8.絶望させない、希望を見せる
9.とっかかりを提供する
10.インターバルで実践をうながす
11.フォローアップで讃える
  
 まずトップバッターは「1.キーマンと握る」です。
  
「キーマンと握る」とは、文字通り、その現場を動かすトップの方、ないしはトップの方々たちの右腕になる方々とお会いして、目線あわせをするということですね。これは、どの現場に入るときにでも、僕が一番大切にしていることです。
  
 現場のキーマンの皆さんと目標を共有し、「同じ船」にのることができないならば、わたしどもは、これ以降の「サーベイフィードバック」は絶対に行いません。なぜなら、効果が期待できないからです。
  
 昨日の講演でもお話をしたのですが、組織開発は「企画8割、実施は2割」だと僕は思います。
 企画8割と申しますのは、「現場のキーマンと目標をにぎり、何をどのようにおこない、何をめざしていくのか」をしっかり関係者全員がイメージできることです。

 逆に、これさえ、決まってしまえば、「実施は2割」の部分、すなわち「ワークショップを行う」といったことは、実は、そう難しいことではありません。
 
 キーマンと握る・・・とてつもなく大事です。
    
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 とまぁ・・・ここまで書いてきて、嗚呼、僕のブログ執筆時間の20分を超えてしまいました。
 カラータイマーがピコピコ言っているYO(泣)。
 調子にのって、11個もポイントをかかげてしまったのが、運のつきでした。「お調子こき太郎」でかたじけない。
 
 うーん
    
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 じゃあ
    
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 しょうがない(笑)

 残りは、明日以降、何回か連載にしていきましょう(笑)。
 ここまで読んで、満員電車のなかで「ズッコケてる」方が多数いらっしゃることは、予想はつきますが、行き当たりばったりですみません。
 でも、時間がないのよ。共働きの子育ては。
 もうそろそろ、KENZOが起きてくるのです。
  
 明日は
  
 2.現場ファースト宣言
 3.キーマンには最初と最後
 4.やさしく、しぼる
  
 あたりをお話しさせていただきます。本当にごめんなさい。
 でも、明日以降から、現場のワークショップで、いかに調査データを返していくのか、というお話ができることになりますね。
  
 それではお楽しみに!
   
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
追伸.
 今日は、中原ゼミ(学部生23名)と、ヤフー株式会社様をご訪問させていただき、彼らが行っている研究について、スパイシーなフィードバックをいただく機会を得ることができました。菱沼さんはじめ、ヤフーの人事担当者のみなさまには、この場を借りて御礼を申し上げます。ありがとうございます。
  
 中原ゼミの2年生は、今年、早期離職、HRテック、ワークライフバランス、副業の4つのテーマを別れ、各種の研究を行っています。最終的には2019年2月に、人事部・現場のマネジャーの皆様に愉しんでいただける、ミニミニワークショップを企画しています。

 こちらには株式会社内田洋行様のご支援を賜っております(大久保社長はじめ、同社の佐藤さまには、この場を借りてあつく御礼を申し上げます。心より感謝いたします)。
  
 今日は、どんな会になりますやら・・・。
 人事部の皆様に貴重なお時間をいただけることに感謝いたしますとともに、ゼミ生の健闘を期待しています。
  
(中原ゼミでは、企業人事部のみなさまとのコラボレーションを今後も行っていきたいと考えております。何か人事上の課題をお抱えなら、来年度以降、課題解決を御一緒することもできるのではないかと夢見ています!またお声がけください)
  
  ーーー
  
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